夫婦で起業したい!メリットやデメリットだけでなく起業の方法についても解説
夫婦で起業して家で仕事をしたいと思ったことはありませんか。一緒に家で仕事をすれば通勤しなくてもいいですし、お互いのことを理解できるだろうと考えるのが一般的です。実際に夫婦で起業するメリットはあります。
しかし夫婦で起業することで、デメリットもあるわけです。そこでこの記事では夫婦で起業することのメリットとデメリットだけでなく、起業する方法や起業する際の注意点について解説します。
夫婦で起業するメリットは
実際に夫婦で起業するメリットはあります。私もかつて夫婦で起業したことがありますが、以下のようなメリットがありました。
家族が一緒にいる時間が増える
夫婦で起業するとどちらかが会社に行くことがありません。そのため必然的に夫婦でいる時間が増えます。そのため自分たちの予定を優先して予定を立てることも可能です。たとえば時期をずらして夫婦で旅行するといったことも、夫婦で起業していれば可能です。
またお子さんがいる場合、保育園の送り迎えなども分担でき、食事も家族で常に一緒にできます。家族の時間を増やすという意味では最適の選択でしょう。
仕事について相談しやすい
夫婦で同じ仕事をしていると、仕事について相談しやすい環境になります。そのためわからないことはすぐに聞けますし、連絡も日常的に可能です。
急ぎの仕事がある場合、休日や夜だとなかなか連絡できません。夫婦で起業していれば、夜でも休日でも連絡が可能なわけです。こうしたことは夫婦で起業していなければなかなか難しいでしょう。
また夫婦で仕事の分担もできるので、体調が悪い時などは便利です。分担できるのは仕事だけではありません。家事も分担できます。またお子さんがいる場合、お子さんに関することも代わりにやってもらえます。
夫婦の会話が増える
夫婦で仕事をしていると仕事に関する会話が増えます。結果として夫婦間の会話も増えるでしょう。夫婦間の会話が増えると、仕事以外の話しもしやすくなります。たとえば仕事の話の中に、今日の家事の話が出てくることもあります。
お子さんがいれば、お子さんに関する話もするでしょう。仕事と家庭の両立という意味で、話しがしやすい環境であるのは間違いありません。
節税対策がしやすい
夫婦で起業していれば、自宅の家賃や水道光熱費などを経費にできるという面があります。仕事に関するものを経費にすることで節税対策になります。あとで述べますが、専従者給与控除を使えば、さらに節税できるでしょう。
仕事が楽しめる
ひとりで起業していると孤独な戦いになります。これは私も経験したことがありますが、仕事の悩みを誰にも共有できないというのは精神的につらいことがあります。
会社であれば、同僚や上司に話しができますが、ひとりで起業しているとそうした相手がなかなか見つからないわけです。会社員の方に相談してもひとりで起業している人の悩みはわからないでしょう。
しかし夫婦で起業していると、大変な時に相談できる相手がいるため、精神的に楽になります。また一緒にひとつの仕事をすることで、仕事を楽しくできます。同じ悩みを共有できると、その案件がうまくいった時の喜びも共有できるでしょう。
実際に私のお客様でも夫婦で事業をされている方も多いです。奥様は経理を担当したり、ご主人と一緒に売り場に出たりなど、働き方はそれぞれですが、夫婦で起業することのメリットを最大限楽しんでいらっしゃいます。
河鍋公認会計士・税理士事務所代表 河鍋 優寛(税理士・公認会計士)
夫婦で起業するデメリットは
夫婦で起業するのはデメリットもあります。ここでは夫婦で起業する際のデメリットについて解説します。
収入が安定しない
夫婦で起業すると、仕事がない時もあり収入が安定しない場合もあります。これは会社員時代と大きく違う面です。仕事がなければ収入が0になることもありえます。
とくに夫婦で起業して同じ仕事をしているのであれば、仕事がないと収入がなくなるわけです。これは夫婦で起業する大きなデメリットだと言えます。
会社の福利厚生は受けられない
夫婦で起業すると、会社員ではないので、社会保険などの福利厚生は受けられません。年金も国民年金なので、厚生年金に比べて将来の年金額はかなり少なくなります。
そのため自分で老後の生活費を貯めていく必要があります。もちろん自分で起業すれば定年という概念がないので、ずっと働き続けることは可能ですが、それは長く健康であるのが前提です。
人生は長いわけで、何があるかわからないわけですから、福利厚生がないという不安はデメリットでしょう。
仕事に関して夫婦での喧嘩が起こる
仕事をいっしょにすることで仕事について話し合えるというメリットもありますが、夫婦での喧嘩の原因にもなりえます。とくに仕事のやり方が異なる場合は起こりがちです。たとえば一方の仕事がなかなか進まず、もう一方が待たなければならない場合です。
そうした場合に、早くしてほしいと思い、それを伝えると喧嘩になる場合があります。夫婦であるため立場は対等。それを仕事に持ち込むと喧嘩する日々になってしまいます。仕事の進め方と役割分担は明確にすべきでしょう。
プライベートと仕事を分けるのが難しい
夫婦でいっしょの仕事をしていると、プライベートと仕事をわけるのが難しくなります。夫婦で起業している場合、仕事はやればやるほどあるので、ずっと仕事をしてしまうこともあるわけです。
お互い一緒にいるのに、ずっと話をせずに作業し続ける場合もあります。そうすると夫婦の会話は減ってしまいます。そのため作業の終了時間を決めて、プライベートと仕事はしっかりと分けられるようになった方がいいでしょう。
私が考える、夫婦で事業を行う最大のデメリットは「喧嘩」だと思います。事業がなかなか軌道に乗らなかったり、資金繰りが厳しかったりするとイライラが募り、些細なことから喧嘩に発展してしまうケースを実際に見たことがあります。
河鍋公認会計士・税理士事務所代表 河鍋 優寛(税理士・公認会計士)
夫婦で起業する方法は?
夫婦で起業するメリットとデメリットについてはわかったと思いますが、では実際にどうすれば起業できるのでしょうか。夫婦で起業する方法について解説します。
どちらかが個人事業主になる
どちらかが個人事業主になり、もうひとりが雇用される形になる方法です。会計帳簿は個人事業主ひとりだけになるので、管理がしやすくなります。また「青色事業専従者給与」または「事業専従者控除」を使うことで、税金対策にもなります。
実際に私もこの形を取ったことがありますが、税金対策になるのは間違いありません。私自身は税理士に頼んで経費処理をしてもらっていましたが、相手に経理を担当してもらうことも可能でしょう。
ふたりとも個人事業主になる
ふたりとも個人事業主になる方法もあります。ふたりが違う事業を行う場合に、この形を取る場合が多くあります。また別々の事業をしているため、夫婦ともに収入が無くなるという可能性は少ないというメリットもあるでしょう。
ただし会計帳簿はふたつ作らないといけないため、手間はかかります。リスクを考えればこの形の方が良いですし、お互いが違う仕事をしていることで、相乗効果もあるでしょう。
会社を作る
会社を作ってもうひとりを役員や従業員にする方法もあります。その場合は法人登記が必要です。ただし夫婦で起業してすぐに法人にする必要はありません。税金の関係上、売上が増えてから検討するほうがいいでしょう。
起業する方法はこのように様々あり、選択によって世帯の所得や税金の金額も変わってきます。自分たちの手元にいくら残したいかをもとに税金のシミュレーションを行うこともお勧めです。
河鍋公認会計士・税理士事務所代表 河鍋 優寛(税理士・公認会計士)
夫婦で起業する際の注意点
夫婦で起業する際には以下の注意点を守る必要があります。
自分たちの得意分野で起業する
起業した場合、自分たちで仕事を取る必要があります。自分たちの得意分野の方が、仕事が取りやすいのはまちがいありません。
得意分野の業界の内情もわかるので経験を生かしやすいというメリットもあります。夫婦で起業する場合は、自分たちの得意分野を生かせるところで起業しましょう。
当面の生活費は用意しておく
収入が少なくなった時のために生活費を用意しておく必要があります。6か月分ぐらいあると安心です。ただし起業した場合は理想の資金は1年分です。事業資金を借りる方法もあるので、売上が上がらなかった場合の対策は事前に準備しておくべきでしょう。
資金調達の方法は考えておく
起業した場合、仕事がない場合も想定して、資金調達の方法は考えておくべきです。国民政策金融公庫などは保証人がなくても資金が借りられます。
起業する際に資金が必要な場合は、審査に時間がかかるので、余裕をもって資金調達の申請をしておきましょう。
起業する際には創業融資などの制度を利用することができます。創業融資は創業計画書などの作成や面談で申請することができますのでお勧めです。創業から年数が経過してしまうと事業実績も細かく見られますので、実績がない初めの段階から融資を申し込むのはアリだと思います。
河鍋公認会計士・税理士事務所代表 河鍋 優寛(税理士・公認会計士)
まとめ
ここまで夫婦で起業する場合のメリットやデメリット、起業する際の注意点について解説してきました。夫婦で起業することで、メリットも大きいですが、デメリットも当然あります。メリットとデメリットを考慮に入れて、夫婦で起業するかどうか決めましょう。
記事監修者 河鍋税理士からのワンポイントアドバイス
個人的には、夫婦で起業することはメリットが大きいと思います。
通勤時間がなかったり、時間の束縛がなかったりとサラリーマン時代にはできなかったことができるようになるため、楽しいと感じることも多いでしょう。
一方で、一緒に過ごす時間が長いことはデメリットにもなり得ます。仕事を夫婦でする以上、いざこざやプライベートとの境界の線引きが難しく、夫婦喧嘩や口を利かない期間が続くなど難しい側面も出てきます。
個人事業主は「青色事業専従者給与」または「事業専従者控除」、法人の場合は「役員報酬」など、税金対策は重要ですが、それ以上に夫婦で手を取り合って創業したときの志を胸に、共に歩んでいくことが大切だと思います。
創業時の悩み事やご相談は、税理士に相談されることをお勧めいたします。
渋谷区で一から立ち上げたプログラミング教室スモールトレインで代表として、小学生に対するプログラミングと中学受験の指導に従事。またフリーランスのライターとしても活躍。教育関係から副業までさまざまな分野の記事を執筆している。
著書に『AI時代に幸せになる子のすごいプログラミング教育』(自由国民社)、共著で『#学校ってなんだろう』(学事出版)がある。
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