不動産投資で経費になるのはどんな税金?注意したいのは贈与税と相続税
不動産投資では、不動産取得税や固定資産税など一定の税金がかかります。かかった税金は、経費として計上したいところです。今回は、経費に認められる税金を紹介します。税金以外の経費に計上できる支出も確認していきましょう。
不動産投資で経費にできる税金
不動産投資でかかる支出を経費として計上できれば、その分税金の負担は小さく済みます。どこまで経費にできるか、判断に悩む項目は多いものです。なかでもわかりにくいのが、投資でかかった税金ではないでしょうか。まずは、不動産投資で経費にできる税金を紹介します。以下の税金は経費として計上が可能です。
・印紙税
・登録免許税
・固定資産税
・都市計画税
不動産を取得するときに、不動産取得税がかかります。また契約書を交わしたり、領収書を発行したりするときには印紙税が必要です。不動産を購入すると登記が必要ですから、登録免許税も支払わなくてはなりません。こうした不動産を購入したときにかかる不動産取得税、印紙税、登録免許税は経費として計上できます。
さらに不動産を保有している間、毎年かかるのが固定資産税と都市計画税です。固定資産税と都市計画税も経費になります。
不動産投資で経費にならない税金は贈与税と相続税
不動産投資で税金を経費に計上するときに、注意したいのが贈与税と相続税です。実は贈与税と相続税は、経費として計上できません。
贈与税は、不動産の取得や賃貸業務には関連性がないものとされています。判例もあり、平成29年3月15日の判決でも賃貸業務との関連性が認められませんでした。
また、相続で不動産を取得した場合の相続税も経費として計上できませんので、注意してください。
不動産投資で税金以外に経費にできるもの
ここまで、不動産投資で経費として計上できる税金、できない税金を確認してきました。税金以外に経費になる支出も確認しておきましょう。以下の項目は、経費として計上可能です。
・保険料
・管理委託料
・管理費
・広告宣伝費
・修繕費
・司法書士や税理士への報酬
・通信費
・旅費、交通費
・減価償却費
・交際費
それぞれ、くわしく説明します。
【ローンの金利】
土地や建物のローンにかかる金利は、経費として計上できます。ただし、ローンの元金については計上できませんので注意しましょう。また建物の購入にかかる金利は全て計上できますが、土地の購入にかかる金利には上限があります。その点にも注意してください。
【保険料】
不動産を購入した場合、火災保険や地震保険に加入するのが一般的です。収益用物件を購入した際に入る火災保険や地震保険などの保険料も、経費になります。なお、社会保険は不動産ではなく個人にかかる保険料ですから経費にはなりません。社会保険料については不動産所得以外の給与所得と合わせて、総所得金額から控除されます。
【管理委託料】
不動産投資では、管理会社に管理業務を依頼する人も多くいます。管理会社に支払う管理委託料も、経費として計上できます。管理会社から明細が送られてきますので、そこでいくらかかっているか金額を確認しましょう。
【管理費】
不動産投資における管理費とは、設備の点検・保守にかかる費用のことです。不動産を維持するには欠かせない費用です。建物の管理費も、経費として計上することができます。
【広告宣伝費】
入居者を集めるために、広告宣伝費をかける場合もあるでしょう。仲介会社などに支払う広告宣伝費も、経費になります。また、賃貸仲介会社を利用した場合の仲介手数料も経費として認められています。
【修繕費】
長年不動産を保有していれば、建物や部屋に老朽化が起こります。もとに戻すための修繕費が必要になるでしょう。修繕費も経費として計上できます。ただし、修繕の程度や種類によっては計上できず、資本的支出として計上すべきものもあります。経費として計上できる修繕費には、例えば以下のものがあります。
- クリーニング代
- エアコンの交換代
- 共用スペースの清掃代
- 壁紙の張り替え代
【司法書士や税理士への報酬】
不動産投資では、税金のプロである税理士に助言や確定申告を依頼する人が多い傾向にあります。また不動産登記の手続きを司法書士に依頼する人もいますし、家賃滞納への対応として弁護士に訴訟依頼をするケースもあります。そういった専門家に依頼したときの費用も、経費として認められています。
【通信費】
スマホやパソコンの購入代金、電話会社に支払う使用料、インターネットにかかる料金は、通信費として経費に計上できます。ただしスマホなどを私用でも使っている場合、計上できるのは不動産投資に使った部分のみです。
【旅費、交通費】
不動産投資の目的に沿う旅費、交通費も経費になります。不動産を購入するための現地訪問や状況確認など、不動産投資では意外に旅費、交通費がかかるものです。忘れずに計上しましょう。領収書をきちんと保管しておくことが大切です。
【減価償却費】
減価償却費とは、固定資産の購入金額を決められた耐用年数で割り、その年ごとに費用として計上する項目です。耐用年数は木造建築であれば22年、鉄骨造であれば34年です。なお、減価償却費として計上できるのは建物の購入費用についてのみです。土地の購入費用は減価償却しませんので注意してください。
【交際費】
不動産会社や仲介会社、管理会社などの人と打ち合わせをするときに、飲食代がかかる場合があります。打ち合わせのための飲食代も、経費として計上可能です。ただし不動産投資と関係のない飲食代は認められませんので、注意しましょう。飲食代も、領収書をしっかり保管するようにしてください。
不動産投資で税金を経費にするには「納税通知書」が必要
冒頭で経費に計上できる税金を紹介したときに、固定資産税が認められると説明しました。固定資産税を経費として計上するには、納税通知書が必要です。くわしく説明します。
税金を経費にするには「納税通知書」が必要
そもそも納税通知書とは、不動産の評価額や固定資産税の納付額、支払い期限が記載されている書類のことを指します。自治体によって異なりますが、4月〜5月ごろに郵送で届くのが一般的です。固定資産税を払うと、支払い後に納税通知書の半券を領収書として受け取れます。固定資産税を経費として計上するには、この納税通知書の半券が必要です。忘れず受け取るようにしましょう。
納税通知書を失くしてしまったら?
なかには、納税通知書を失くしてしまったという人もいるのではないでしょうか。失くした場合の対処法を説明します。前提として、不正防止のため納税通知書(領収書)の再発行はできません。ただし、納税証明書で確認が可能です。納税証明書とは、その年の納税額や滞納がないことを証明する書類のことです。役所で請求できますので、その方法で対応してください。なお、無料の納税通知書と違い有料な点に注意しましょう。
まとめ
不動産投資において、一定の税金は経費として計上できます。ただし、贈与税と相続税は経費に認められませんので注意してください。経費を計上するときに大切なのは、固定資産税の納税通知書を含めさまざまな領収書です。不動産投資をしているという人は、日頃から領収書の管理に気を付けてください。同時にメモを残すのもおすすめです。丁寧な管理で、正しい計上を行いましょう。
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