個人事業主・サラリーマン必見!副業の種類ごとの税金について解説

[取材/文責]阿部正仁

個人事業主やサラリーマンで副業をしている場合、メインの仕事による収入とは税金の計算方法が異なってきます。メインの仕事で必要経費に計上できても、副業では認められない場合などの差があり、確定申告のミスにつながりかねません。そこで、副業の種類ごとの税金について詳しく解説します。

税金面における副業のメリット・デメリット

税法、社会保険制度により、副業にはメリット・デメリットが生じます。それでは、詳しく見ていきましょう。

副業のメリットを紹介

税金面における副業のメリットは次の通りです。

(1)給与所得以外の副業は税金対策がしやすい

アルバイトなど給与所得以外の副業は自分の意思で支出額を必要経費にすることができます。たとえば、副業収入を得るために支出したセミナー代などは所得金額から差し引くことが可能です。

(2)副業収入には社会保険料が課税されない

個人事業主はすべての収入に対して国民健康保険などの社会保険料の課税対象です。しかし、サラリーマンの場合、勤務先の給与に対してのみ厚生年金などの社会保険料が課税され、副業収入は非課税です。

副業のデメリットを紹介

前述の通り、副業収入には社会保険料が課税されず、厚生年金の負担額は減少します。そのため、将来受け取る年金の計算に反映されないデメリットが生じてしまいます。

在宅ビジネスの税金について解説

クラウドソーシングなど在宅ビジネスの種類は多岐にわたります。そこで、種類ごとの税金について解説します。

ブログ収入の税金は?

アフィリエイトなどのブログ収入は所得税法上、雑所得または事業所得に該当し、所得金額の計算式は次の通りです。
 

所得金額=収入金額-必要経費

(1)収入金額

アフィリエイトを例にしましょう。アフィリエイトの収入金額の計上時期は銀行口座に振り込まれた時点でなく、次のいずれかを選択します。

  • 入金確定額
  • 振込条件を満たした場合

(2)必要経費

ブログ収入を得るためのプロバイダー料、スマホ代などの費用は必要経費に計上することができます。

物販ビジネスの税金は?

ヤフオクなどの物販ビジネスは所得税法上、雑所得または事業所得に該当し、所得金額の計算式は次の通りです。
 

所得金額=収入金額-必要経費

(1)収入金額

物販ビジネスの計上時期は原則、商品を発送した時点です。

ただ、たとえばメルカリの場合、発送した時点ではなく、売上金が確定した時点が収入金額の計上時期になります。つまり、相手から受け取り評価をされた時点を意味します。

(2)必要経費

諸経費は前述のブログ収入とほぼ同じですが、商品の仕入金額、発送費用は販売した商品に直接かかる部分となります。実際に支出したかどうかは関係ありません。

クラウドワーカーの税金は?

クラウドワーカーの仕事はサービス業が多い傾向にあります。副業収入は所得税法上、雑所得または事業所得に該当し、所得金額の計算式は次の通りです。
 

所得金額=収入金額-必要経費

(1)収入金額

サービス業の収入金額の計上時期は原則、納品日です。ただ、クラウドソーシングのように検品後に入金額が確定する場合、アフィリエイトの収入金額の計上時期と同じ扱いになり、次のいれずれかを選択します。

  • 入金確定額
  • 振込条件を満たした場合

(2)必要経費

前述のブログ収入とほぼ同じです。

金融投資の税金について解説

金融投資は在宅ビジネスと同じように必要経費に計上できますが、赤字になっても給与所得と相殺できる損益通算は適用されません。

仮想通貨の税金とは?

仮想通貨は所得税法上原則、総合課税の雑所得に該当し、所得金額の計算式は次の通りです。
 

所得金額=売買損益-必要経費

(1)売買損益

含み損益が確定した金額のことを指します。つまり、仮想通貨を売却して初めて所得金額の計算対象になり、保有している仮想通貨の含み損益は確定申告をする必要はありません。

(2)必要経費

仮想通貨の売買のために支出した書籍、セミナー代とその交通費、パソコン代などが必要経費に計上することができます。

また、総合課税のため、仮想通貨の所得金額は他の所得金額と合算され、所得税率(5%~45%までの7段階)によって税金の負担額が違ってきます。

株式投資の税金とは?

株式投資の税金は課税、非課税に大別できます。

(1)課税

課税対象となる株式投資は所得税法上、配当金は配当所得、株式売買益は分離課税の譲渡所得に該当します。また、上場株式については特定口座と一般口座が選択でき、確定申告の必要の有無にかかわってきます。

1. 特定口座

証券会社が株式投資による所得金額の計算を代行する制度です。配当金や株式売買益に対し、源泉徴収あり・なしを選択できるのが特徴であり、取り扱いは次の通りです。

  • 源泉徴収あり:原則、確定申告は不要
  • 源泉徴収なし:確定申告が必要
2. 一般口座

株式投資による所得金額の計算を自分で行い、確定申告が必要です。

(2)非課税

正式名称はNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)であり、投資額が少額なら配当金、株式売買益が非課税になる制度です。NISAは3種類あり、非課税投資枠は次の通りです。

  • 一般NISA:毎年120万円
  • ジュニアNISA:毎年80万円
  • つみたてNISA:毎年40万円

FX・先物取引の税金とは?

FX・先物取引は所得税法上原則、分離課税の雑所得に該当します。所得金額の計算方法は仮想通貨とほぼ同じですが、所得税率は一律20.315%(復興特別所得税を含む)です。また、損失を計上した場合、確定申告をした場合に限り、3年間の繰越控除が認められています。

不動産投資の税金について解説

不動産投資の種類によって、所得税法上の所得区分が異なります。それでは、種類ごとの税金について解説します。

賃貸物件・月極駐車場の税金とは?

賃貸物件・月極駐車場は所得税法上、不動産所得に該当し、所得金額の計算式は次の通りです。
 

所得金額=収入金額-必要経費-青色申告特別控除

(1)収入金額

家賃収入はもちろん、敷金・礼金・保証金など賃借人に返還しない金額は入金された時点で収入金額になります。ただし、契約書で返還する旨が定められている金額は収入金額に計上する必要はありません。

(2)必要経費

不動産管理会社への手数料、リフォーム代などが必要経費になります。

(3)青色申告特別控除

不動産所得で青色申告を選択すると、10万円の所得控除ができます。ただ、事業的規模の場合、青色申告特別控除額は65万円に拡充されます。事業的規模とは、アパートなどはおおむね10室以上、独立家屋はおおむね5棟以上のことを意味します。

民泊・コインパーキングの税金とは?

民泊・コインパーキングは所得税法上、原則雑所得に該当し、所得金額の計算式は次の通りです。
 

所得金額=収入金額-必要経費

雑所得は不動産所得と違い、青色申告特別控除が受けられず、赤字でも損益通算は認められません。

アルバイトの税金について解説

アルバイトの場合、他の副業と取り扱いが異なります。それでは、アルバイトの税金について解説します。

アルバイト収入は給与所得

アルバイト収入は雇用契約に基づくため、サラリーマンの勤務先と同じ給与所得です。自分の意思で必要経費に計上することができず、税金対策の余地がありません。

確定申告で税金が還付される可能性がある

確定申告で税金が還付される理由は、アルバイト収入は乙欄が適用され、天引きされる源泉徴収税額が収入と比較して多めに設定されているからです。一方、勤務先の給与に対しては甲欄が適用され、源泉徴収税額は収入金額に見合ったものになります。まずは甲欄と乙欄を比較しましょう。

例)独身で月給10万円の場合(社会保険なし)

  • 甲欄:720円
  • 乙欄:3,600円

例の場合、甲欄と乙欄の源泉徴収税額の差は5倍以上になります。そのため、確定申告をすることで、アルバイト収入から天引きされた源泉徴収税額の一部が還付(返金)される可能性があります。

懸賞金・懸賞品にも課税される?

各地方の特産物などのふるさとの納税の返礼品を含めて、懸賞金・懸賞品も金額によって課税される可能性があります。それでは、懸賞金・懸賞品の税金について解説します。

懸賞金・懸賞品は一時所得

懸賞金・品は所得税法上、一時所得に該当します。所得金額の計算方法は次の通りです。
 

所得金額=収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額50万円

つまり、懸賞金・懸賞品の場合は1人あたりの収入金額が50万円を超えたら課税対象になります。なお、懸賞金・懸賞品の受賞者が2人以上いる場合、特別控除額の枠は「50万円×人数」で計算します。

また、所得税の計算上、一時所得の2分の1相当額を他の所得金額と合算します。

懸賞金・懸賞品の収入金額の算定方法

懸賞金・懸賞品の収入金額の算定方法は種類に応じて次の通りです。

  • 現金:100%(懸賞金の全額)
  • 下記以外の懸賞品:懸賞品の小売販売価額の60%
  • 商品券の場合:券面額
  • 貴石、貴金属、真珠、さんご、書画、骨とう、美術工芸品など:その受けることとなった日の価額

まとめ

副業の種類によって税金の計算方法は違います。雑所得と不動産所得など所得分類の違いはもちろん、同じ所得の種類でも収入金額の計上時期や税率などに差が生じます。副業の種類から自分に該当する税金の計算方法を見つけましょう。

TAX(税金)ライター。会計事務所で約10年間の勤務により調査能力を身に付けた結果、企業分析の能力では高い定評を得、法人から直接調査を依頼される実績も持つ。コーチングスキルを活かした取材力で、HP・メディアでは語られない発言を引き出すのが得意。

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