テイクアウト、宅配などの開始に最大100万円の助成金東京都が飲食店向け緊急支援~「新型コロナ」対策~
新型コロナウイルス感染症の拡大が、国の産業、経済に大きなダメージを与えています。外出自粛や営業時間の短縮が強く呼びかけられた結果、売上が急減(消滅)した飲食業は、その最たるものと言っていいでしょう。そんな中、東京都が「テイクアウト」「宅配」「移動販売」などの新たなサービスを始める事業者に対して、初期費用などとして最大で100万円を援助する事業をスタートさせました。助成の要件をはじめ、ポイントを解説します。
業態転換を支援
外出自粛要請などによって店舗への客足が遠のく中で、飲食店によっては新たにテイクアウトを始めて売上を確保しよう、といった動きも広がっています。今回の東京都の支援事業は、そうした取り組みを後押しすることで事業者を支えるのが目的で、概要は次の通りです。
助成対象
東京都内で飲食業を営む、個人事業主を含む中小企業者。具体的には、都内にある店舗内で調理した飲食料品を提供することができ、飲食可能なスペースを有する事業所で、資本金の額または出資の総額が5,000万円以下の会社、または常時使用する従業員の数が50人以下の人が対象です。
助成内容
新たにテイクアウト、宅配、移動販売などを開始する際の初期経費などに助成されます。主な経費としては、
- 販売促進費(印刷物製作費、PR映像制作費、広告掲載費など)
- 車両費(宅配用バイクリース代、台車など)
- 器具備品費(WiFi導入費、タブレット端末、梱包・包装資材など)
- その他(宅配代行サービスに係る初期登録費、月額使用料、配送手数料など)
助成限度額
100万円。
助成率
助成の対象となる経費の4/5以内となっています。例えば、助成の対象となる初期経費が120万円だったとすると、助成額は120万円×4/5=96万円になります。
助成対象期間
公布決定日から2021年1月末まで。ただし、着手日(助成対象となる取組の「契約」「発注」が発生した日)から最長3ヵ月間とされています。なお、交付決定前に着手していた場合でも、2020年4月1日以降の取組であれば、実施の確認ができれば助成の対象にすることができます。
受付期間
第1回の受付は、2020年4月23日から始まっており、締め切りは同年5月18日(交付決定予定日=同年6月1日)となっています。その後も順次計15回の受付を行い、最終受付は同年11月25日を予定しています。ただし、予算終了の場合は、受付期間中であっても終了する、としています。
出典:東京都中小企業振興公社
申請方法
東京都中小企業振興公社のホームページから募集要項、申請書をダウンロードし、申請書を作成のうえ、添付書類と合わせて記録が残る簡易書留などの方法で公社宛に送付してください。
https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/conversion.html
公布決定から支払いまでは、約4ヵ月
本格的にテイクアウトなどを始めて、減収をカバーしようと考えている人にはありがたい制度ですが、注意点もあります。
◆支払いは、取組後の後払い
「協力金」や「融資」とは異なり、今後の事業活動に向けた取組経費の一部から助成金額を確定し、取組完了後に後払いで交付(支払い)が行われる仕組みになっています。認められた場合には原則返還不要ですが、虚偽、隠蔽をはじめ不正な手段で助成金を受け取った場合には、その返還のみならず、刑事罰の対象になることもあります。
◆「協力金」をもらっても対象になる
東京都は、都の要請に従って施設の使用停止や営業時間の短縮などに協力する中小事業者に対して、「東京都感染拡大防止協力金」の支給を決定し、受付を開始しました。今回の助成は、その協力金を受け取る・受け取らないにかかわらず、対象となります。
◆交付決定から支払いまでは、約4ヵ月
東京都中小企業振興公社によれば、各回の受付終了から支払い決定までが、およそ半月。実際の支払いは、それから「概ね約4ヵ月」とされています。
◆「3月からテイクアウトを始めた」場合は、対象外
対象になるのは、2020年4月1日以降の「業態転換」となります。
◆「同一カテゴリー内の新たな取組」は、対象外
原則として、3つのカテゴリー(①テイクアウト、②宅配、③移動販売)の同一カテゴリー内で新たな取組を行っても、助成の対象にはなりません。例えば、「数年前からテイクアウトを行っているが、その専用窓口を改装したい」といった経費はNGです。
一方、例えば①をやっていた人が新たに②を始める、といったケースは、対象になります。また、②については、これまで自前で行っていたが、新たに宅配代行サービスを利用する、もしくはその逆の取組についても、例外として対象に含まれます。
◆対象になるのは、「東京都内で飲食業を営む中小事業者」です
都内に住んでいても、店舗が都外にある場合は、対象外。本店、支店が都外にある法人が、都内で店舗を構えている場合も、対象にはなりません。本店ないし支店が都内に登記されていることが条件になります。
◆申請は1事業者につき1回
多店舗展開していても、助成の対象になるのは1店舗のみになります。
まとめ
東京都で飲食業を営む人が、テイクアウト、宅配、移動販売を新たに始める場合には、要件を満たせば、最大100万円の都の助成金が受け取れます。対象になる方は、忘れずに申請しましょう。
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