10年間で物価は上がった?下がった?直近10年間の物価変動について解説

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[取材/文責]マネーイズム編集部

最近、物価が上がっているといったニュースを見たり、実際にモノを購入したりして、物価が上がっていることを実感している人も多いでしょう。 

ウクライナ問題の影響などで物価は上がり続けていますが、この10年間で物価はどれぐらい上がったのでしょうか。

ここでは、直近10年間の物価変動について解説します。

消費者物価指数と賃金はどう変化した?

物価が上昇したかどうかを判断するために重要なのが「消費者物価指数」と「賃金」です。消費者物価指数と賃金の変動を見ることで、物価の変動についても正しく判断ができます。

ここでは、消費者物価指数と賃金がそれぞれどのように変化したのかを見ていきましょう。

・消費者物価指数

消費者物価指数とは、価格に幅がある商品を標準化して、その平均的な価格の値動きを数値化したものです。簡単にいうと、大きな買い物かごに様々な商品をつめ、ある時点の買い物かごにつまった価格を100(基準時)とし、基準時と比べて価格がどのように変化しているのかを数値化したのが消費者物価指数です。

独立行政法人労働政策研究・研修機構が公表した消費者物価指数の資料によると、2020年を基準の100とした場合の消費者物価指数は、2017年で98.6、2018年が99.5だったものが、2022年で102.3、2023年4月は105.1(前年比3.5%上昇)となっています。このことから、消費者物価指数は徐々に上昇していることがわかります。

・賃金

独立行政法人労働政策研究・研修機構では、賃金(現金給与総額)についての資料も公表しています。

その資料によると、賃金(現金給与総額・賞与込み)は、2017年は319,453円、2020年は318,405円、2022年は325,817円です。2023年4月では、285,176円(前年比0.8)となっており、前年よりも下落しているように見えますが、まだ賞与の金額が反映されていないため、一概に低いとはいえません。しかし、前年よりも大幅に上昇しているとも考えられないため、2023年は前年と同程度と考えても良いでしょう。

消費者物価指数と賃金を見ると、消費者物価指数は上昇しているが、賃金は上昇していないことがわかります。つまり、価格の上昇に、給料が追いつけていないということになります。

ここで、諸外国の状況も見てみましょう。2023年2月時点の消費者物価指数は、前年同月比で、アメリカが6.0%、イギリスが10.4%、ドイツが8.7%と軒並み上昇しています。

対して賃金(実質賃金)ですが、公表されている資料の直近である2022年12月を見ると、アメリカが4.2%、イギリスが4.5%、ドイツが2.6%と、こちらも軒並み上昇しています。日本に比べて諸外国のほうが、価格の上昇に給料がついていけているといえます。

日本におけるその他の指標を見ていくと、大卒初任給はここ数年21万円程度で推移しています。少しずつ(数千円程度)上昇していますが、大幅な伸びはありません。また、労働時間もここ数年は総実労働時間で135~136時間程度と変化がなく、労働面の改善はあまりされていないことがわかります。

この10年で物価は上昇した?

消費者物価指数から、物価が上昇したことがわかります。では、私たちの生活に密着する商品については、どのように物価が上がっているのでしょうか。

統計局の小売物価統計調査(動向編)調査結果では、2022年までの商品別の価格が記載されています。そこからいくつかの商品の10年間の物価(東京23区)について見てみましょう。

・食品

2013年 2018年 2022年
うるち米(5㎏) 2,307円 2,232円 2,076円
食パン(1㎏) 418円 429円 478円
小麦粉(1㎏) 225円 251円 312円
さば(100g) 100円 120円 131円

 

食品について見てみると、簡単には価格を上げることができない、うるち米以外のものについては、徐々に価格が上昇していっています。

・生活

2013年 2018年 2022年
水道代 2,362円 2,430円 2,475円
電気冷蔵庫 135,769円 166,748円 242,498円
自転車(シティ車) 30,874円 38,429円 40,601円
ガソリン 153円 148円 169円

 

生活に必要な商品についても、一般的なものについては、10年前に比べて高くなっています。

・レジャー

2013年 2018年 2022年
映画観覧料 1,800円 1,800円 1,800円(一部の映画館では1,900円)
ゴルフプレー料金 11,027円 12,296円 13,871円
カラオケルーム使用料 725円 867円 985円

 

レジャー料金については、10年間の価格の上昇幅について大きな差があり、映画観覧料のように価格に変動がないものもあります。ただし、一部を除いて、価格は上昇しているといって過言ではないでしょう。

食品や生活、レジャーについて、10年間の価格変動を見てきましたが、おおむねすべての品目、カテゴリーで価格が上昇していることがわかります。

今回は、データとしている2022年について確認しましたが、2023年になっても、食品やおやつ、日用品などの値上げのニュースが頻繁に報道されています。

今後の私たちの暮らしはどうなる

過去10年間を見てみると、物価が上昇しているものの、賃金などの労働面での改善は、あまりされていませんでした。

では、今後、私たちの暮らしはどうなっていくのでしょうか。物価や賃金、政府の対応について見ていきましょう。

・物価

物価については、これからも上昇すると考えられます。物価上昇の原因として、まず挙げられるのが、ウクライナ問題による原材料の不足です。ウクライナ問題が長引けば、今はまだ企業努力で価格が抑えられていた商品についても、価格が上昇することが考えられます。実際に、電気料金などの価格の上昇が始まっている地域もあります。

価格上昇が考えられるもうひとつの原因が、インボイス制度の導入です。インボイス制度の導入により、これまで消費税の納付が免除されていた小規模事業者にも消費税が課せられることとなり、場合によっては価格の値上げが行われる可能性もあります。 

・賃金

政府の呼びかけにより、大企業では賃金を上昇させている傾向にあります。しかし、賃金の上昇をいつまで継続できるのかは不明です。

また、中小企業にとって、賃金を中々上げられない状況にあるのは確かです。日本の企業の大部分が中小企業であることを考えると、賃金の上昇は難しいと考えられます。

・政府の対応

政府では、企業に対して賃金の上昇を呼びかけたり、税の優遇措置を講じたりしています。また、子育て世代や低所得者層への給付などの施策を行い、賃金上昇の下支えを行っています。ただし、効果がすぐに出るというものではないので、政府の対応によって賃金が上昇するのかは不明です。

物価や賃金、政府の対応のことを考えると、今後も物価は上昇する可能性が高いですが、賃金がすぐに上昇するとは考えにくい状況です。節約をするなど、自分たちでできることを少しでも心がけて、物価上昇への対策を立てることが重要です。

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まとめ

ウクライナ問題の影響などで、ここ数年の物価は上がり続けています。では、ウクライナ問題の影響などが起こる前の10年前からとなると、どのような価格の変動になっているのでしょうか。

価格の変動を見る指数として重要なのが、消費者物価指数です。消費者物価指数とは、価格に幅がある商品を標準化して、その平均的な価格の値動きを数値化したものです。

消費者物価指数は、数年前からずっと上昇を続けています。また、実際にここ10年における商品の価格変動を見ても、食品や生活、レジャーなどのカテゴリーでも物価の上昇がみられます。

一方で、賃金はほとんど変化がありません。今後、賃金が上がるかどうかは不透明なため、節約など今できる対策を行うことが重要となるでしょう。

中小企業オーナー、個人事業主、フリーランス向けのお金に関する情報を発信しています。

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