プレゼントには税金がかかる?プレゼントと贈与税の関係とは

[取材/文責]長谷川よう

親しい人や親族などにプレゼントを贈る人は多いでしょう。特に誕生日やクリスマスなどには、プレゼントをする機会も増えるのではないでしょうか。

プレゼントを贈る際に考えたいのが税金のことです。果たして、税金がかかるのはどのような場合でしょうか。この記事では、プレゼントと贈与税の関係について、詳しく解説します。

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プレゼントが贈与になるのかを見極める

贈与税とは、贈与に対してかかる税金のことです。そもそも「贈与」とは、相手に金銭や物品などをあげることです。しかし、実は金銭や物品をあげることが「贈与」に該当するには、金銭や物品などを受け取る側にも受け取る意思がなければいけません。受け取る側に承諾の意思があって初めて、贈与になります(贈与の契約書を交わす必要はない)。

 

実は、プレゼントには贈与になるケースと、贈与にならないケースがあります。上記に当てはまるプレゼントは贈与に当たりますが、一方的に金銭や物品などを贈り、受け取る側に受け取る意思がないケースでは贈与に当たりません。もちろん、贈与に当たらないケースでは、贈与税はかかりません。

 

さらに、プレゼントが贈与に当たる場合でも、贈与税がかかるケースとかからないケースがあります。ここでは、贈与に相当するプレゼントについて、贈与税がかかるケースとかからないケースについて、それぞれ見ていきましょう。

プレゼントに贈与税がかかるケース

まずは、プレゼントに贈与税がかかるケースから見ていきましょう。

 

プレゼントの例として、次のようなものがあります。

  • 親から子供にパソコンをプレゼントした。
  • 恋人同士で記念品をプレゼントしあった。
  • お金持ちから車をプレゼントされた。

これらのプレゼントは通常、贈る側はもちろんのこと、プレゼントされた側は受け取る承諾をします。そのため、一般的なプレゼントは、原則として贈与に該当します。

プレゼントに贈与税がかからないケース

贈る側と受け取る側にそれぞれあげる・もらうの意思があれば、プレゼントは贈与になります。もちろん、贈与は贈与税の対象となります。しかし、すべてのプレゼントを贈与税の対象にしてしまうと、問題が出てきます。

 

例えば、親から子供におもちゃを誕生日プレゼントを贈った場合、これは、贈る側と受け取る側にそれぞれあげる・もらうの意思があるので贈与になります。しかし、子供へのおもちゃにまで贈与税を課してしまうことは、普通に考えておかしいと思う人が多いです。

 

そこで、社会通念上認められるものには、贈与税を課さないこととしています。例えば、葬式などの香典や花輪代、年末年始のプレゼント、お見舞いの品などで、一般的なものについては、贈与税の対象になりません。

プレゼントがに贈与税がかかる場合の計算方法

プレゼントが、一般的(社会通念上認められるもの)でない場合は、贈与税がかかります。ここからは、プレゼントにかかる贈与税の計算方法について見ていきましょう。

プレゼントはいくらから税金がかかる?

まずは、いくらのプレゼントなら税金がかかるのか見ていきましょう。

 

プレゼントが一般的(社会通念上認められるもの)でない場合は、贈与税がかかりますが、実際にそのプレゼントが一般的(社会通念上認められる)かどうかの判断は、難しいこともあります。そこで注意したいのが、贈与税の基礎控除です。

 

基礎控除とは、贈与税額の計算上(暦年課税)、誰でも差し引くことのできる控除のことで、いわば非課税枠のようなものです。贈与税では、1年間に110万円 の基礎控除額があります。

 

つまり、1年間に110万円までならプレゼントを受け取っても(贈与を受けても)、贈与税がかかることはありません。1年間で基礎控除額を超えるプレゼントがあった場合は、贈与税がかかります。基礎控除額は1年間の贈与の合計額に対するもので、贈る人ごとに設定されているわけではありません。

 

例えば、孫が1年間に祖父から50万円相当の高級時計、祖母から50万円相当の宝石の贈与を受けた場合は、贈与の合計金額は100万円となるため、贈与の合計額が基礎控除額を下回り、贈与税はかかりません。

一方、孫が1年間に祖父から100万円相当の絵画、祖母から20万円相当の着物の贈与を受けた場合は、贈与の合計金額は120万円となるため、贈与の合計額が基礎控除額を上回り、贈与税がかかります。

プレゼントにかかる贈与税の具体的な計算例

次に、プレゼントにかかる贈与税の具体的な計算例を見ていきましょう。納める贈与税の金額は、次の計算式で求めます。

贈与税額=(贈与された合計 -基礎控除額110万円)×税率-控除額

税率には、次の2つがあります。

 

・一般税率

基礎控除後の金額 200万円以下 300万円以下 400万円以下 600万円以下 1,000万円以下 1,500万円以下 3,000万円以下 3,000万円超
税 率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 25万円 65万円 125万円 175万円 250万円 400万円

 

 

・特例税率
特例税率とは、祖父母や父母などの直系尊属から20歳以上の子や孫(贈与があった年の1月1日現在)への贈与に対する税率です。

基礎控除後の金額 200万円以下 400万円以下 600万円以下 1,000万円以下 1,500万円以下 3,000万円以下 4,500万円以下 4,500万円超
税 率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円 640万円

例えば、1年間に300万円の贈与を受けた場合の贈与税の金額は次のようになります。

贈与税額=(贈与された金額300万円-基礎控除額110万円)×税率10%=19万円

プレゼントにかかる贈与税の注意点

ここからは、プレゼントにかかる贈与税の注意点について見ていきましょう。

プレゼントに贈与税がかかる場合は贈与税の申告が必要

プレゼントに贈与税がかかる場合、贈与税の申告が必要になります。ただし、プレゼントがあっても基礎控除額以下であれば、贈与税の申告は不要です。贈与税の申告は通常、翌2月1日から3月15日まで となっています(コロナ等の特例で申告期限が延長されることがあります)。贈与税の申告書は、税務署の窓口や国税庁のホームページからのダウンロードなどで、入手します。

 

また、特例贈与の場合には、受贈者の戸籍の謄本などの受贈者の情報(氏名や生年月日)、贈与者との関係がわかる書類の添付が必要です。贈与税の申告書の提出は、税務署への書類での申告のほかe-Taxでも可能です。

教育資金など一定の資金のプレゼントは贈与税がかからないことも

ここまでは、一般的なプレゼントについて見てきましたが、一定の資金のプレゼントに対しては別途、贈与税がかからない特例もあります。特例で贈与税がかからない代表的なものに「教育資金の一括贈与」と「結婚・子育て資金の一括贈与」があります。それぞれについて見ていきましょう。

・祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度

この制度は、令和5年3月31日までの間に、父母や祖父母などの直系尊属から、教育資金を受け取った場合に、最大1,500万円までを非課税とする制度です。ただし、受贈者は30歳未満であることや、金融機関等との一定の契約に基づき贈与を行う必要があるなど、一定の条件があります。

 

・父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度

この制度は、令和5年3月31日までの間に、父母や祖父母などの直系尊属から、結婚や子育ての資金を受け取った場合に、最大,1,000万円までを非課税とする制度です。ただし、受贈者は20歳以上50歳未満であることや、金融機関等との一定の契約に基づき贈与を行う必要があるなど、一定の条件があります。

まとめ

贈る側と受け取る側にそれぞれあげる・もらうの意思がある金品の受け渡しは、贈与になります。そのため、クリスマスや年末・年始の時期に増えるプレゼントは原則、贈与に該当します。

 

しかし、社会通念上認められるものや、1年間で110万円以内のプレゼントであれば、贈与税はかかりません。

 

贈与税がかかる場合には、贈与税の申告も忘れずに行う必要があります。まずは、受け取ったプレゼントに贈与税がかかるのかどうかを正しく判断することが重要となるでしょう。

会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。

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