買い物やサービス利用をお得に使いたい!経済圏を選ぶならどこがいい?

[取材/文責]長谷川よう

インターネットやサービスの普及・増加により、買い物の仕方やしくみも以前と比べて、大幅に変わりました。インターネットを使ってサービスを提供している会社は様々なサービスを展開し、いわば経済圏を作っています。

ここでは、代表的な経済圏の説明や、選ぶならどの経済圏が良いのか、そのポイントを解説します。

そもそも経済圏とは何?

はじめに、そもそも「経済圏」とは、どのようなものを指すのか見ていきましょう。

経済圏とは、日本の中だけでなく、海外をも含んだ大きなつながりのことをいいます。これまでは国や地域など、経済的なつながりがある地域圏を指していました。例えば、日本国内、東京や近畿などの経済圏であったり、アジア経済圏であったりと、その範囲は大小さまざまでした。

しかし、最近ではデジタル技術の発展により、経済圏の考え方が変わってきています。国内外それぞれの経済圏の中で、より便利に商取引ができるように、インターネットを活用した様々な技術が開発されるようになりました。例えば、電子商取引であるe-コマースの技術や、様々なものがインターネットとつながるIoTなどの技術などが挙げられます。

このような技術により、これまで人と人が対面で行っていた商取引が、対面でなくても行えるようになり、今では経済圏の考え方がインターネットを通じたものも含むようになっています。

楽天やソフトバンクなど、インターネット上での経済活動に軸足を置く会社は、携帯やネット金融など様々な分野でサービスを展開しています。つまり、ネットを通じた新たな経済圏を構築していることになります。

一方、地方部の小規模な経済圏では、スーパーなどの事業の撤退や縮小などで、買い物などの経済活動や、地域コミュニティの維持ができないケースが増加しつつあります。

そのため、これまではネット通販などを利用することのなかった人が、ネット通販などを利用することが考えられ、ネットを通じた新たな経済圏もさらに発展することが予想されます。

今回、ご紹介する経済圏とは、主にこれらネットを通じた新たな経済圏を指します。

日本における主な経済圏は何がある?

ここからは、日本における代表的なネットを通じた経済圏について見ていきます。主な経済圏として「楽天経済圏」「docomo経済圏」「PayPay経済圏」「au経済圏」「イオン経済圏」があります。

主な経済圏を表にまとめると、次のようになります。

【主な経済圏】

楽天 docomo PayPay au イオン
通信 楽天モバイル docomo ソフトバンク
ワイモバイル
au
UQモバイル
ECサイト 楽天市場 dショッピング Yahoo!ショッピング auPAYマーケット イオンネットスーパー
ポイント 楽天ポイント dポイント PayPayボーナス
(Tポイント)
Pontaポイント WAONポイント
クレジットカード 楽天カード dカード PayPayカード auPAYカード イオンカード
電子決済 楽天PAY d払い PayPay auPAY WAON
銀行・証券 楽天銀行
楽天証券
PayPay銀行
PayPay証券
auじぶん銀行
auカブコム証券
イオン銀行
特徴 ・楽天市場が老舗で規模大きい
・楽天モバイル苦戦
・携帯事業規模大きい
・銀行と証券は、他社との連携
・実店舗で使える店が多い
・他社に比べて携帯事業の認知度が小さい
・携帯事業規模が大きい
・ポイントが使える実店舗が他社に比べて少ない
・実店舗があるので、ネットスーパーの品ぞろえが豊富
・携帯事業を行っていない

 

インターネットを通じた経済圏では、通信(携帯電話)を中心として様々なサービスを展開している場合が多いです。楽天、docomo、PayPay、auの各社は、それぞれ携帯電話事業を行っています。また、ECサイトによるネット通販を行っているのも特徴です。

各経済圏ともに、メリットとして挙げられるのがポイントです。利用金額に応じて付与されるポイントは、各サービス共通のものです。例えば、携帯電話の利用で付与されたポイントは、ECサイトで利用することができます。

デメリットとしては、実店舗で電子決済やポイントを使う場合、使えるポイントが決まっていることです。例えば、飲食店で楽天PAYを使いたくても、その飲食店がd払いにしか対応していなければ、使うことができません。

イオンは携帯事業を行っていないものの、ECサイトやクレジットカード、銀行の事業も行っており、独自の経済圏を築いています。

各経済圏の特徴は、以下のようになっています。

・楽天経済圏

楽天経済圏でメインとなるのは楽天市場です。楽天市場は、老舗のECサイトで規模も知名度も大きいです。一方、楽天モバイルは新規に参入していることもあり、苦戦が続いています。

・docomo経済圏

docomo経済圏の中心は携帯電話キャリアのdocomoです。docomoの事業規模は他のキャリアに比べて大きいです。一方、自前で銀行や証券会社は経営しておらず、他社との連携をしています。

・PayPay経済圏

PayPay経済圏はソフトバンクを中心に発展している経済圏で、電子決済のPayPayは後発ながら急激に発展してきた電子決済です。使える実店舗も多いです。一方、携帯電話のキャリアとしては、docomoやauよりも認知度はやや低めです。

・au経済圏

au経済圏は、docomo経済圏と同様に携帯電話キャリアを中心とした経済圏です。携帯事業規模が大きい一方、電子決済やポイントが使える実店舗は、他社より少ないです。

・イオン経済圏

イオン経済圏は、スーパーマーケットであるイオンを中心とした経済圏です。実店舗があるので、ネットスーパーの品ぞろえが豊富という特徴があります。

経済圏の中で、生活に必要なある程度のサービスが完結しているため、一般的には一つの経済圏を選び、その中のサービスを利用します。例えば、楽天市場とPayPay証券を併用するよりも、楽天市場と楽天証券を利用したほうが、同じポイントもたまってお得です。

2024/4/25追記

上記経済圏とは異なりますが、2024年4月22日に「TSUTAYA」などを運営するカルチェア・コンビニエンス・クラブのポイントサービスである「Tポイント」と三井住友フィナンシャルグループが展開している「Vポイント」が統合されました。

今回統合された目的としては、ポイントの貯めやすさや、使いやすさを高めるほか、会員数を増やすことでマーケティングにおける優位性を高め、加盟店の拡大につなげるとしています。

統合後は、総利用者数が8,600万人に上るとされており、ポイント経済圏の競争に大きな変化が訪れる可能性が考えられています。

一方で、統合したことによるポイント付与などの条件は変わらないものの、これまで受け取れていた特典やサービスが利用できなくなるなどの問題も出てくるため、ユーザーからの反発が出ないように調整していくことが求められています。

経済圏を選ぶポイント

日本には、楽天やdocomoなど様々な経済圏があり、それぞれに異なる特徴があります。
では、経済圏を選ぶ場合には、何を基準に考えたらよいのでしょうか。

経済圏を選ぶポイントで重要なことは、自分のライフスタイルに合った経済圏を選ぶことです。経済圏の選び方の一例を挙げます。

・携帯電話の使用頻度が高い

携帯電話の使用頻度が高く、今使っている携帯を変える気がないなら、その携帯電話キャリアの経済圏を利用すると便利です。

・インターネットショッピングの利用が多い

携帯電話の利用よりも、インターネットショッピングの利用のほうに重点を置く場合は、使っているECサイトの経済圏を選びます。

・外出が多い

外出が多く、外での買い物や飲食店での食事が多いなら、よく行くお店で使えるクレジットカードや電子決済・ポイントがある経済圏を選びます。

・その他

その他、株の取り引きやポイ活などをメインに考えている場合なども、利用している証券会社のある経済圏を利用します。

まとめ

経済圏とは、国や地域など経済的なつながりがある圏内のことです。しかし、最近ではデジタル技術の発展により、経済圏の考え方がインターネットを通じたものも含むようになっています。

楽天やソフトバンクなど、インターネット上で経済を行っている会社では、携帯やネット金融などさまざまな分野でサービスを展開しており、ネットを通じた新たな経済圏を構築しています。日本における主な経済圏には、「楽天経済圏」「docomo経済圏」「PayPay経済圏」「au経済圏」「イオン経済圏」があります。

経済圏の中で、生活に必要なある程度のサービスが完結しているため、一般的には一つの経済圏を選び、その中のサービスを利用します。

経済圏を選ぶポイントで重要なことは、自分にとって使いやすいものを選ぶことです。自分のライフスタイルに合った経済圏を選んで利用しましょう。

会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。

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