手持ちポイントを増やす「ポイント投資」とは?税金はかかるの?

[取材/文責]橋本玲子

買物時に「○○カードはお持ちですか?」と尋ねられることが日常的となり、ポイントサイトやカード利用で付くポイントを効率よく貯めて上手く使う「ポイ活」という言葉も耳馴染みになっています。今回はポイ活のうち、ポイントを貯めるだけでなく増やす、いわゆる「ポイント投資」と呼ばれるサービスについて解説します。

ポイント投資は「運用」と「投資」の2種類がある

ポイント投資はポイントの状態のまま運用する「ポイント運用」と、ポイントを現金化して運用する「ポイント投資」の2つのサービスに分けられます。それぞれの違いを見ていきましょう。

疑似運用型とも呼ばれるポイント運用

ポイント運用は、サイトで貯まったポイントをそのまま運用原資として運用会社に預けて運用してもらうものです。現金でなくポイントの状態で投資するため「疑似運用型」と呼ばれます。投資する対象は実際の投資信託や株式ですが、対象の価額が上がるとポイントで還元されます。一方価額が下がると手持ちポイントが減る仕組みとなっており、ポイントはゼロになることはあってもマイナスにはなりません。

現金運用型とも呼ばれるポイント投資

一方ポイント投資は、貯まったポイントを現金化したものを運用原資として、株式や投資信託等の金融商品を実際に購入するものなので「現金運用型」と呼ばれます。投資の元手がポイントというだけで、通常の投資そのものと考えられます。現在の利率では難しいですが、感覚としては銀行預金の利子のみを投資に回すような形に近いでしょう。

対象商品の価額が上がれば、プラス分はもちろん現金で受け取れます。

ポイント運用・投資のメリット・デメリット

ポイント「運用」と「投資」にはそれぞれメリット・デメリットがあり、2つを合わせた「ポイントによる投資」そのものにもまたメリット・デメリットがあります。順にみていきましょう。

ポイント運用のメリット・デメリット

ポイント運用のメリットは、なんといってもその気軽さです。

ポイント運用を始めるには、まず各サイトが運用用に予め用意しているいくつかのコースのうちいずれかを選択し、自分の手持ちのポイントを投じればOK。コースによりますが、最低1ポイントからの投資が可能です。

 

事前の手続きも至って簡単で、面倒な証券口座の開設も不要です。また投じて増えたポイントを支払いのため引き出す手数料も、ほとんどのサイトで無料となっています。

 

また、現金そのものだとリアルな「失う」「損をする」感覚がポイントだと希薄なのもメリットです。手元にあった現金が減るのでなく、あくまでも「ポイント」なので失ってもダメージが少なくてすみます。

特に有効期限が迫ったポイントで無駄なものを購入する代わりにポイント運用に回せば、運用中のポイントの有効期限はなくなるので、もし減ったとしても損をしたと感じるリスクは更に減らせるでしょう。

 

逆にデメリットは、所詮疑似体験投資に過ぎないということです。実際の投資をしてみるためのお試し期間のようなものであり、損をした感覚が少ないのと同様、得をしたともあまり感じられないかもしれません。

また、ポイントそのものの所有権は、使用するまではサイトやカード会社にあることにも注意が必要です。証券会社であれば破綻しても資金返還請求が可能ですが、もしポイント運用会社やサイトが破綻すればポイントはすべて失われてしまいます。

ポイント投資のメリット・デメリット

ポイント投資のメリットは、まず実際の投資より少額から始められることです。なかには100ポイントからでも可能なものもあります。また、いくら現金化するとはいえ元々はポイントですから、運用同様気軽に始められ、失うダメージも少ないでしょう。

 

次に、銘柄、コースを選ぶところから始まり、サイトによっては条件を満たせば本物の株式と交換できるなど、様々な知識や経験が得られるのもリアルな投資ならではのメリットです。

自身の「現金」での投資なので、運用会社が破綻しても資金返還請求ができるのも安心です。

 

一方デメリットとして、まず証券口座の開設が必要ということがあります。ネット上で開設手続きができる証券会社もありますが、それでもいくつかの書類を揃えなければならず、始めるまでに手間と時間がかかります。

次に、少額での取引は、利益にかかる手数料の割合がどうしても高くなるという点があげられます。

また、後述しますが利益によっては確定申告が必要になる可能性があります。

いずれの点も本物の投資だからこその注意点ですが、面倒だと感じるかもしれません。

「ポイントによる投資」の注意点

ポイントは言うまでもなくカードやサイトでお金を使うことにより発生するものです。運用資金(ポイント)を貯めるために不要なものを購入するといった無駄遣いは本末転倒となってしまいます。

また、少額ゆえ短期間で目に見えて利益を得られるということはありません。

運用も投資も、あまり熱くなり過ぎないように注意しましょう。

ポイント投資にかかる税金とは?

既述のようにポイント投資にも税金が発生する場合があります。ポイントの性質とポイント投資の仕組みから考えてみましょう。

ポイントそのものに税金はかからない

ポイント取得にかかる利益については、付与的なものではなく、商品の値引きを受けたと考えます。そして「通常の商取引における値引きを受けたことによる経済的利益については、原則として課税対象となる経済的利益には該当しない」とするのが国税庁の見解です。

したがってポイントをいくら取得しても、また所有していても課税はされず、確定申告の必要もありません。

ポイントの所有権に関する考え方とも結果的に合致します。

ポイント「運用」なら一時所得の可能性?

ポイント運用に関しては、対象サイトやカード会社からの「贈与」ではなく「一時所得」、すなわち所得税の課税対象となるとの見方が主流です。

したがって50万円までは非課税、50万円を超えると以下の形で課税されます。

 

一時所得の税金=(総所得額-50万円)×1/2

 

もっとも所得税が運用益にかかるのか、運用したポイントにもかかるのかは解釈が分かれているのが現状です。というのも法令での明記がないからです。

ただしポイントがこれほど市民権を得ている社会状況から見て、早晩なんらかの法整備がされる可能性はあります。実際にポイントだけで50万円相当を動かすことはまずなく、税金を視野に入れる必要はないと思いますが、一応注意はしておきましょう。

ポイント「投資」は課税対象になる可能性

ポイントを現金化して行うポイント投資は通常の投資と同様に扱われ、運用益が課税対象となります。運用益はポイントでなく現金で受け取ることを考えれば当然といえます。

運用益にかかる税金は株式等の利子・配当と同じ「源泉分離課税」で、20.315%(所得税が15.315%・地方税が5%)となります。

投資以外でポイントが課税されるケース

投資以外でもポイントが課税対象になる場合があります。併せて覚えておきましょう。

 

・所得控除の対象となる支出のポイント利用
ポイントを使った「スイッチOTC医薬品(市販薬に転用された医薬品)」購入は確定申告における医療費控除を計算する際に、ポイントによる値引き後の額で算出するか、ポイント使用相当額を先述の一時所得額に算入しなければなりません。

 

・大量のポイントに当選した場合
キャンペーンなどで一度に、かつ臨時に大量取得したポイントは「通常の商取引における値引き」とはもはやいえず、いわゆる「当たり馬券」と同様一時所得とみなされるため、やはり一時所得額に算入する必要があります。

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ポイント投資は税金が発生するの?,3分でわかる!税金チャンネル

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まとめ

ポイントによる投資は、運用・投資どちらも各サイトが投資に興味を持ってもらうきっかけとし、本格的な投資への移行を促すために行う一種のサービスと位置づけられます。ポイントによる投資のみをただ続けるのではなく、自身に合う合わないを見極め、次へのステップを踏み出すか否かを考える場とするのも一つの手かもしれません。

行政書士事務所経営。宅地建物取引士、知的財産管理技能士2級取得。遺言執行や成年後見などを行う一般社団法人の理事も務めている。

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