ポイント投資でお得に資産運用!ポイント投資の概要と税金について解説

[取材/文責]長谷川よう

ショッピングサイトの買い物など、様々なシーンで付与されるのがポイントです。今、これらのポイントで投資を行い、資産運用ができるサービスが増えています。

気軽に資産運用ができて人気のポイント投資ですが、得た利益には税金がかかるのでしょうか。ここでは、ポイント投資の概要と税金について解説します。

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そもそもポイント投資とは

はじめに、そもそもポイント投資とはどのようなものかを見ていきましょう。

ポイント投資とは、買い物などで貯まったポイントを、商品との交換や代金の支払に充てるのではなく、投資に使うサービスのことです。多くの場合、ポイントを付与する業者がサービスのひとつとして提供しています。

ひとくちにポイント投資といっても、実はその形態には「ポイント運用型」と「ポイント投資型」の2つがあります。

●ポイント運用型

ポイント運用型は、証券会社の口座が不要なタイプのポイント投資です。ポイントをポイントのままで運用を行います。

ポイント運用型は、ポイント発行元などが行っているサービスのひとつで、ポイント投資の運用益もポイントとして付与されます。いわば、ポイント運用型は疑似投資に近いものです。

●ポイント投資型

ポイント投資型は、証券会社の口座が必要となるタイプのポイント投資です。原則、ポイントをいったん換金して、株式などの投資商品を購入します。運用後は、投資額や運用益を現金で受け取ります。ポイント投資型は、実際の株式投資と同じです。

ポイント投資と税金の関係

ポイント投資をする際に、気になるのが税金のことではないでしょうか。実は、ポイント投資をポイント運用型にするのか、ポイント投資型にするのかで、税金の考え方が異なります。ポイント運用型・ポイント投資型それぞれの税金を見ていきましょう。

ポイント運用型は一時所得になる

所得税では、収入の種類によって、所得の区分が異なります。また、所得区分により、所得金額や税金の計算方法が決まっています。

ポイント運用型のポイント投資で得た利益は、一時所得になります。一時所得とは、継続的な仕事からではなく、一時に得た所得のことです。ポイント運用型は、実際の株式投資ではないため、一時所得になります。一時所得の所得金額は、次の計算式で求めます。

一時所得金額=収入金額-収入を得るために支出した金額(投資したポイント)-特別控除額(最高50万円)

「収入金額-収入を得るために支出した金額(投資したポイント)」とは、ポイント運用益のことです。最高50万円の特別控除額があるため、ポイント運用益が50万円以下の場合は、所得金額が0円となり、税金はかかりません。
通常、ポイント運用型の投資で、運用益が50万円を超えることはほとんどありません。
そのため、ポイント投資以外の一時所得がなければ多くの場合、税金はかかりません。

ポイント投資型は株などの資産運用と同じ考え方をする

ポイント投資型は原則、ポイントをいったん換金して、株式などの投資商品を購入します。投資方法は、株などの資産運用と同じであるため、税金についても、株などの資産運用と同じ考え方をします。ポイント投資型では、株などを売却して利益を得たなら譲渡所得に、配当金を得たなら配当所得になります。

譲渡所得や配当所得は、給与や事業などの他の所得と税金の計算が異なります。譲渡所得は売却益に、配当所得は配当金に、それぞれ20.315%の税金(所得税15%、復興特別所得税0.315%、地方税5%)が課されます。

ポイント投資と確定申告の関係

ポイント投資をする際に、税金とともに注意しなければならないのが、確定申告です。ポイント投資では、確定申告が不要の場合が多いですが、その基準は、ポイント運用型、ポイント投資型で次のように異なります。

ポイント運用型は確定申告不要となることが多い

ポイント運用型の所得は、一時所得になります。一時所得は特別控除額が50万円あるため、運用益が50万円以下の場合は所得税がかかりません。所得税では、納める税金がない場合は、収入があったとしても確定申告は不要です。

ポイント運用型では、運用益が50万円を超えることはほとんどないため、税金がかかる人も少なく、確定申告が不要となることが多いです。

ただし、懸賞金や競馬の払戻金、生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金なども一時所得に該当します。ポイント運用型のポイント投資以外に、これらの一時所得があれば、確定申告が必要になることもあるので、注意しましょう。

ポイント投資型は運用口座の種類で確定申告が必要かどうか異なる

ポイント投資型は、証券口座を開いて株式などの投資を行うポイント投資です。ポイント投資型では、売却益と配当金の2つに税金がかかります。

このうち、配当金については、配当金が口座に入金される際に、あらかじめ税金が源泉徴収されているので、原則、確定申告は不要です。そのため、ポイント投資型で確定申告が必要かどうか問題となるのが、売却益(譲渡所得)についてです。

ポイント投資型の譲渡所得で確定申告が必要かどうかは、証券会社で開設した口座の種類によって変わります。ポイント投資型のポイント投資で開設する口座には「特定口座・源泉徴収あり」「特定口座・源泉徴収なし」「一般口座」の3種類があります。それぞれの口座で、確定申告の要・不要は次のようになっています。

●特定口座・源泉徴収あり
特定口座とは、証券会社がその口座の1年間の取引について、数量や金額、売却益の金額などをまとめた年間取引報告書を発行する口座のことです。特定口座を開設する際に、「源泉徴収あり」「源泉徴収なし」を選択できます。源泉徴収ありの場合は、売却益がでる都度、売却金額が口座に入金される際に、あらかじめ税金が源泉徴収されます。そのため、確定申告は不要です。

●特定口座・源泉徴収なし
特定口座を開設する際に、「源泉徴収なし」を選択すると、あらかじめ税金が源泉徴収されることはありません。そのため、確定申告が必要です。年間取引報告書などを見ながら、確定申告書を作成します。

●一般口座
一般口座とは、特定口座以外の口座のことです。特定口座でないため、あらかじめ税金が源泉徴収されることはありません。そのため、確定申告が必要です。

「特定口座・源泉徴収なし」「一般口座」の場合は、確定申告が必要です。ポイント投資型のポイント投資で、確定申告が必要な場合は、原則、次の書類を作成する必要があります。
●確定申告書B(第一表、第二表)
●確定申告書B(第三表)
●株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書
その他にも、株式や個人の状況によって、異なる書類が必要な場合があります。

まとめ

ポイント投資とは、買い物などで貯まったポイントを、商品との交換や代金の支払に充てるのではなく、投資に使うサービスです。ポイント投資には、「ポイント運用型」と「ポイント投資型」の2種類があり、それぞれで税金や確定申告の考え方が異なります。

ポイント運用型とは、証券会社の口座が不要なポイント投資のことで、ここで得た利益は一時所得になります。また、運用益が50万円以下の場合は、税金がかからず、確定申告も不要です。

一方、ポイント投資型とは、証券会社の口座が必要なポイント投資のことで、売却益は譲渡所得になります。譲渡所得には税金がかかりますが、特定口座・源泉徴収ありの場合は、確定申告は不要です。

このように、自分が行っているポイント投資が「ポイント運用型」なのか「ポイント投資型」なのかを確認し、確定申告が必要かどうかを見極めることが重要です。

会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。

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