世界が注目!バリ島・ブータン観光税事情と今後の展望
海外を旅行すると観光税を取っている国が増えています。ブータンは以前から観光税をとっており、今後、バリ島でも観光税を取る動きが出ています。ではなぜ観光税を取る国が増えているのでしょうか。
ここでは観光税を取る国の思惑と観光税を導入することで、どのような影響があるのかについて解説します。
バリ島やブータンの観光税とは
バリ島やブータンの観光税はどのような狙いがあるのでしょうか。ここではその概要と導入の背景について解説します。
バリ島での観光税の概要と徴収方法
2024年1月1日からバリ島に入島する旅行者から、1人当たり10ドル(日本円で約1400円)を観光税として徴収する計画があります。徴収は空港や港で行われて、領収書と支払い証明書を出国するまで保管しなければならないというルールです。
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ブータン国での観光税と長期滞在者の優遇措置
コロナ禍が落ち着いたことで、2022年9月から外国からの旅行者を受け入れるようになり、観光税を65ドル(約9300円)から200ドル(約28600円)に値上げしました。今までは公定料金を250ドル(約35800円)前後払っていましたが、それを廃止して、ホテル代やガイド代、食事代などは別途支払いが必要となります。
そのためブータン旅行に関する費用は2倍以上になってしまいました。しかし観光客が思った以上に増えないため、2024年末までの限定で長期滞在者に対する優遇措置が導入されています。
インドネシアとブータン政府の観光税導入の背景
インドネシアとブータン政府が観光税を導入するのには理由があります。まず質の高い観光客に旅行に来てほしいという考えがあります。現地の文化に理解ある旅行者に来てもらうことで、観光地を汚したり壊したりされない可能性が高いでしょう。
また観光税を導入することで、観光客の数は抑えたいわけですが、外貨は獲得したいという思惑があります。観光税を導入することで、外貨獲得も可能になります。
また長期滞在者を優遇することで、土地の文化を学び、現地の視点で楽しむ旅行者を呼び込むことが可能です。
他にもブータン政府は観光税の引き上げにより、国内の環境保護や文化の保護に資金を充てることを目指しています。ブータンは、持続可能な観光開発に取り組んでおり、観光税の増収を通じて自然環境や文化財の保護に貢献できると考えています。こうした思惑があるため、両国は観光税を導入しているわけです。
観光税導入や引き上げの影響
両政府がメリットが大きいと考えて観光税を導入したり、引き上げたりしていますが、現地の企業にはどのような影響があるのでしょうか。
旅行会社やツアー業者、地元商店
観光税の導入は必ずしも質の良い旅行者の誘致に結びつかない可能性があります。旅行者が減少すれば、売上が激減する可能性は高いでしょう。観光税導入以前のように旅行者が戻ってこない可能性もあり、廃業する業者も出てくる可能性が考えられるでしょう。
また観光客は、観光税の導入により旅行費用が増えるため、飲食店やお土産店での買い物を控えるかもしれません。これにより、地元商店の売上が減少し、地域経済に悪影響を及ぼす可能性があるでしょう。
ホテルや宿泊施設
ブータンの高級ホテルは新たなビジネスチャンスととらえ、富裕層の客を呼び込もうとしています。ただし高級ホテルや高価格帯の宿泊施設にとっては、需要が減少する可能性もあります。そのため思ったような利益が上げられないかもしれません。
観光税導入や引き上げによる懸念事項
すでにブータンは高級な観光地として知られており、観光税の増加により、より高額な旅行費用が必要となる可能性があります。これにより、一部の観光客はブータンを訪れることを躊躇するかもしれません。
もちろん一部の観光客が来なくなったとしても、全体として観光客が増えれば問題ないという考え方もあります。しかし裕福ではない若者などがブータンを訪れる機会が減る結果、長期的にはマイナスになる可能性があります。
若者が30代、40代になったときに、ブータンが旅行の選択肢に入らなくなる可能性があるわけです。
またインドからの旅行者は観光税が安くなっており、オーバーツーリズム※になる可能性があります。この問題に関しては今後是正されるかは不透明です。
観光税の引き上げには賛否がありますが、ブータン政府は観光業界や観光客の意見を考慮しながら、バランスの取れた政策を実施することが重要です。観光業界の発展と環境・文化の保護を両立させるために、慎重な検討が求められます。
観光税が導入された世界各地の国々の事例とは
観光税が導入されていたり、今後導入を予定したりしているのは、ブータンやバリ島だけではありません。ここでは日本や世界各地の事例について紹介します。
日本で導入された国際観光税
日本では国際観光税が導入されています。日本で導入されている国際観光税とは、自分の国へ帰る外国人と外国へ出国する日本人から徴収するものです。観光税は観光基盤の拡充や強化のために使われており、出国1回につき1000円徴収されます。
2023年に観光税を導入したり引き上げたりする地域
2023年に観光税を新たに導入したり、今までの観光税を引き上げたりする主な地域は以下の通りです。スペインでは、バルセロナとバレンシアで2023年後半から観光税の値上げを予定しています。
タイは1回あたり300バーツ(約1180円)の観光税を徴収する計画があります。イタリアのヴェネツィアでは日帰りの観光客に対して、3ユーロ〜10ユーロ(約470円~1570円)の料金の支払いを求める予定です。
他にもEUは、EU域外からの旅行者に対して新たに観光税を導入する計画があります。このように世界各地で観光税を導入しようという動きが進んでいるわけです。
これからも注目が集まる観光税導入の最新情報
観光税は世界的に導入が進んでおり、日本の各地域でも観光税が検討されています。ここでは観光税の今後の予想と課題、さらには日本各地域における観光税の導入について解説します。
観光税導入の今後の予測と課題
観光税は、観光資源の保全や観光振興施策の実施費用として活用できます。観光税を導入することで、安定的な予算を確保できるため、観光資源の保全や観光振興策が計画的に実施できるというメリットがあるわけです。
一方で、行政のコストがかかり、観光需要や経済効果が少なくなる可能性があります。たしかに観光税を導入することで旅行費用が割高になるわけですから、観光税が高い国を避ける人も出てくるでしょう。つまり観光税を導入すれば効果があるというものではないわけです。
観光税は、観光地の魅力向上やインフラ整備に使われるべきですが、使途が明確ではない場合や効果的に使われない場合、観光業界の発展に繋がらない可能性があります。
また観光税の導入には、観光客の意識向上や理解促進も必要です。観光客が観光税の存在やその目的を理解し、積極的に支払ってくれることが重要です。そのためには、観光税の用途に関する説明や周知活動が重要となるでしょう。
日本の各地域における観光税の導入
日本の各地域でも観光税の導入が進んでいます。長崎市では市内のホテルに宿泊税を課しています。宿泊税は1人1泊あたり100円〜500円です。また沖縄県の宮古島も宿泊税導入を検討しています。
さらに厳島神社は訪問税を導入予定です。1人当たり100円をフェリー乗船時に運賃と一緒に徴収する予定です。このような動きは日本各地で加速していくと考えられます。
まとめ
ここまでブータンとバリ島の観光税導入の背景とその影響、さらには今後の観光税の行方について解説してきました。観光税は安定的な財源を得るために有効な手段ですが、観光税を導入すれば財源が増えるという単純なものではありません。
世界各地が観光税を導入するようになれば、旅行する皆さんがどこの地域の環境を保護したいか、それを基準に旅行して観光税を支払うようになるかもしれませんね。
渋谷区で一から立ち上げたプログラミング教室スモールトレインで代表として、小学生に対するプログラミングと中学受験の指導に従事。またフリーランスのライターとしても活躍。教育関係から副業までさまざまな分野の記事を執筆している。
著書に『AI時代に幸せになる子のすごいプログラミング教育』(自由国民社)、共著で『#学校ってなんだろう』(学事出版)がある。
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