ループイフダンで利益がある場合の税金と確定申告の方法を解説
多くの人が資産形成などの理由で、さまざまな投資を行っています。そのひとつに「ループイフダン」があります。
収入がある個人は原則、納税や確定申告が必要です。もちろん、ループイフダンで利益がある場合も、税金の納付や確定申告が必要です。
そこで、ここではループイフダンの税金や確定申告の方法について解説します。
ループイフダンのしくみ
まず、ループイフダンとはどのようなものか、そのしくみについて見ていきましょう。ループイフダンとは、簡単にいうと、FXの自動売買のことです。指定された一定の値幅ごとに自動で注文を行い、利益が出たらポジションを決済することを自動で繰り返して、大きな利益を得ます。新規注文と決済注文を同時に発注することを「イフダン」といい、イフダンを繰り返す(ループ)することから「ループイフダン」とよばれています。
ループイフダンは、取り扱いのある証券会社などを通じて取引を行います。ループイフダンで利益を獲得するしくみは、FXと同じです。買い注文や売り注文から入り、為替の値動きにより差益を得ます。また、一定の証拠金をもとに、証拠金の数十倍の取引をすることが可能です。
ループイフダンの税金と確定申告
ここでは、ループイフダンの税金と確定申告の方法について見ていきましょう。
ループイフダンの税金とは
ループイフダンは、FX取引の一種です。そのためループイフダンの課税方法は、FXと同じしくみです。
所得税では、収入の種類ごとに10の区分に分け、所得金額の計算を行います。給料は給与所得、個人事業は事業所得などに該当しますが、ループイフダンは「雑所得」になります。
日本の所得税の計算には、総合課税と分離課税の2つがあります。総合課税とは、給与所得や事業所得など複数の所得を合算し、合算後の所得金額に所得金額に応じた一定の税率を乗じて、所得税額を求める課税方法です。総合課税では、所得が高くなればなるほど、税率も高くなる累進課税制度を採用しています。
一方分離課税は、他の所得とは合算せず、その所得だけ分離して税額の計算をする課税方法です。分離課税では原則、所得金額に関わらず、一律の税率を乗じて税額を計算します。一般的な雑所得は、総合課税で税金の計算を行いますが、FXやループイフダンは、分離課税で税金の金額を計算します。
ループイフダンの税率は、所得税15%、復興特別所得税0.315%、地方税5%、合計20.315%となっています。ループイフダンの利益に20.315%の税率を乗じて、納める税額を計算します。
例えば、ループイフダンの利益が200万円でている場合の税金は、200万円×20.315%=406,300円です。
ループイフダンで確定申告は必要?
ここまでは、ループイフダンの税金について見てきました。ここからは、ループイフダンの確定申告について見ていきましょう。
実をいうと、ループイフダンを行っている場合、確定申告が必要なケースとそうでないケースがあります。原則、納める税金があると、確定申告を行う必要があります。収入があっても納める税金がない場合は、確定申告は不要です。そのため、例えば、サラリーマンで年末調整をしている人の場合、ループイフダンで損失が出ていると、納める税金がないため確定申告は不要です。
また、ループイフダンで利益が出ている場合であっても、確定申告が不要な場合があります。ループイフダンで利益が出ている場合で、確定申告が不要なケースとして主なものは、次のとおりです。
- サラリーマンで給与所得や退職所得以外の所得(ループイフダンの利益を含む)が20万円以下の場合
※給与を2か所以上から受けている場合は、別の規定有り - 年金受給者(年金収入金額が400万円以下)で年金以外の所得(ループイフダンの利益を含む)が20万円以下の場合
納める税金がない場合か、上記の要件に該当しない場合は確定申告が必要です。
ループイフダンで確定申告をすることのメリット
ループイフダンをしている場合であっても、納める税金がない場合など一定のケースでは、確定申告をする必要はありません。しかし、確定申告をする必要がない場合でも、ループイフダンで確定申告をしたほうが良いケースもあります。それは、ループイフダンの確定申告にいくつかのメリットがあるからです。
そこで、ここではループイフダンで確定申告をすることの代表的なメリットを見ていきます。
他の口座のループイフダンなどと損益通算ができる
ループイフダンで確定申告をすることのメリットのひとつが「損益通算」です。損益通算とは、損失と利益を相殺することです。
ループイフダンやFXの口座を複数の金融機関で開いている場合、ひとつの口座で損をして、ひとつの口座で利益が出ている場合があります。この場合、確定申告をすることで損失と利益を相殺することができます。
ループイフダンだけであれば、そこまでメリットがないように感じられますが、実はループイフダンの損失は、日経225先物、TOPIX先物など他の先物取引の黒字とも相殺することができます。ループイフダンを含む多くの先物取引をしている場合は、黒字の先物取引だけでなく、ループイフダンの損失についても確定申告をしたほうが有利になることがあります。
ループイフダンで確定申告をする場合には、まず、必要書類を用意する必要があります。必要書類は、次のとおりです。
- 確定申告書B 第一表、第二表、第三表
ループイフダンは分離課税で税金の計算をするため、分離課税用の第三表が必要です。 - 先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書
先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書は、先物取引の所得金額を計算するための書類です。確定申告書に添付して、税務署に提出します。 - 源泉徴収票(サラリーマンの場合)
- 各種控除証明書
生命保険料や地震保険料などの各種控除証明書(サラリーマンで年末調整の際に勤務先に提出したものは除く)
損失の繰り越しができる
他の先物取引などがない場合であっても、ループイフダンで確定申告をしたほうが良いケースがあります。それは、ループイフダンによる損失がある場合です。
ループイフダンの損失は、翌年以降3年間繰り越すことが可能です。翌年にループイフダンの黒字が出た場合は、繰り越した損失と相殺ができます。
例えば、ループイフダンの利益が 今年400万円の損失 翌年300万円の利益である場合、
今年、確定申告をすれば400万円の損失を翌年に繰り越せます。この場合の翌年におけるループイフダンの課税対象の利益は、300万円-前年からの繰り越し400万円=0円(差額の100万円の赤字は、さらに翌年に繰り越せます)となり、税金が課されることはありません。
一方、今年、確定申告をしなかった場合は、翌年の利益300万円がそのまま課税対象となります。
ループイフダンの損失について確定申告をする場合には、上述した提出書類に加えて「所得税及び復興特別所得税の申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)」を提出する必要があります。
※ループイフダンの損失を繰り越す場合には、損失の繰り越しが終了するまで、連続して所得税及び復興特別所得税の申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)を添付した確定申告書を提出する必要があります。
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まとめ
ループイフダンは、FXの自動売買のことです。税金の計算では、雑所得の分離課税として税額の計算や確定申告を行います。ループイフダンで損失が出ている場合など、一定の場合では確定申告する必要がありませんが、損失の繰り越しなどを行う場合は、確定申告が必要です。
自分の状況を確認し、正しく確定申告を行いましょう。
▼参照サイト
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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