税務調査はSNSもチェックしている!インフルエンサーの事例を紹介

[取材/文責]澤田泰弥

個人事業主や経営者の中には、「SNSの投稿で税務調査に入られる?」と不安を感じている方もいるのではないでしょうか。

今回はSNSが原因で税務調査に入られたインフルエンサーの事例や、SNSで税務署に目をつけられないための対策などを紹介します。

税務署はSNSをチェックしている

結論から言うと、税務署はSNSをチェックしています。なぜなら、過去にインフルエンサーがSNSの投稿をきっかけに税務調査に入られた事例があるからです。

そのため、SNSでプライベートに関する投稿をする際は、細心の注意を払って投稿すべきだと言えるでしょう。

そもそも税務調査とは

税務調査とは、税務署が納税者に対して、法人税や所得税などの税金をしっかりと納めているかを確認することです。

2023年時点で法人税や所得税は、自身で所得を計算して納める税金を申告する「申告納税制度」が採用されています。

そのため、税務署は納税者が虚偽の申請をし、脱税をしていないかなどをSNSで確認しているのです。

また、税務調査はすべての納税者にくるのではなく、税務署が調査の対象とした法人や個人に対して実施されます。

任意調査とは

税務調査における任意調査とは、脱税の可能性が低いとされている法人・個人を対象とした調査のことです。

任意調査の際は、事前に税務署から電話が入り、税務調査で訪問する際の日時を決めます。なお、電話に出られない場合は、自宅に通知書が届きます。

任意調査は、開業してから数年が経過した自営業者や、いきなり売上が伸びた事業者などを対象とするケースがほとんどです。

強制調査とは

一方で強制調査では、裁判所の令状を持ったマルサ(国税局査察部)がいきなり自宅に来て、税務調査が実施されます。そのため、事前通知などの連絡は一切ありません。

例えば、1億円以上など多額の脱税を疑われた場合などに実施されます。そして、強制調査で脱税が特定されると、検察庁に告発されて刑事事件として扱われます。

税務署がSNSをチェックしている理由

前述したとおり、税務署はSNSをチェックしています。では、なぜSNSをチェックしているのでしょうか。こちらでは、税務署がSNSをチェックしている理由を3つ紹介します。

税務署がSNSをチェックしている理由は、以下のとおりです。

  • SNSを利用しているユーザーが多いから
  • SNSで収支報告をしている人がいるから
  • SNSに普段の生活ぶりを投稿している人がいるから

SNSを利用しているユーザーが多いから

税務署がSNSをチェックしている理由の1つに、SNSを利用しているユーザーが多いことが挙げられます。

国内における各SNSの月間利用者数は、以下のとおりです。

主なSNSの月間利用者
Facebook 2,600万人 ※2019年7月時点
YouTube 7,000万人 ※2022年10月時点
Instagram 3,300万人 ※2019年6月時点
TikTok 1,690万人 ※2021年10月時点
X(旧:Twitter) 4,500万人 ※2017年10月時点
LINE 9,500万人 ※2023年4月時点

 

日本では多くの人がSNSを利用しているため、脱税の疑いがある経営者を特定しやすいのです。

SNSで収支報告をしている人がいるから

SNSで投稿している方の中には、売上報告や収支報告をしている方もいます。

税務署はSNSの投稿から、申告している額以上の収支報告をしている人などを対象に税務調査を実施するケースもあるようです。

SNSで申告以上の収支報告をしていると、税務調査に入られた際に脱税の証拠として取り扱われる可能性もあるでしょう。

SNSに普段の生活ぶりを投稿している人がいるから

SNSでは普段の生活ぶりを投稿している人も多いでしょう。

例えば、高級車や住宅を購入した投稿や高級料理店に頻繁に訪れている投稿、キャバクラで高額な請求がきたなどの投稿は、税務署の目につきやすい投稿です。

納税額以上の豪華な生活を示唆する投稿を頻繁にしている方は、脱税をしている可能性が高いと判断できます。

SNSが原因で税務調査が入った事例

【ビスカス公式YouTubeチャンネル】知らないと危ない税務調査!そのSNS税務署に見られていますよより

次に、SNSが原因で税務調査が入った事例を紹介します。実際の事例を確認しながら、SNSで安易に投稿する危険性を学びましょう。

SNSが原因で税務調査が入った事例は、以下のとおりです。

  • 青汁王子の脱税事件
  • 美容系インフルエンサーの無申告
  • 女性イラストレーターの脱税疑惑

青汁王子の脱税事件

青汁王子の名で知られている三崎優太氏は、SNSに高級マンションや高級車、高級腕時計などの画像投稿、馬の購入投稿などで税務署に目をつけられ、税務調査の対象となりました。

馬の購入について、「馬主として4頭の愛馬を落札し、2億2400万円かかった」「今までで一番高い買い物だった」などと投稿していたそうです。

このように具体的な購入金額も記載されていたことから、税務署が脱税の疑いをかけやすかったと言えるでしょう。また、三崎優太氏は、この件でおよそ1.8億円の脱税行為により逮捕されています。

美容系インフルエンサーの無申告

美容系インフルエンサーもSNSの投稿がきっかけで税務調査に入られています。

この事例は、数十万人規模のフォロワーを持つ美容系インフルエンサーである女性9人を対象に、広告収入や企業案件による報酬が無申告なのではないか、と税務署が疑いをかけました。

その結果、美容系インフルエンサー9人で合わせて3億円の申告漏れが発覚し、およそ8,500万円の税金を追加で支払ったことがわかっています。

女性イラストレーターの脱税疑惑

元税務調査官によると、X(旧:Twitter)やInstagramで作品を投稿している女性イラストレーターが有名コミックマーケットに出店したなどの投稿をしたことで、税務調査を実施したようです。

税務調査では、「イラスト集を2,000円で販売」「200冊完売」などの投稿画面を印刷し、調査資料として使用されたとのことです。

結果として、SNSの投稿画面にあったコミックマーケットで自作したイラスト集分の売上額を申告していないことが発覚しています。

SNSで税務署に目をつけられないための対策

では、どのようにしたらSNSで税務署に目をつけられないのでしょうか。こちらでは、SNSが原因で税務調査に入られないための対策を3つ紹介します。

SNSで税務署に目をつけられないための対策は、以下のとおりです。

  • 収支報告は控える
  • 自慢ネタの投稿はしない
  • 税理士に相談してみる

収支報告は控える

まずは、会社の売上額などをSNSに投稿することは控えましょう。なぜなら、会社の売上額を投稿することで、税務署は税務調査の対象として調べやすいからです。

SNSでの収支報告を控えることで、税務署に目をつけられる可能性を下げられるでしょう。

自慢話ネタの投稿はしない

SNSでは自慢話ネタの投稿をしないようにしましょう。例えば、高級車や高級住宅を購入した投稿などが挙げられます。

過去の事例として、青汁王子が高額な買い物をした投稿をして税務調査に入られているため、高級車や高級住宅を購入したなどの自慢話ネタは控えておきましょう。

税理士に相談してみる

税理士に相談しておくことで、今後どのような対応をしていけばよいか、税務調査に入られた際の対応方法などを教えてくれます。

SNSに収支報告などを投稿している場合は税務調査に入られる可能性が高いため、税務調査をスムーズに乗り越えるためにも、一度税理士に相談しておきましょう。

SNSの税務調査に関するよくある質問

最後に、税務調査に関するよくある質問を紹介します。気になる質問があれば確認してみてください。

税務調査ではLINEもチェックされる?

税務調査では、LINEをチェックされるケースもあります。

LINEがチェックされる主なケースは、以下のとおりです。

  • 取引先とのやり取りをLINEで行っている
  • 請求書を発行した日付がわからない

 

このように仕事でLINEを使用している場合は、税務調査でLINEの内容も確認される可能性が高いでしょう。

税務調査はいつごろくる?

結論から言うと、税務調査が実施されるタイミングに明確な決まりはありません。

しかし、税務調査の傾向として、4~5月ごろ、7~11月ごろに税務調査が行われることが多いといわれています。

これらの期間は、3月の確定申告後であることや、10月の国税局や税務署の人事異動が関係しています。

まとめ

今回は、SNSの税務調査について解説しました。

結論としては、税務署はSNSを確認しており、過去にSNSの投稿がきっかけで税務調査に入った事例もいくつかあります。

そのため、個人事業主や会社経営者など自身で所得税や法人税を申告して納めている方は、収支報告や自慢話ネタなどのSNS投稿を控えることが大切です。

また、本来は所得を正しく申告して正しい額の税金を納めることが義務づけられています。そのため、税金管理は日ごろからしっかりと行いましょう。

神奈川横浜市を中心に活動しているWebライターの澤田です。2023年3月にFP3級を取得、2023年7月にFP2級を取得しました。新しく身につけた専門知識を活かし、あなたの悩みを解決できるわかりやすい記事を目指しています。

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