キャンピングカーには固定資産税などの税金はかからない?

[取材/文責]長谷川よう

今、人気のある車にキャンピングカーがあります。キャンピングカーとは、キッチンやベッドが付いている車のことで、車中で食事や寝泊まりができます。

では、食事や寝泊まりができるのであれば、家のように固定資産税はかかるのでしょうか。ここでは、キャンピングカーと固定資産税などの税金について解説します。

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そもそも固定資産税とは

はじめに、そもそも固定資産税とは何かを見ていきましょう。

固定資産税とは、取得している固定資産に対して課される税金のことです。固定資産税は、1月1日時点で固定資産を取得している人が、固定資産のある市町村に対して納める地方税のひとつです。徴収された固定資産税は、主に道路や学校などの公共施設の整備や行政サービスに使われます。

ここで注意したいのが、固定資産税は建物の「所有」について課される点です。登記をしているかどうかは、関係ありません。たとえ、登記がされていない固定資産であっても、固定資産税はかかります。

固定資産税は、市町村が計算し、税額が通知されるため、納税者が計算する必要はありませんが、次の計算式で納税額が求められています。

固定資産税=課税標準額(固定資産の評価額)×税率(標準税率1.4%)
※税率は、自治体により異なります。

 

例えば課税標準額が1,000万円の固定資産の場合、固定資産税の金額は、次のようになります。

固定資産税=課税標準額1,000万円×税率(標準税率1.4%)=14万円

 

固定資産税には、住宅など所有している固定資産の種類によって、軽減措置が設定されるものもあります。

キャンピングカーには固定資産税がかからない

固定資産税は、固定資産に課される税金ですが、キャンピングカーには固定資産税はかかりません。

ここでは、キャンピングカーに固定資産税がかからない理由や、逆に何の税金がかかるのかを見ていきましょう。

固定資産税が課される要件とは

キャンピングカーに固定資産税がかからない理由は、固定資産税が課される要件を満たしていないためです。

固定資産税は、固定資産にかかる税金です。ここで問題となるのが、固定資産(建物に該当するかどうか)の要件は何かということです。固定資産税における建物に該当するのかは、「外気分断性」「土地への定着性」「用途」の3つで判断します。

・外気分断性

外気分断性とは、簡単に言うと、外気から遮断されているかどうかということです。例えば、家や倉庫などは屋根や周壁があるため、中の空間が外気から遮断されています。そのため、生活のできる空間となっており、建物といえます。一方、更地の場合は、屋根や周壁がなく、外気分断性がないため、建物とはいえません。

・土地への定着性

土地への定着性とは、土地に定着しているか、容易に他に移動できないかどうかという判断基準です。

そもそも不動産とは、土地に定着しているものをいいます。例えば、一軒家やアパート、ビルなどは、基礎の上に固定され、動かない状態にあるため、土地に定着しています。
ただし、物置などで地面に置いてあるだけの物は、容易に動かせるので、土地への定着性があるとはいえません。

・用途

資産の用途も、建物に該当するかどうかの重要な判断基準です。その空間で人が生活できたり、物を滞留させられたりするなどの条件に当てはまれば、用途性の要件を満たします。

キャンピングカーにかかるのは自動車税

キャンピングカーは、そもそも車が移動を目的としていることもあり、上記の3要件のうち、土地への定着性を満たしていません。したがって固定資産税の対象とはなりません。

ただし、キャンピングカーは自動車税の対象になります。自動車税とは、自動車に対して課される税金で「種別割」と「環境性能割」の2つがあります。

・種別割

一般的に自動車税といわれるのが、「自動車税種別割」です。自動車税種別割とは、自動車を所有することに対して課される税金です。自動車税種別割は、4月1日時点の自動車等の所有者が、都道府県に納める税金です。自動車の種類や総排気量によって税率が代わるため、種別割といいます。

キャンピングカーは一般の車ではなく、特殊車両に該当するため、一般の車と比べて原則、自動車税種別割は安くなります。

・環境性能割

自動車税環境性能割とは、自動車を取得する際に課される税金です。自動車の燃費基準や排出ガス規制の達成度などの環境性能により、税率が異なるために、環境性能割といいます。

自動車税環境性能割は、自動車の取得価格に対し、環境性能に応じて最大3%の税率です。例えば、300万円の車で3%の税率の場合は、300万円×3%=9万円の自動車税環境性能割が課されます。

固定資産税のかかるものとかからないもの

家やビルなどには固定資産税がかかりますが、キャンピングカーには固定資産税がかかりません。

以下の表はキャンピングカー以外にも、固定資産税がかかるかどうか分かりにくいものの例です。

固定資産税の課税有無 資産の種類
固定資産税がかかるもの 不動産(住宅、土地、事務所、倉庫など)、償却資産など
固定資産税がかからないもの キャンピングカー、トレーラーハウス、カーポートなど

・固定資産税がかかるもの

固定資産税は、土地や建物などの不動産はもちろんのこと、償却資産にもかかります。
償却資産とは不動産以外の資産のことで、主に事業で使う資産です。例えば、事業で使う機械や備品は、償却資産になります。

事業者は、毎年、所有している償却資産に対して固定資産税を納めます。一般的に、土地や建物に対する固定資産税と区別するため、償却資産税と呼ばれます。

別荘に固定資産がかかるか気になる方は、「0円別荘には税金がかかる?0円別荘の税金やメリット・デメリットを解説」をご覧ください。

・固定資産税がかからないもの

土地への定着性がないキャンピングカー同様、トレーラーハウス、カーポートなども、固定資産税はかかりません。

トレーラーハウスとは、車輪のついた住宅のことで、アメリカなどでは昔から普及しているものです。日本でも、災害時の仮設住宅として使われたり、個人で所有して楽しんだりすることも多いようです。

トレーラーハウスは、車輪がついており、容易に移動でき、土地への定着性がないため固定資産税はかかりません。ただし、たとえトレーラーハウスであっても、土地に固定しているものの場合は、固定資産税の対象となる可能性があるので注意が必要です。

カーポートは、玄関前や家の横などに、屋根と柱のみで作られた簡単な構造の車庫のことです。周壁はなく、外気分断性の要件を満たさないため、一般的には、固定資産税はかかりません。

まとめ

キャンピングカーとは、キッチンやベッドが付いている車のことで、車中で食事や寝泊まりができるものです。家と用途は似ていますが、土地への定着性の要件を満たさないため、建物には該当せず、固定資産税はかかりません。ただし、自動車として自動車税の対象となります。

このように、固定資産税がかかるかどうか判断の難しいものも多くあります。固定資産税がかかるかどうかの判断は、「外気分断性」「土地への定着性」「用途」の3つで判断しますが、自分で判断が難しい場合は、役所などに問い合わせをするようにしましょう。

会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。

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