ESG債とは?投資するメリット・デメリット、注意点まで詳しく解説

SDGsへの関心が高まっていることもあり、最近話題になっているのがESG債です。しかしESG債について、くわしい内容がわからないという人も多いのではないでしょうか。概要がしっかりわかれば、投資への判断もしやすくなるものです。今回の記事では、ESG債を解説していきます。

ESG債とはどんなもの?

まずはESG債がどのようなものか確認しておきましょう。ここでは、ESG債の概要と種類を説明します。

ESG債とはどんなもの?

そもそもESGとは、環境(Environment)社会(Social)ガバナンス(Governance)の3つの頭文字から成ります。ESG債とは、ESGの課題である環境改善や社会的課題を解決する事業に資金を集めるための債券です。通常、債券では資金の使途はとくに決められていません。しかしESG債では、環境や社会的課題への取り組みのためと資金使途が限定されます。
資金使途や資金管理、プロジェクトの進捗状況などを投資家にくわしく開示することが求められるのも、ESG債の特徴です。
日本で初めて発行された2016年以降、ESG債の発行額は年々増加しており、現在注目を集めています。

ESG債の種類を確認

ESG債には資金使途に応じていくつか種類があります。主に以下の3種類に分けられます。

【グリーンボンド】

グリーンボンドとは、グリーンプロジェクトの資金を集めるために発行される債券で、環境債とも呼ばれるものです。グリーンプロジェクトとは、地球温暖化などの環境問題を改善する取り組みを指します。再生可能エネルギーや省エネルギー、環境汚染防止などの事業もグリーンボンドの対象に含まれます。

【ソーシャルボンド】

社会的課題を解決するソーシャルプロジェクトに資金を集める債券がソーシャルボンドです。ソーシャルプロジェクトには、教育・福祉・貧困などへの取り組みがあげられます。

【サステナビリティボンド】

環境改善と社会的課題の解決両方に効果のあるプロジェクトに資金を集めるための債券です。サステナビリティボンドは、国際資本市場協会(ICMA)が発行するガイドライン、グリーンボンド原則(GBP)とソーシャルボンド原則(SBP)の両方の要素に適合する債券と定義されています。

ESG債が注目されている背景

ここまで、ESG債の概要と種類をみてきました。近年このESG債が注目を集めているわけですが、その理由はなんでしょうか。ESG債が注目されている背景もあわせて確認しておきましょう。

これまで投資では、会社の利益や業績など財務情報をもとに投資先を判断していたのが一般的でした。しかし最近になって、財務情報だけでは会社の長期的な力を判断するには不十分だと考えられるようになったのです。
非財務価値を加えたうえで会社を評価するべきだと考えられるようになり、注目されたのがESGです。実際に環境改善や社会的課題の解決に取り組んでいる会社は、長期的に安定した収益力を持つ傾向にあります。非財務価値にも関心が高まったことが、ESG債が注目されるようになった理由です。

ESG債に投資するメリット・デメリット

ここで、ESG債に投資するメリット・デメリットを紹介します。ESG債への投資を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

ESG債に投資するメリット

まずはESG債に投資するメリットを見ていきましょう。メリットは次のとおりです。

➀社会貢献につながる

ESG債に投資するメリットとして、社会貢献につながる点があげられます。前述したように、ESG債は資金の使途が環境や社会的課題への取り組みに限られています。投資した資金がそのまま環境改善などの活動に使われるわけですから、資産形成をしながら間接的に社会貢献することになります。

②長期的な資産形成に向いている

ESG債への投資は、長期的な資産形成に向いています。自然環境や経済状況の変化、法律改正、規制の強化などビジネスを取り巻く環境はたびたび変化します。こうしたビジネス環境の変化は、内容によってはリスクになることもめずらしくありません。
ESGの課題に積極的に取り組む会社は、環境変化からくるリスクが一般的に小さいと考えられているのです。会社の長い継続が期待できるでしょう。ESG債に投資すれば、長期的に安定したリターンが見込める可能性があります。

ESG債に投資するデメリット

ESG債への投資にはデメリットもあるため、しっかり把握しておかなければなりません。デメリットには、以下の2点があげられます。

➀短期的なリターンは見込みにくい

短期的なリターンが見込みにくいのは、ESG債に投資するデメリットの1つです。環境や社会的課題に積極的に取り組む会社は、目先の利益よりも長期的な事業の継続を求める傾向にあります。短期的な利益はどうしても小さくなりがちです。
そもそも環境改善や社会的課題の解決は長期的に取り組むものです。すぐに結果がでるものではありません。ESG債への投資では、短期的なリターンが見込みにくくなります。

②投資先の選定が難しい

一般的な投資では、財務諸表などの資料をもとに数字で投資先を判断します。しかしESG債への投資では、数字にできない取り組みも評価しなければなりません。
投資では財務状況の判断だけでもある程度の専門的な知識が必要です。ESGへの要素も加わることで、さらに複雑な分析が求められるでしょう。ESG債への投資には、投資先の選定が難しくなるデメリットもあります。

ESG債の注意点は?

実際にESG債に投資する場合、どのような点に注意すればいいのでしょうか。ESG債の注意点を紹介します。
ESG債に投資する場合、グリーンウォッシュの存在をぜひ知っておいてください。グリーンウォッシュとは、実態もないのに環境改善に貢献しているように見せかける企業行動を指します。ESG債が注目されていることを受けて、こうした見せかけの行動を取る会社も一定数でてきました。
例えば環境負荷がある商品に自然保護をイメージさせる画像を貼ったり、リサイクルできないのにリサイクル可能と明記したりするのもグリーンウォッシュの1つです。ESG債への投資では、このグリーンウォッシュに注意しましょう。
ESG債には法律による定義がありません。ガイドラインはありますが、自己申告のためすべてのESG債がガイドラインに準拠しているとは限らないわけです。しっかりと見極める必要があります。
なお、グリーンウォッシュを見分けるには、1つの情報だけに頼らず複数の情報から資金が適切に使われているか調べることが重要です。
また第三者機関から評価を得ているか確認するのもグリーンウォッシュを見分ける方法の1つですし、会社の環境への長期的な取り組みを確認するのもヒントになります。
ESG債ではこうした確認をしっかりしたうえで、ご自身が応援したいプロジェクトに投資することをおすすめします。

まとめ

今回はESG債について説明してきました。資金使途が環境改善や社会的課題の解決に限定されるESG債に投資することは、社会貢献につながります。SDGsによって社会貢献への関心が高くなっている今、ESG債への投資を考えてみるのも1つでしょう。
ただし投資する場合は、グリーンウォッシュに注意が必要です。複数の情報や第三者機関からの評価、会社の環境改善への長期的な取り組みなどしっかり確認してから投資を行ってください。

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