長期入院した役員の給与は減額できるのか?

[取材/文責]税理士:浦田泉

【質問】 先日、当社の取締役が急な病気のため、2ヶ月程入院することになりました。 この不況の下ですから入院する役員から「入院中の給与は業務ができなくなる分に応じてカットしてかまわない」との申し出がありました。
申し出はありがたいのですが、役員の報酬は事業年度を通じて毎月同額を支給しないと会社の経費として認めない、という規定があったかと思います。
例外的にこの役員の報酬を減額できるような規定はないのでしょうか?
【答え】
会社役員が病気や事故などで本来の業務を執行できなくなったときに、その役員への給与の一部を減額する、あるいは無給にすることは「事業年度開始の日から3ヵ月までにされた定期給与の額の改定時には予測しがたい偶発的な事情等による定期給与の額の改定」とされ、臨時改定事由に該当します。
会社役員が病気や事故などで本来の業務を執行できなくなった場合、事業年度の途中でその役員への給与の一部を減額する、あるいは支給しないことがあります。
この給与改定は「事業年度開始の日から3ヵ月までにされた定期給与の額の改定時には予測しがたい偶発的な事情等による定期給与の額の改定」とされ、臨時改定事由に該当し、改定前後の給与は定期同額給与となります。
その後、回復した役員がこれまでの業務に復帰するとなった場合、その役員の給与額を再び元の金額に増額することもありますが、この改定も臨時改定事由になります。
国税庁が公表した「役員給与に関するQ&A」によると、病気で職務が執行できなくなった場合の臨時改定事由の範囲が示されています。まさに御社のご相談と同じような内容ですので、ご紹介いたします。
事例は
「年1回3月決算法人の代表取締役が病気で2ヵ月の入院が必要になり、当初予定されていた職務の一部が執行できなくなるため、取締役会でその役員の給与の額を月額60万円から20万円に減額する決議を行い、退院後には再びこれまでの職務の執行が可能になったため、取締役会で入院前の月額60万円に増額することにした法人」のケースです。
国税庁の回答では、こうした場合においての減額改定は臨時改定事由に当たるとしています。 また、これまでと同様の職務の執行が可能になった場合に、入院前の給与と同額の給与を支給する改定も臨時改定事由による改定と認めています。

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