個人事業主の確定申告で書類と準備が必要なものとは

[取材/文責]長谷川よう

個人事業主は、毎年、確定申告をする必要があります。確定申告では所得や税金の計算を行いますが、そのために必要な書類などの事前準備が必要です。確定申告は原則、翌年の2月16日~3月15日の間に行う必要があるため、それまでに準備をしなければいけません。ここでは、確定申告で必要な書類等について解説します。

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確定申告をするために通常必要なもの

確定申告をするのは、個人事業主だけではありません。サラリーマンであっても、医療費控除などを受ける場合や、土地や建物を売却した場合には確定申告を行います。まずは、確定申告をする人に共通して必要なものについて見ていきましょう。

 

①確定申告書

確定申告書とは、簡単に言うと、納める税金を計算するための書類です。確定申告では、確定申告書を税務署に提出します。確定申告書には「確定申告書A」と「確定申告書B」の2種類があります。

それぞれ主に、次の人が使用します。

 

  • 確定申告書A:サラリーマン(給与所得者)や年金を受け取っている人
    【確定申告書Aの書き方】https://www.all-senmonka.jp/moneyizm/6245/
  • 確定申告書B:個人事業主や土地・建物、株式等を売却した人

 

確定申告書は税務署の窓口や国税庁のホームページからのダウンロードで入手することができます。

※e-Taxの場合は、紙の確定申告書を提出する必要はありません。

 

②本人確認書類

確定申告書では、マイナンバーを記載する必要があります。また、紙の確定申告書を提出する際には、本人確認書類による本人確認が行われます。本人確認には、申告書等に記載されたマイナンバー(個人番号)が正しい番号であることの確認である「番号確認」と、申告書等を提出する者が番号の正しい持ち主であることの確認である「身元確認」が必要です。番号確認と身元確認のために必要なものは次のとおりです。

 

  • マイナンバーカードがある場合
    マイナンバーカードはそれ1枚で、番号確認と身元確認ができるものになります。そのため、マイナンバーカードだけを用意します。
  • マイナンバーカードがない場合
    この場合は、番号確認と身元確認ができる書類をそれぞれ1つずつ用意します。番号確認ができる書類は、マイナンバー通知カードや住民票の写しなど、身元確認ができる書類は、運転免許証やパスポート、公的医療保険の被保険証などです。

 

③源泉徴収票・支払調書
源泉徴収票支払調書は、1年間の収入や天引きされた所得税の金額などが記載された書類です。通常、サラリーマンの場合は源泉徴収票が、ライターや外交員、ホステスなど特定の職業についている場合は、勤務先や得意先から支払調書が発行されます。源泉徴収票や支払調書は、確定申告書の作成に必要な書類ですが、確定申告書に貼付して提出する必要はありません。

 

④控除を受けるために必要な書類
確定申告では、生命保険料控除や地震保険料控除、医療費控除など様々な所得控除を受けることができます。ただし、一部の所得控除を受ける場合には、控除を受けることができることを証明する書類が必要です。例えば、生命保険料や地震保険料の控除証明書(通常、ハガキ)や医療費の領収書や明細書、寄附金の受領書などです。

 

⑤その他
そのほか、税金の還付を受けるための口座番号や、紙の確定申告書を提出する場合の印鑑などが必要です。また、不動産や株式の売却がある場合など、その人の状況によって別の書類が必要など、必要な書類が異なります。必要書類が不明な場合は、税務署や税理士などの専門家に相談してみましょう。

個人事業主が確定申告をするために必要な書類

ここまでは、確定申告をする人に共通して必要なものについて見てきました。ここからは、個人事業主に絞って、確定申告をするために必要な書類を見ていきましょう。確定申告には、青色申告白色申告があります。それぞれで次のように必要書類が異なります。

青色申告のために必要な書類

青色申告とは、正規の簿記に基づく方法などによって取引を記録し、かつ、記録した帳簿書類の保存や、棚卸し表の作成など、一定の条件を満たす場合に、節税となる様々な特典を受けられる制度です。青色申告の特典を受けるためには、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日(その年の1月16日以後に開業した場合は、開業から2ヵ月以内)までに「青色申告承認申請書」を税務署に届ける必要があります。青色申告で必要な書類は次のとおりです。

 

  • 確定申告書B
  • 青色申告決算書
  • 所得控除を受けるための控除証明書
  • 支払調書(提出の義務なし)など

 

青色申告では、1年間の売上や必要経費などを記載した青色申告決算書を作成して提出する必要があります。

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個人事業主が、青色申告を行う際に必要になる確定申告の書類って?,3分でわかる税金

白色申告のために必要な書類

白色申告とは、青色申告以外の確定申告のことをいいます。青色申告承認申請書を期限までに提出していない場合は、白色申告となります。白色申告で必要な書類は次のとおりです。

 

  • 確定申告書B
  • 収支内訳書
  • 所得控除を受けるための控除証明書
  • 支払調書(提出の義務なし)など

 

白色申告では、1年間の売上や必要経費などを記載した収支内訳書を作成して提出する必要があります。

 

青色申告決算書や収支内訳書は、税務署の窓口や国税庁のホームページからのダウンロードで入手することができます。

※e-Taxの場合は、紙の青色申告決算書や収支内訳書を提出する必要はありません。

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個人事業主が、白色申告を行う際に必要になる確定申告書の書類って?,3分でわかる!税金チャンネル

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その他の控除を受けるために必要な書類

確定申告で一般的な控除の中に、生命保険料控除地震保険料控除があります。この2つは毎年、保険会社から送付される控除証明書を用意する必要があります。生命保険料控除や地震保険料控除と同じように、その他の控除を受けるためにも必要な書類があります。

主なものは次のようになります。

①ふるさと納税をした場合

ふるさと納税にはワンストップ特例制度というものがあります。これは、簡単にいうと「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を寄付した自治体に提出することで、ふるさと納税について確定申告を不要にする制度です。

 

ただし、個人事業主や医療費控除の還付を受ける場合など、確定申告をする場合には、寄附金税額控除に係る申告特例申請書を提出しても、ワンストップ特例制度を受けることはできません。その代わり、確定申告書の寄附金控除欄に必要事項を記載する必要があります。また、確定申告の際には、寄付した自治体から発行される「寄附金受領証明書」の添付も必要となります。

②住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受ける場合

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受ける場合は、確定申告書に必要事項を記載し、次の書類を添付して提出する必要があります。

 

  • 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
    取得した住宅の情報や住宅ローンの残高などを記載する書類です。1年目は自分で作成する必要があります。税務署の窓口や国税庁のホームページからのダウンロードで入手することができます。一度住宅ローン控除を受けると、税務署から2年目以降の住宅借入金等特別控除額の計算明細書が、税務署からまとめて送付されてきます。2年目以降は、税務署から送付されてきた住宅借入金等特別控除額の計算明細書を使用します。
  • 金融機関等からの借入金残高証明書
    毎年、融資を受けた金融機関から送付されてきます。
  • 建物・土地それぞれの登記事項証明書、請負契約書の写し、売買契約書の写し等(1年目のみ)
    建物・土地の新築または取得年月日、建物・土地の取得対価の額、建物・土地の面積がわかる書類が必要です。2年目以降の確定申告では不要です。
    ※住宅が認定住宅の場合など、状況によって必要書類は異なります。

③医療費控除を受ける場合

医療費控除とは、1年間に一定金額以上の医療費を支払った場合に受けられる控除です。医療費控除で必要な書類は次のとおりです。

 

  • 医療費控除の明細書
    医療費控除の明細書とは、医療費を受けた人や病院、医療費の内容や金額を記載する書類です。医療費の領収書などを見ながら、自分で作成します。医療費控除の明細書は税務署の窓口や国税庁のホームページからのダウンロードで入手することができます。
    ※e-Taxの場合は、紙の医療費控除の明細書を提出する必要はありません。

 

医療費の領収書は、税務署に提出する必要はありません。ただし、税務署から提示や提出を求められたときは応じないといけないため、5年間は自宅などで保存しておく必要があります。

まとめ

確定申告では、確定申告書の作成や税務署への提出が必要なために、様々な書類を用意する必要があります。書類の中には、準備するのに時間がかかるものもあります。確定申告時期が近付いたら、できるだけ早くから準備するようにしましょう。

会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。

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