自動車税はキャッシュレスで納税可能!キャッシュレスの納税方法と注意点

[取材/文責]長谷川よう

税金のキャッシュレス支払いへの対応は数年前から各自治体で進められていましたが、新型コロナウイルス感染症をきっかけに利用者も一気に広がると考えられます。
ここでは、自動車を所有する人が毎年5月31日までに支払う自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)のキャッシュレス納税について解説します。

そもそも自動車税とは

「自動車税」とは自動車を購入したり、所有していたりする人に対して課税される税金です。購入・所有している車の種類によって税の種類と納付先が異なり、普通車は自動車税を都道府県に納め、軽自動車は軽自動車税を市町村に納めます。

 

自動車税・軽自動車税は「環境性能割」と「種別割」で構成されています(2019年10月1日より、以前の「自動車税」「軽自動車税」はそれぞれ「自動車税(種別割)」「軽自動車税(種別割)」に名称が変わっています)。「環境性能割」は購入したときに課せられる税金であるのに対し、「種別割」は所有していることに対して課せられ、毎年4月1日の時点で自動車を所有している人が支払います。

 

今回の記事で取り上げるのは、自動車税・軽自動車税の「種別割」の納税についてです。以降、特に断りのない場合、文中の「自動車税・軽自動車税」は種別割を指します。

 

毎年4月1日時点で自動車を所有していると自動車税・軽自動車税が課税され、5月上旬ごろに自動車税・軽自動車税の納付書が郵送されます。納付期限は原則、5月31日です。

キャッシュレスで自動車税を支払う方法

現在、税金の支払い方法は多様化しています。役所や金融機関、コンビニエンスストアで現金支払いをするほか、キャッシュレス支払いを導入する自治体も増えています。

 

キャッシュレスによる支払いには、PCやスマホから納付サイトにアクセスし、クレジットカードで支払う方法と、スマホアプリによる支払い方法があります。ここでは、「Yahoo!公金支払い」や「自治体の納税専用サイト」を利用したクレジットカードによる支払い方法と、スマホアプリを使った支払い方法をご紹介します。

「Yahoo!公金支払い」での支払い

「Yahoo!公金支払い」(https://koukin.yahoo.co.jp/)は、地方自治体の税金や公共料金などの各種料金をインターネットで支払えるサービスです。クレジットカードやTポイントを使い、24時間いつでも支払うことができます。クレジットカード会社のポイントが貯まったり、分割払いが利用できたりと、現金支払いにはないメリットがあります。

 

2021年4月現在、自動車税・軽自動車税を「Yahoo!公金支払い」で支払える自治体は以下のようになっています。

 

  • 自動車税…29道県
  • 軽自動車税…148市区町村

納付先が「Yahoo!公金支払い」に対応しているか、あらかじめ確認しましょう。

支払いに必要となるのは、納税通知書とクレジットカードです。利用可能なクレジットカードはMastercard・Visa・JCBなど5種類です。

【支払い手順】

  • (1)「税目・料金名から探す」>「自動車税・軽自動車税」>自治体名をクリックし、納付先自治体の支払い手順説明画面を表示。画面下部のチェックボックスにチェックを入れて「お手続きはこちら」のボタンをクリックする。
  • (2)納付番号・確認番号を入力し、「次へ」のボタンをクリックする。
  • (3)支払情報を入力し、「次へ」のボタンをクリックする。
  • (4)内容を確認し「支払う」ボタンを押せば支払い完了。
※Yahoo!JAPANのIDを持っている人は、ログインしたうえで支払い手続きを進めると、登録メールアドレスに支払い手続き完了のお知らせメールが届いたり、後日支払い手続きの履歴も確認できたりします。また、Tポイントを使った支払いも可能です。

自治体の納税専用サイトを利用する

「Yahoo!公金支払い」に対応していない自治体であっても、独自に納税専用サイトを開設しているところがあります。東京都や大阪府、石川県などでは、クレジットカードを使って自動車税を納税専用サイトで支払うことができます。また、市区町村に納付する軽自動車税についても、納税専用サイトを開設してクレジットカードで支払える自治体が増えてきています。

 

手続きの方法は「Yahoo!公金支払い」と同じような要領で進めます。また、納税専用サイトを利用して支払う場合も、決済手数料がかかるケースが多いです。納付先の自治体が納税専用サイトを開設しているかどうかは、自治体のホームページでご確認ください。

その他のキャッシュレスで自動車税を支払う方法

キャッシュレス支払いの方法で、いちばん簡単に操作できるのがスマホアプリを使った方法です。納税通知書のバーコードをスマホで読み取り、アプリにチャージしているお金で支払います。

 

このような方法のスマホアプリはたくさんありますが、多くの自治体で採用されている「PayPay」と「LINE Pay」についてご紹介します。いずれの場合も、納税通知書とアプリを入れたスマホを用意しておきましょう。

 

【PayPay請求書払い】
スマホアプリ「PayPay」での支払い方法には、あらかじめお金をチャージして支払う「PayPay残高」と、紐づけしたキャッシュカードを利用する方法があります。請求書払いで利用できる支払い方法は、PayPay残高のみです。請求書払いをする前に、チャージしておきましょう。支払い手順は以下のとおりです。

  • (1)ホーム画面の「スキャン」を押すか、「請求書払い」>「請求書を読み取る」を押して読み取り画面にする。
  • (2)納付通知書のバーコードを読み取る。
  • (3)支払い金額が表示されるので確認して「支払う」ボタンを押せば支払い完了。

PayPay請求書払いを税金や公共料金などの支払いに利用できる自治体は、2021年4月24日現在1,063団体です。自動車税・軽自動車税の支払いに利用できる具体的な自治体名は、文末のURLから検索して確認してください。

PayPay請求書払いで自動車税・軽自動車税を支払うと、支払額の0.5%~1.5%がPayPayボーナスのかたちで還元されます(付与上限あり)。また、PayPay請求書払いの利用にともなう納付手数料は発生しません。

【LINE Payの請求書支払い】
スマホアプリ「LINE Pay」にはPayPayと同様に、あらかじめお金をチャージして支払う残高払いと、クレジットカードを利用して支払う方法があります。加えて「LINE Pay」だけの機能として「チャージ&ペイ」という支払い方法があります。

 

「チャージ&ペイ」機能とは、「Visa LINE Payクレジットカード」をアプリに紐づけし、支払う分だけVisa LINE Payクレジットカードに請求する方法です。「Visa LINE Payクレジットカード」以外のクレジットカードをLINE Payに登録している場合、LINE Payを利用する際の支払方法として、クレジットカードを選べるサービスは「LINE STORE」「LINEモバイル」などLINE関連のサービスに限られます。実店舗などでの支払いに利用できるのは「Visa LINE Pay クレジットカード」のみです。

 

LINE Payの請求書支払いで利用できるのは、残高支払と「チャージ&ペイ」機能です。残高支払の場合は、請求書支払いを行う前にチャージをしておきましょう。支払い手順は以下のとおりです。

 

  • (1)ホーム画面の「請求書支払い」を押す。
  • (2)遷移した画面の下方にある「次へ」を押す。
  • (3)コードリーダーで納付通知書のバーコードを読み取る。
  • (4)金額を確認し、お支払方法を「チャージ&ペイ」または「LINE Pay残高」から選び、画面下方の「●●円を支払う」を押す。
  • (5)確認画面で内容を確認し、「支払う」を押す。

LINE Pay請求書払いを税金や公共料金の支払いに利用できる自治体は、文末URLからご確認ください。LINE Pay請求書払いもPayPay請求書払い同様、納付手数料はかかりません。

 

「チャージ&ペイ」機能を利用して請求書払いを行うと、支払額の最大3%(LINE Payが定める「マイランク」に応じて1~3%)がLINEポイントのかたちで還元されます(2021年5月1日以降はマイランク制度が終了し、還元率は一律0.5%)。ただし、クレジットカードでの支払いに手数料がかかるので、ポイント還元率が下がることがあります。

 

キャッシュレスで自動車税を支払う場合の注意点

PCやスマホを利用し、自宅にいながら自動車税を支払うことができるキャッシュレス支払いはとても便利です。しかし、注意点もあります。

決済手数料がかかる場合がある

クレジットカードを使って自動車税を支払う場合、決済手数料がかかります。たとえば「Yahoo!公金支払い」で自動車税を支払う場合、多くの自治体で支払い1件当たり330円(税込)の手数料が必要ですが、納付金額によって手数料が異なる自治体もあります。また、自治体が独自で運営している納税サイトにおいても、「Yahoo!公金支払い」と同額程度の決済手数料がかかります。

 

クレジットカードを利用すると、利用額の0.5%がポイントで還元されるといったクレジットカードのサービスを受けることができます。しかし、決済手数料を差し引くと、還元されたポイントが大きく減ってしまうこともあるので要注意です。

 

一方、「PayPay請求書支払い」や「LINE Pay 請求書支払い(残高支払い)」を利用して支払う場合、手数料はかかりません。

納税証明書の発行に時間がかかる

クレジットカードを使って「Yahoo!公金支払い」や自治体独自の納税サイトから自動車税を支払った場合、納税証明書の発行に時間がかかります(たとえば、山形県の場合は11~20日程度)。車検などで納税証明書が必要となる場合は、金融機関やコンビニエンスストアで納付してください。

 

また、納税確認の電子化にともない、車検時に納税証明書がいらない地域も増えています。車検時に納税証明書が不要であっても、クレジットカードで税金を支払った場合は納税確認ができるまでに数日かかります(たとえば、北海道の場合は3日程度)。自動車税を支払ったあと、すぐに車検を更新するときは金融機関やコンビニエンスストアで現金納付を行ってください。

Youtube動画でポイントを解説中!

キャッシュレス決済で、自動車税を支払う場合の注意点,3分でわかる!税金チャンネル

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まとめ

クレジットカードを持っている人はもちろん、持っていない人もスマホアプリにお金をチャージすることで、簡単にキャッシュレスで自動車税の納税ができます。納税確認の電子化が完了している自治体では車検の際に納税証明書が不要になっており、今後も多くの自治体で順次体制が整うことが予想されます。クレジットカードの決済手数料や車検のスケジュールなど注意点を踏まえ、キャッシュレス納税を上手に活用しましょう。

会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。

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