マイナンバーカードが運転免許証と一体化される!マイナンバーの今後とは?
国民1人あたり10万円を支給する定額給付金で注目を集めたのが、マイナンバーカードです。マイナンバーカードを所有している人は、より早く定額給付金が支給されました。
今後、運転免許証と一体化されるなど、多岐にわたる分野での利用が予想されます。
ここでは、マイナンバーカードの現状と今後について、解説します。
そもそもマイナンバーカードとは
マイナンバーカードがどのようなものなのかについて、確認していきましょう。
マイナンバーカードとは、簡単にいうと、マイナンバーが記載されたカードのことです。マイナンバー制度の導入により、平成27年10月以降、国民一人ひとりに、12桁のマイナンバー(個人番号)が通知されました。
マイナンバー制度とは「国民の利便性の向上」「行政の効率化」「公平・公正な社会の実現」の3つを達成することを目的に、マイナンバーを活用する制度です。そのため、マイナンバーは原則、社会保障、税、災害対策の分野でのみ利用できます。
では、マイナンバーカードはどのように利用できるのでしょうか。現在のマイナンバーカードの主な利用方法は、本人確認書類としての利用と行政手続きの簡便化です。
マイナンバーカードの表面には、氏名や住所、生年月日や性別、顔写真や電子証明書の有効期限の記載欄といった個人情報が記載されています。裏面にはマイナンバーが記載されています。
マイナンバーカードには顔写真や個人の情報が記載されているため、本人確認書類として利用できます。また、ICチップがついており、ICチップに公的個人認証APなどを搭載することで、行政手続きへの利用や電子証明書の発行ができます。これにより、役所に出向かなくても近くのコンビニなどで各種証明書を取得できたり、オンライン上で行政手続きをできたりします。
マイナンバーカードと運転免許証が一体化へ
現在、マイナンバーカードは、本人確認書類としての利用と行政手続きの簡便化などに利用できます。そしてさらに、マイナンバーカードと運転免許証を一体化させようという動きが出てきています。
ここではマイナンバーカードと運転免許証の一体化について見ていきましょう。
マイナンバーカードと運転免許証の一体化の背景
令和2年6月30日、官邸において有識者を交えて、マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループによる会合が開かれました。この会合では、マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤の抜本的な改善に向けての現状と今後の課題について議論が交わされました。
その議論の中で出てきたのが、マイナンバーカードと運転免許証の一体化についてです。マイナンバーカードと運転免許証の一体化の話がでてきた背景は、ずばり、マイナンバーカードの普及率の低さです。令和2年9月1日現在、全国のマイナンバーカードの普及率は19.4%しかありません。マイナンバーカードの利活用範囲を拡大することで、普及率を高めようと考えています。
実は、マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループによる会合では、今後の課題として次のことを挙げています。
- 緊急時におけるより迅速・確実な政府サービスの供給の実現
- フリーターを含めたセーフティネットの構築
- 今後の我が国の成長力や国際競争力を維持するための、マイナンバー制度を基盤とした、データ・AIを最大限利活用できるシステムへの変革
新型コロナウイルス感染症の影響拡大によって、政府は、国民ひとり10万円の定額給付金の支給を行いました。しかし、マイナンバーカードを所有している人が少なかったことにより、スムーズな支給ができず、支給までに数か月を要する自治体もでてきました。
これは、上記の「緊急時におけるより迅速・確実な政府サービスの供給」ができなかったことを意味します。
マイナンバーカードの取得促進を加速するためには、マイナンバーカードを利用して、さまざまなサービスを受けられる必要があります。そのひとつが、マイナンバーカードと運転免許証の一体化です。
マイナンバーカードと運転免許証の一体化については、工程などをさらに議論していくことになっています。
マイナンバーカードの今後と課題
では、マイナンバーカードの今後はどのようになっていくのでしょうか。マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループによる会合では、マイナンバーカードの今後について、大きく次の5つ施策が必要としています。
- ①マイナンバーカードの利便性の抜本的向上
スマートフォンへの搭載などの「カード機能の抜本的改善」「マイナポータルの最適化」「マイナポータルをハブとしたデジタル・セーフティネットの構築」などが考えられています。 - ②マイナンバーカードの取得促進
「カードの発行・更新等が可能な場所の充実」「マイナポイントなどのインセンティブの導入」「カード生産・管理体制の強化」などにより、マイナンバーカードの取得促進を目指しています。 - ③マイナンバー制度の利活用範囲の拡大
マイナンバー制度の利活用範囲の拡大として「多様なセーフティネット」「教育」「金融」「運転免許証などの各種資格や国家資格」を挙げています。 - ④国と地方を通じたデジタル基盤の構築
「自治体の業務システムの統一・標準化の加速」「マイナンバー関連システムなどのトータルデザイン」などを通じ、国と地方、国と民間との相互連携を強化するためのデジタル基盤の構築を目指すとしています。 - ⑤マイナンバー制度及びデジタル・ガバメントに係る体制の抜本的強化
IT戦略推進体制の強化・IT人材採用の増強などを通じ、マイナンバー制度及びデジタル・ガバメントに係る体制の抜本的強化を行います。
これらの内容を見る限り、政府が本気でマイナンバーカードを通じたデジタル基盤の構築を考えていることがわかります。
マイナンバー制度の利活用範囲の拡大についても、運転免許証だけでなく、各種国家資格とマイナンバーカードの一体化や、公金受取口座・複数口座の管理をマイナンバーカードでできるようにすることなどが検討されています。
ここで課題となるのが、情報漏洩の対策です。各種免許やスマートフォンとの一体化などによって、情報漏洩の恐れが出てきます。対策がしっかりできていないと、情報漏洩の恐れにより、マイナンバーカードの普及は伸びないでしょう。
マイナンバーカードの利活用範囲の拡大は進んでいる
克服すべき課題はあるものの、マイナンバーカードの活用範囲の拡大は着々と進んでいます。その代表的なものが、健康保険証としての利用です。現在、マイナンバーカードを健康保険証として利用するための申込を、マイナポータルで受け付けています。今後、2021年3月(予定)には、医療機関や薬局などで、マイナンバーカードの健康保険証利用が可能になります。
また、2021年分所得税の確定申告(予定)からは、マイナポータルから医療費控除の手続きも可能になります。今後、さらにマイナンバーカードの利用範囲が拡大していくのは、間違いないでしょう。
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まとめ
菅内閣では、デジタル化を進めることに重きを置いた政策を打ち出しています。そのため、マイナンバーカードを中心としたデジタル基盤の抜本的な改善は、今までよりも早い速度で実現していく可能性があります。今後、運転免許証以外にも、さまざまなサービスとマイナンバーカードが一体化していくことになる事が予想されます。
さらに、多くのデジタル・ガバメント閣僚会議が行われることも予定されています。
マイナンバーカードの利用拡大について新しい取り決めなどがないかどうか、注視していく必要があるでしょう。
▼参照サイト
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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