BNPLとは何か?代金決済の新しい選択肢について解説
パソコンやスマートフォンの普及により、インターネットを使った電子決済が広がりつつあります。そんな中で、「BNPL決済」という新しい決済方法が注目されています。今回は「BNPL決済」とはどのような仕組みか、その他の決済方法との違いや利用するメリット、デメリットについて解説していきます。
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新たに登場した代金決済方法「BNPL決済」とは何か?
BNPLは「今すぐ買って支払いは後で」ということ
「BNPL決済」を英語でいうと「Buy Now Pay Later」であり、訳せば「今すぐ買って支払いは後で」となります。普段からクレジットカード決済で買い物をしている方であれば、「クレジットカード決済と何が違うの?」と感じるかもしれません。
商品の受け渡し時期や代金の決済時期だけを比べれば、確かに違いは分からないでしょう。
しかし、「BNPL決済」が注目されているのには明確な理由があります。大きな違いとしては「あらかじめ与信を受ける必要がない」「分割手数料がかからない」の2点が挙げられるでしょう。
元々は海外で利用されていた決済方法ですが、従来のクレジットカード決済より簡単にコストをかけることなく利用できるという利便性が評価され、日本国内でも急速に普及しつつあります。特にスマホなどの端末を自在に使いこなす若年層で利用者が増加しています。
従来の「代金後払い決済」との違い
「支払いは後で」という代金後払い決済は従来もありました。クレジットカード決済がその代表的なものであり、現在も多くの方がカードを所有し、利用しているのではないでしょうか。商品の購入時にクレジットカードを切って「お支払いは何回で?」というやりとりをしたことがあるでしょう。
カード会社によって締め日や支払日は違いますが、翌月あるいは翌々月の決まった日に、その月の利用額を一括で口座から引き落として決済する、というのが一般的です。
購入額が多い場合には、商品代金を均等額で分割する「分割払い」や、複数の商品代金の多寡にかかわらず毎月一定額を支払う「リボ払い」を利用することもできます。
クレジットカード決済は、欲しいものがあっても手持ち現金がない場合などには便利なサービスです。一度カードを作ってしまえば延滞しない限り限度額まで自由に商品を購入できます。
BNPL決済は、クレジットカード決済の利便性をさらに進化させたものとも言えます。クレジットカード決済とBNPL決済の最大の違いである「カードが必要ない」「分割手数料がかからない」というのが理由です。
「クレジット決済」と「BNPL決済」の違いとは?
「クレジット決済」との違いはどこにある?
一般的なクレジットカード決済の流れとBNPLを比較しながら挙げてみましょう。
クレジットを利用するにあたって、まず受けなければならないのが「与信審査」です。カードの発行会社も信用がない方に無条件でカードを発行することはありません。その方の支払能力が信用に値するかを必ず審査をします。審査結果に応じて、カードの利用限度額が設定され初めてクレジットカード決済を利用することが可能になります。
BNPL決済にはこの「与信審査」がありません。極端にいえば、いつでも誰でも後払い決済を利用できるということです。特に若い世代で利用者が増えている理由として、カードを作ることができない方が、BNPL決済を利用するケースが考えられます。
クレジットカード決済で分割払いやリボ払いした場合にも違いがあります。商品代金を複数回の分割払いにした場合、支払いを繰り延べる期間は実質的な貸付になりますので、カード会社は貸付利息に相当する「手数料」を加算します。
BNPLのもう一つの利点として挙げられるのが、分割払いにした場合に発生する「手数料がかからない」という点です。
手数料がかからなければ、少し高くても思い切った買い物ができますし、分割により支払総額が増えることもありません。買いたいものを簡単にコストをかけずに購入できるという利便性が、利用者を増やしている最大の要因でしょう。
「リボ払い」と比べれば違いは一目瞭然
クレジットカード決済とBNPL決済の違いがはっきりわかるのがクレジットカード決済の「リボ払い」との比較です。
リボ払いはその月に利用した決済額がいくらであっても「毎月一定額を支払っていく」という決済方法です。仮にその月の利用額が多くなっても、支払日には一定額だけ支払えばよいので、支払額は増えません。そのため一見楽な決済方法に思えるかもしれません。
しかし、リボ払いはあくまでも支払いを繰り延べているにすぎません。先送りした部分は実質的には貸付になりますので、手数料が加算されます。現在適用されている一般的なリボ払いの金利は15%に設定されているものが多く、手数料だけでも相当な負担になります。
リボ払いが支払えなくなり自己破産している方も近年増加しています。
BNPL決済で「リボ払い」は選択できませんが、分割しても基本的には手数料がかかりませんので費用負担は少なく済みます。
ただし、分割回数が多くなると手数料がかかるケースがあります。
BNPL決済のデメリットを挙げるとすれば、手数料がかからず気軽に利用できるためつい使い過ぎてしまうという点があります。支払いが遅延してしまうと最悪の場合、BNPL決済自体が利用できなくなりますので、利用額には充分注意しましょう。
「BNPL決済」は事業者にもメリットがある
「利便性が高い」イコール「新たな顧客獲得のチャンス」
利用者にとっては気軽に利用できるBNPL決済ですが、商品を購入してもらう事業者にとっても購入者を増やすチャンスでもあります。今まではカードが作れない購入層や、手数料負担を敬遠する購入層がBNPL決済を利用して購入してくれる可能性が広がります。
ショップの決済方法にBNPL決済を追加しておけば、新たな顧客を獲得することができるかもしれません。
BNPL決済の場合、手数料負担は加盟店である事業者が負担することになっていますので、コストが増加するというデメリットはあります。しかし、今後BNPL決済が徐々に普及していけば受注が飛躍的に増加する可能性はあります。
ネットショップの売上が伸び悩んでいるといった事業者の方は、BNPL決済の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
クレジット決済よりも事務手続きが楽に
事業者がBNPL決済を導入するメリットとしてもう一つ挙げられるのが、決済にかかる代金回収手続きを代行してくれるという点です。
クレジットカード決済の場合は、不正カードの利用等で代金回収が不能になるケースが想定されます。一度引き落としがかからないと再請求するための事務手続きも増加しますし、最悪の場合、回収不能となってしまいます。
不正カードの使用による回収不能の被害が近年増加していますので、カード決済を利用してもらう際のリスクを事業者が負わなければならないケースも想定されます。
その点、BNPL決済であれば代金はBNPLの運営会社が全額立替払いしてくれますので、回収不能等のリスクはありません。再請求などの事務手続きを軽減できます。
まとめ
BNPL決済は、決済方法として定着したとはまだ言い難い状況です。しかし、仕組みさえ理解できれば誰でも気軽に利用できるものです。クレジットカード決済を利用する機会が多い方は、決済方法の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。
Webライター/ライター
フリーランスとして様々な記事を執筆する傍ら、経理代行業なども行う。自身のリアルな経験を活かし、税務ライターとして活動の場を広げ、実務で役立つ生きた税法の解説に努めている。取材を通じて経営者や個人事業主と関わることも多く、経理や税務ほか、SNSを使った情報発信の悩みにも応えている。
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