奨学金の種類はどれくらいある?各種奨学金制度について解説
高校や大学への進学を希望してはいるものの、経済的な理由などで就学が困難な学生を支援する制度の一つに「奨学金制度」があります。国や地方公共団体をはじめとして学校が独自に運営する制度まで、奨学金には様々な種類があります。今回は「奨学金制度」について詳しく解説していきます。
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「奨学金制度」とは何か?
「奨学金」は就学支援を目的としている
「奨学金制度」は、主に経済的な理由により就学が困難な学生に対し、必要な学費や生活費などの経済的支援を行い、就学しやすい環境をサポートすることを目的としています。
高校や大学の学費は、国公立であっても決して安くはありませんし、私学となればさらに高額になりがちです。また、家を出て一人暮らしともなれば学費のほかにも家賃や食費、光熱費などがかかります。これら多額の費用負担を考えた結果、進学をあきらめてしまうケースが考えられます。進学を希望する学生が就学する機会を失うことがないよう、経済的にサポートしていこうというのが「奨学金制度」の目指すところです。
「奨学金」を使った進学の具体例
地方から首都圏にある学校への進学を検討している学生を例に、奨学金制度の概要について解説していきます。
進学するためにはまず、入学金や年間の授業料といった学費が必要になります。入学金は入学時に、年間の授業料は毎年納入日までにある程度まとまった金額を用意しなければなりません。また、地方から出てくるのであれば一人暮らしになるため、引越し資金や家具家電の用意、家賃や食費、光熱費などの生活費を考えなければなりません。
例えば、この学生が日本学生支援機構が運営する「給付型奨学金制度」を利用したとしましょう。
「給付型奨学金制度」は学費免除と奨学金支給の二本立てで就学を支援していく制度です。
制度を使えば、本来負担しなければならない入学金や授業料の一部(あるいは全額、上限あり)の減免を受けることができます。高校・大学・専門学校など、進学する学校によって減免額は変わってきますが、一時的な学資資金の用意に悩まされることなく学業に専念できます。
また、一人暮らしであれば制度上「自宅外通学」に該当しますので、奨学金として毎月機構から一定額が支給されます。この奨学金は使途を問いませんから生活費の一部に充てることができます。また、生活費の不足分をアルバイト等で穴埋めしたとしても、支給が打ち切られることはありません。
後述しますが「給付型奨学金」には返済する義務がありません。したがって、将来的な返済に不安を抱える必要がないので安心して支援を受けることができます。
現在利用できる各種奨学金制度について解説
国や地方公共団体が運営する奨学金制度
「奨学金制度」の運営主体は、大きく二つに分けることができます。
一つは、国や地方公共団体などが運営する「公的な奨学金制度」です。
国が運営する代表的な制度としては、独立行政法人「日本学生支援機構(JASSO)」が運営する各種奨学金制度があります。
● 給付奨学金…返済が不要な奨学金
● 貸与奨学金…返済が必要な奨学金
申請要件さえ満たせば、居住地や進学先を問わず奨学金を受けることができる非常に使いやすい制度です。
また、都道府県や市区町村といった地方公共団体が運営する「奨学金制度」もあります。
例えば、「東京都地域医療医師奨学金制度」は将来的に東京都内の医療業務に従事する意志のある学生に対する奨学金です。この制度は貸与奨学金ですが、一定の要件を満たせば返還が免除される特典もあります。
特に地方公共団体の奨学金の場合、就学する地域や卒業後の就業に条件がつくケースがあります。地方公共団体の奨学金を検討している場合には、これらの要件について事前に問い合わせるなどの注意が必要になります。
学校や民間育英団体が運営する奨学金制度
もう一つが、民間育英団体や各種学校が運営する「民間の奨学金制度」です。
民間の「奨学金制度」には実に様々なものがありますが、代表的なものを列挙してみましょう。
1.企業が運営する奨学金制度
企業が自社の労働力確保や将来的な人材獲得を目的に運営する奨学金制度です。
一般的には公的な奨学金制度と制度内容は同じですが、なかには就業期間中にアルバイトとして働いてもらう事を条件に、奨学金を支給するといったケースもあります。また、将来自社に就職した場合、貸与した学費の全額を免除するといったユニークな制度を導入しているところもあります。
2.一般財団法人・公益財団法人が運営する奨学金制度
主に民間の育成財団が運営する奨学金制度です。世界的に有名な「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」のように、資産家による寄付などを財源として運営されるケースが多く、就学を希望する学生の経済的支援を行っています。
3.学校が独自に運営する奨学金制度
進学する学校によっては学校側が奨学金制度を用意しているケースもあります。学費免除や給付金などを独自の基準で審査し、主に給付型奨学金として支給するのが一般的です。
他の奨学金にも共通していえますが、必要な学資資金や自分のライフスタイルに合わせて、複数の奨学金制度を同時に受けることも可能です。
運営主体によって申請要件は異なりますが、制度としては公的な奨学金制度と大きな相違はありません。
「奨学金」を利用するメリット・デメリットについて解説
「奨学金」を利用するメリット
公的な奨学金制度のところで触れましたが、奨学金には「返済が不要なもの」と「返済が必要なもの」があります。
先に例を挙げた日本学生支援機構の「給付奨学金」であれば、減免を受けた入学金や学費については返済が全額免除されます。また、毎月支給されていた給付金についても将来的に返済を求められることはありません。奨学金は借りたら必ず返さなければならないもの、と考えている方にとって、給付型の奨学金は大きなメリットを持つといえます。
また、返済が必要な奨学金であっても「奨学金制度」であれば借入金利が優遇されるというメリットがあります。例えば、日本学生支援機構の「貸与奨学金」の第二種奨学金の金利は、貸与終了時点の金利で固定する「固定金利型」と、一定期間ごとに金利を見直しする「見直し型」があります。いずれも、一般的な金融機関借入と比べて低金利となっています。
同じ学資資金を用意するのであれば、奨学金制度を使って借りた方が将来的な費用負担を軽減することができます。
「奨学金」を利用するデメリット
メリットが大きい奨学金制度ですが、申請すれば誰でも必ず受けられるものではありません。
返済が不要な奨学金制度であれば、当然申し込みも集中することが予想されますから、競争率が激しくなります。また、申請時点の学業成績も、制度が求める一定レベル以上をクリアしなければなりません。給付を受けるためにはまず高いハードルを超えなければならないというデメリットがあります。
在学中の成績も給付に影響してきます。制度が求める一定の成績を残さなければ支給を継続することはできません。制度のなかには留年等の理由により、支給打ち切りだけではなく、今まで支給を受けた奨学金の返還を求められるケースもあります。
申請時点だけではなく、在学期間中も含めた長いビジョンを持って奨学金を検討する必要があります。
まとめ
経済的な理由で進学を断念してしまうのは社会的な観点からみても大きな損失です。「奨学金制度」は就学を希望する学生だけではなく、私たちにとっても非常に有意義な制度であるといえます。卒業後の将来を見据えた自分に最適な奨学金制度を是非検討してみてはいかがでしょうか。
Webライター/ライター
フリーランスとして様々な記事を執筆する傍ら、経理代行業なども行う。自身のリアルな経験を活かし、税務ライターとして活動の場を広げ、実務で役立つ生きた税法の解説に努めている。取材を通じて経営者や個人事業主と関わることも多く、経理や税務ほか、SNSを使った情報発信の悩みにも応えている。
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