“東京2020”の観戦チケットは結局「払い戻し可」に?
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行拡大の影響を受けて、「4年に1度」の開催年に当たっていた2020年東京オリンピック・パラリンピックの「1年程度の延期」が決まりました。中止にならなくて、まずはほっと一安心ではあるのですが、気になるのはすでに販売されているチケットのこと。新型コロナの感染が拡大し、オリ・パラの開催が危ぶまれる状況になった当初、報道されたのが「中止になっても払い戻しはされない」という内容でした。実際にはどうなのでしょうか、最新の動向をまとめました。
「払い戻しはされない論」の根拠は?
‟東京2020“が中止になるかもしれない――。そんな話が現実を帯び始めた頃、次のような記事が配信されました。
新型コロナウイルスの感染拡大を理由に東京オリンピック(五輪)・パラリンピックが中止となった場合、大会組織委員会が定める観戦チケットの購入・利用規約上、払い戻しはできない見通しになっていることが18日、大会関係者への取材でわかった。
組織委は規約で「当法人が東京2020チケット規約に定められた義務を履行できなかった場合に、その原因が不可抗力による場合には、当法人はその不履行について責任を負いません」と明記している。
そして、「不可抗力」について、「天災、戦争、(略)公衆衛生に関わる緊急事態(略)など、当法人のコントロールの及ばないあらゆる原因をいいます」と定めている。大会関係者によると、新型コロナウイルスが原因で中止となった場合、この規約の「公衆衛生に関わる緊急事態」にあてはまるという。
やはり新型コロナウイルスの影響で、一般ランナーの参加が取りやめとなった東京マラソン(3月1日)でも、参加費の払い戻しがされなかったこともあり、「中止になったら、オリ・パラのチケットは紙くずになる」という見方が、この頃一気に広がりました。
一方、東京五輪・パラリンピック組織委員会は、同じ3月18日に、公式サイトでそうした見方を否定しました。「規約には『払い戻しは不可』との記載はなく、事実と異なる」という声明を発表したのです。確かに「(大会が開けなかったという)不履行について責任を負いません」=「チケットの払い戻しはしません」ではない、という理屈は成り立ちます。大会組織委員会の声明は、「規定上は払い戻し不可とすることもできるが、そうした機械的な対応はしない」というふうに受け取られました。ただし、厳密に言えば、「払い戻しできます」と明言したわけではありませんでした。
チケットは21年の大会にも有効、払い戻しもOKか
“東京2020”の観戦チケットについては、このように、新型コロナウイルスの影響で大会が中止になった場合には、購入済みのものは払い戻しがされないという見方が拡大→大会組織委員会がそれを否定――という流れだったのですが、東京大会について実際に下されたのは、中止ではなく延期という決断でした。
延期の場合、購入済みのチケットの扱いがどうなるのかについては、「チケット購入・利用規約」に、次のような規定がありました。
セッションが中断され、実質的にも完了していないと当法人が判断し、さらに、当初から予定されていた既存のセッションとは異なる新規セッションが設定された場合には、当法人は、当法人の判断により、(1)チケット保有者が元のチケットを使用して新しいセッションを観覧することができる、または(2)新しいセッションのチケットには変更せず、東京2020チケット規約の定めに従ってチケット購入者に対する払い戻しを認める、のいずれかの取扱いをいたします。
要するに、持っているチケットで、延期された大会の同じ競技、プログラムを観戦できるか、そうでなければ払い戻してもらえる、ということ。大会組織委員会は、すでにその方向で、具体的な仕組みなどについての検討を開始していると報じられました。とりあえず、「観戦チケットが紙くずになる」事態だけは、避けられることになりそうです。
販売済みのチケットは、オリンピック、パラリンピック合わせて約550万枚。中には、開会式30万円、閉会式22万円、男子100メートル決勝13万円のようなプラチナチケットもあります。「救済策」が講じられるのは、なにより。
あえて懸念材料を挙げるとすれば、延期の原因が、新型ウイルスという「見えざる敵」であることでしょう。パンデミックの長期化による大会の再延期や中止の可能性が、ゼロとは言えないのです。そうした場合には、再び「チケット問題」が持ち上がるかもしれません。
まとめ
大会が中止になっても「払い戻し不可」が心配された“東京2020”観戦チケット問題は、「延期される大会を観戦できる」、「希望すれば払い戻しができる」ということで「決着」のようです。購入者にとって最悪の事態は、避けられました。
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