「リース取引き」が「売買取引き」に

[取材/文責]税理士:浦田泉

今年の4月1日以降、いままで賃貸借取引き(リース取引き)とされていた所有権移転外ファイナンスリース取引きについて、その大半が売買取引きとして取り扱われることになります。
リース期間内の解約ができないリース取引きのことを「ファイナンスリース」といいます。そのうち、リース期間終了後、または中途で借り手に所有権が移転されず、リース総額や賃貸借期間が売買(償却資産)における購入総額や償却期間と大きく変わらないものを「所有権移転外ファイナンスリース」といいます。
所有権移転外ファイナンスリースという難しい名前のため「うちには関係ない」と思う方が多いかもしれませんが、実は企業が利用しているリース取引きのほとんどが所有権移転外ファイナンスリースなのです。
これが「売買取引き」とみなされることになると、一旦、リース資産を資産に計上し、減価償却処理を実施することになります。
この際の減価償却は、償却期間をリース期間とし、残存価額を0とする「リース定額法」で行うことになりますので、各期ごとの必要経費の額は賃貸借取引きとそれほど変わらないと思われます。
また、利子分については、別途、利息法または定額法で処理する必要もあり、事務処理としては少々面倒になります。
ただし、以下のいずれかのケースに該当する場合、従来の賃貸借処理も認められています。
1.リース期間が1年未満のリース契約 2.リース料総額が300万円以下のリース契約 3.中小企業が締結するリース契約
というわけで、中小企業であれば、今までどおり賃貸借で処理できます。
しかし、この場合でもそのリース取引きが売買取引きとみなされることに変わりはありません。 そのため、消費税については従来の賃貸借料発生ごとの処理から、リース取引き開始時の一括処理になります。
分かりやすくいうと、リース取引き開始時にリース料総額に係る消費税額を一括して仕入税額控除できるということで、上手く利用すれば消費税の節約になります。
リース取引き開始時に消費税額を算出するためには、従来と異なる仕訳処理が必要になりますからご注意ください。
ちなみに、この取り扱い変更は、平成19年度の税制改正で定められたものなので、国会審議中の平成20年度税制改正関連法案の成立有無とは関係なく適用されます。

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