会社清算の課税方式の変更

[取材/文責]税理士・中小企業診断士:高橋和宏

平成22年10月1日以後に解散決議をした法人について、会を清算時の課税方式が変更となりました。
1.財産課税方式から所得課税方式へ
財産課税方式とは
従来の課税方式である「財産課税方式」とは、「残余財産の価額」から解散時における税務上の「資本金等の額と利益積立金額」を控除した「清算所得金額」に対して課税する方式です。
つまり、清算した場合にもともと株主が出資した資本金等と、すでに解散前の各事業年度で課税された利益積立金額を上回る財産が残った時にそれに課税を行う趣旨でした。
所得課税方式とは
平成22年10月1日以後解散した法人に適用される「所得課税方式」とは、通常の事業年度と同様に「収益」から「費用」を控除した「所得金額」に対して課税する方式です。
2.期限切れ欠損金の損金算入

解散時に実質的な債務超過の会社が清算する場合に、現行の「財産課税」では仮に債務免除益が生じても清算所得は生じませんが、改正による「所得課税方式」では、債務免除を受けた場合にはその債務免除益に課税される可能性があります。 そこで、債務超過である会社が清算する場合には、税負担が現行制度と比べて不利にならないように、「期限切れ欠損金」の損金算入が認められます。 期限切れ欠損金とは次の金額を言います。 期限切れ欠損金= 解散時の税務上の利益積立金のマイナス - 青色欠損金額(7年繰り越し欠損金の残額)
3.解散法人の100%親会社(完全支配関係)の課税関係 解散法人の株式を100%所有している完全支配関係のある親会社は、子会社が清算したことによって生じる「子会社株式消滅損」の損金算入はできなくなります。 その替わりに、子会社の青色欠損金の引き継ぎは一定の条件付きで認められることとなります。
上記のように、解散決議の時期により大きく課税関係が変わります。 対象となる会社がある場合には、早急な検討が必要です。

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