法人の融資取引でポイントとなる金融機関の選び方や手続きについて解説

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[取材/文責]マネーイズム編集部

法人を経営していくなかで運転資金や設備資金が必要になった時、資金調達を行う手段の一つとして金融機関からの「借入(融資取引)」があります。融資取引は金融機関によって内容が異なりますし、借入目的によっても条件が変わってきます。今回は融資取引を行うにあたって、目的別にみた金融機関の選び方や手続きの進め方などについて解説します。

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法人の資金繰りと融資取引

資金繰りの選択肢である融資取引

法人を経営していると、商品の仕入代金や建設工事の費用立替などの理由で、一時的に運転資金が不足することがあります。また、事業規模の拡大に伴う自社建物の建設や先端設備の導入など、設備投資を行うため多額の資金が必要になることもあります。事業を続けていくなかで、このような事態に備え一時的に使える資金を社内に自己資金として留保しておくのが理想です。しかし、法人設立からの年数が浅く、十分な自己資金をためることができていない法人などもあるでしょう。運転資金や設備資金を調達するための手段として、金融機関からの借入である「融資取引」を選択するのも方法です。自己資金と異なり外部からの借入ですから当然、融資に対する金利負担が発生します。融資取引を検討する際には、融資の元金部分に加え金利相当額も含めた返済計画を立てる必要があります。

融資取引の形態にはどのようなものがある?

金融機関とは、公的金融機関(政策金融機関)や民間金融機関などの総称であり、銀行や信用金庫、信用組合、農協、公庫など様々な金融機関があります。金融機関の業務には法人や個人事業主など、事業を営む方に対する融資業務があり、貸付金に対する利息は事業収益の柱の一つになっています。一言で融資といっても、融資形態には様々なものがあります。法人が利用することができる代表的な融資には次のようなものがあります。

1.証書借入

金融機関と借用証書を交わして行う借入
一般的にその他の借入より低金利で借入することができる

2.手形借入

借用証書のかわりに約束手形を振り出して行う借入
証書借入より融資がスピーディに実行されやすい

3.当座借越

定期預金等を担保として当座借越契約を結んで行う借入
借入極度額まで自由に融資や返済をすることができる

4.カードローン

利用目的を制限せずに行う借入
資金の利用目的を制限されず融資実行もスピーディであるのが特徴

5.手形割引

保有する受取手形を金融機関に裏書譲渡して行う借入
受取手形という現物を譲渡するため資金調達が早い

融資の受けやすさや借入金利の低さなど、それぞれにメリット・デメリットがあります。
融資を検討する際には、これらの特徴を理解したうえで適切な融資形態を選択しましょう。

融資を受ける金融機関を選ぶ際のポイントとは?

融資に求める条件を整理してみる

金融機関から融資を受けるにあたって、最初に整理検討すべき項目は「融資の目的」でしょう。まずは「何のために借りるのか」という点を明確にしてから融資を受ける金融機関や融資商品を検討すべきです。例えば、運転資金が厳しくスピーディな融資実行を求めるのであれば、融資にあたって必要な書類提出や審査が簡単かつ早い金融機関を選択すべきです。また、設備投資のために多額の融資を検討しているのであれば、融資枠が大きく借入金利が少しでも低い融資商品を選ぶべきでしょう。「メインバンクだから」「近くにあるから」という安易な理由で金融機関を選択するのは好ましくありません。自社のニーズに合致した融資を受けるため、まずは融資の目的を整理してから検討するように心がけましょう。

条件別にみたおすすめの金融機関

では融資に求める条件別に、おすすめの金融機関を挙げてみましょう。

1.融資実行までの時間を重視

急な運転資金の不足など、融資実行までのスピードが重視されるケースがあります。このような場合には、審査時間が短く提出書類も少ない融資商品を選択すべきでしょう。

2.融資枠の大きさを重視

設備資金など、多額の融資を受けたい場合には融資枠の大きさが重視されます。

3.借入金利の安さを重視

金融機関の借入金利は、業績や借入実績など法人の信用による部分が多くあります。また、一般的に証書借入のほうが手形借入や当座借越、カードローンよりも低金利に設定されています。金融機関のなかには、定期預金等を担保にすることでより借入金利を低くしてくれるところもありますので、取引のある金融機関に確認してみましょう。

融資を受ける際に必要な書類や事前準備について解説

まずは自社が融資申し込みの要件を満たしているかを確認

基本的なことですが、融資を受けるにあたってその融資商品が求める要件を自社が満たしているかを必ず確認しましょう。「債権者区分」や「信用格付」といった、金融機関内部の審査基準を満たしているかは当然こちらから判断することはできません。しかし、一般的に融資には必ず表面上満たさなければならない要件があります。例えば、日本政策金融公庫の「新規開業資金」には「新たに事業を始める方」又は「事業開始後おおむね7年以内の方」という要件が付されています。

融資を受ける際に必要な書類

最後に、融資を受ける際に法人で準備しておくべき一般的な書類を挙げてみましょう。実際には金融機関ごと、融資商品ごとに提出資料は異なります。しかし、融資申込時に求められることが多い一般的な書類については早めに準備しておくべきです。

1.法人の登記事項証明書

法人の場合、商業登記といって法務局に対し法人が実在することを届出(登記)しなければなりません。融資にあたって、架空の法人ではないことを確認するため登記事項証明書の提出を求められることが一般的です。

2.決算報告書、直近の試算表

金融機関の審査項目の一つに会社の業績があります。金融機関も業績の悪い会社に融資すれば貸倒のリスクがありますので、決算報告書や直近の試算表で収益性、健全性をチェックするのは当然でしょう。

3.事業計画書

融資実行するための判断材料の一つに「事業計画」があります。計画の内容が明確で、将来的な収益が十分に見込めるのであれば融資を受けやすくなります。

4.資金繰り表

借入後に資金繰りが悪化し資金ショートしないか、中長期的な視点で資金繰りをチェックするために提出を求められるケースがあります。

5.印鑑証明書

融資の契約書に押印する法人の印鑑が法務局で正しく登記されているものかを証明するための資料です。登記事項証明書と並んで提出を求められることが多い書類です。

特に融資実行までのスピードを重視する場合には、早めに準備しておくべきでしょう。

まとめ

金融機関では法人の様々なニーズにあわせた融資商品を数多く提供しています。自社にとって最もタイムリーでなおかつ有利な融資商品を選択できるよう、まずは融資の目的を明確にするところから始めることをお勧めします。

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