コロナウイルスで資金繰りが困ったら中小企業への支援策まとめ

[取材/文責]マネーイズム編集部

コロナウイルスの影響で売上が減少し、資金繰りに困っている中小企業は少なくありません。コロナウイルスの収束がいつになるのかわからず、先行きの見えない中、国や自治体への支援を求む企業も多いでしょう。そこで、ここではコロナウイルスで資金繰りに困った場合に利用したい、中小企業への支援策についてまとめました(情報は4月12日現在のものです)。

貸付や保証などの資金繰り支援制度

中小企業への支援策には、様々なものがありますが、まずは資金繰り支援から見ていきましょう。代表的なものは、次のようになります。

①セーフティネット保証4号・5号

中小企業者を対象とした、信用保証協会を通した保証制度です。

  • セーフティネット保証4号(売上高が前年同期比20%以上減少の場合)
    幅広い業種で影響が生じている地域について、別枠(最⼤2.8億円)で融資額に対する100%保証。
  • セーフティネット保証5号(売上高が前年同期比5%以上減少の場合)
    特に重⼤な影響が⽣じている業種に、別枠(最⼤2.8億円)で融資額に対する80%保証。

②危機関連保証(売上高が前年同月比15%以上減少の場合)

セーフティネット保証とはさらに別枠(最大2.8億円)で融資額に対する100%保証。

③日本政策金融公庫の経営環境変化対応資金

日本政策金融公庫には、様々な資金繰り支援制度があります。

  • 新型コロナウイルス感染症特別貸付
    新型コロナウイルスの影響による無担保の特別貸し付け。
    国民生活事業(小零細企業向け)には最大6,000万円。中小企業事業には最大3億。
    前年同月からの売上減少(5%以上)などの一定の要件あり。
  • [新型コロナ関連]マル経融資(小規模事業者経営改善資金)
    商工会議所、商工会の経営指導員を通じての融資。
    最大1,000万円。
    前年同月からの売上減少(5%以上)などの一定の要件あり。
  • セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)
    長期運転資金に対応。
    国民生活事業(小零細企業向け)には最大4,800万円。中小企業事業には最大7億2千万円。
  • 生活衛生関係の事業者向けの貸付
    生活衛生関係事業で前年同月からの売上減少(5%以上)など一定の要件や融資額により、3種類の生活衛生関係事業者向けの貸付がある。

④商工中金による融資制度(新型コロナウイルス感染症特別貸付)

中小企業向け(最大3億円)と中堅企業向け(上限なし)がある。
前年同月からの売上減少(5%以上)など一定の要件あり。

助成金・補助金による支援制度

支援制度には、貸付や保証だけでなく、補助金や助成金による支援制度もあります。
代表的なものは、次のようになります。

①雇用調整助成金(新型コロナウイルスの特例分)

雇用の維持を図るための休業手当に要した費用を助成する制度です。雇用調整助成金は通常時からありますが、令和2年4月1日から令和2年6月30日までの間は新型コロナウイルスの特例があります。

 

一時的な雇用調整(休業、教育訓練など)を実施することによって、従業員の雇用を維持した場合に助成されます。対象となるのは、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主です。

 

助成内容と受給できる金額 中小企業 中小企業以外
休業を実施した場合の休業手当または教育訓練を実施した場合の賃金相当額の助成 4/5 2/3
解雇等をしていないなど上乗せの要件を満たす事業主 9/10 3/4
教育訓練を実施したときの加算(額) 2,400円 1,800円

②新型コロナ休暇支援助成金

  • 対象
    新型コロナウイルス感染拡大防止策として、ガイドライン等に基づき、臨時休業した小学校等に通う子どもや、新型コロナウイルスに感染した子どもの世話をするために、労働者に有給休暇を取得させた事業主。
  • 支給額
    休暇中に支払った賃金相当額 × 10/10(上限 1人日額8,330円)

③中⼩企業⽣産性⾰命推進事業

中小企業や小規模事業者を対象とした補助事業です。

 

  • ものづくり・商業・サービス⽣産性向上促進事業(ものづくり補助⾦)
    ⾰新的なサービス開発・試作品開発・⽣産プロセス の改善に必要な設備投資等を⽀援。
    新型コロナウイルスによる生産ラインの新設や増強にも適用可能。
    対象:中小企業・小規模事業者 等
    補助金: 100~1,000万円
    補助率: 中小1/2 小規模2/3
  • ⼩規模事業者持続的発展⽀援事業(持続化補助⾦)
    小規模事業者が経営計画を作成して取り組む販路開拓の取組等を⽀援。
    対象:小規模事業者等
    補助金: ~50万円
    補助率: 2/3
  • サービス等⽣産性向上IT導⼊⽀援事業(IT導⼊補助⾦)
    中⼩企業等が⾏う一定のIT導⼊を支援。
    対象: 中小企業・小規模事業者 等
    補助金: 30~450万円
    補助率: 1/2

④新型コロナウイルス感染症に係る時間外労働等改善助成金

新型コロナウイルス感染症対策として、新たなテレワークの導入や特別休暇の規定を整備した中小企業事業主を支援します。

 

  • テレワークコースの助成
    テレワーク用通信機器の導入・運用など新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークの新規導入を支援。
    対象: テレワークを新規で導入する中小企業事業主(労働者災害補償保険適用)
    補助金: 上限100万円
    補助率: 1/2
  • 働き方改革推進支援助成金
    新型コロナウイルス感染症対策として、病気休暇制度や子どもの休校・休園に関する特別休暇制度の整備を支援。
    対象: 特別休暇の規定を整備する中小企業事業主(労働者災害補償保険適用)
    補助金: 対象経費の合計額×補助率3/4(一定要件を満たす場合は4/5)もしくは、上限50万円の低い額

税金などの支払い猶予による支援制度

新型コロナウイルスの支援には、直接資金を支援するだけでなく、税金などの支払いを猶予することで支援とするものも多くあります。
代表的なものは、次のようになります。

①国税の納付猶予

新型コロナウイルスにより利益などが減少し、納税が困難になった場合には、納税の猶予申請書を提出することで、1年間の納税猶予を受けられます。担保は不要で、延滞税もかかりません。対象は、所得税、法⼈税、消費税など、ほぼすべての税⽬です。

②地方税の納税猶予

新型コロナウイルスの影響で、地方税を一時に納付できない場合など、納税の猶予措置を講じている自治体も多くあります。詳しくは、お住まいの自治体にお問い合わせください。

③固定資産税等の軽減

新型コロナウイルスにより売上高が一定割合減少した場合に、固定資産税等の軽減が受けられます。対象は中小企業・小規模事業者、減免率は以下の通りです。

 

2020年2月~10月までの任意の3か月間の上高の対前年同期比減少率 減免率
30%以上50%未満 1/2
50%以上 全額

④厚生年金保険料等の猶予制度

新型コロナウイルスの影響により、納付が困難になった場合は、申請書の提出により、納付の猶予が認められる場合があります。詳しくは最寄りの年金事務所までご相談ください。

⑤電気・ガス料金の支払い猶予等

新型コロナウイルスの影響により、電気・ガス料金の支払いに困難な事情がある方に対しては、電気・ガス料金の支払いの猶予について、柔軟な対応を行っています。

⑥確定申告期間、納税の延長

個人の所得税・消費税の確定申告期限、納付期限が延長されています。

申告・納付期限:所得税・消費税ともに令和2年4月16日まで(4月17日以降も申告を受け付けてもらえることもある)。振替納税日は所得税が令和2年5月15日、消費税が令和2年5月19日となっています。

まとめ

今回は、新型コロナウイルスの影響による様々な支援制度についてまとめてお伝えしました。ここでご紹介した支援制度は代表的なものです。各自治体で独自に行われているものもあります。どのような支援制度があるのかは、各自治体にお問い合わせください。

 

また、今後も政府により、新たな支援策が策定される可能性は大いにあります。大事なのは情報を逃さないことです。経済産業省や中小企業庁など、各省庁のホームページなどを常に確認しておきましょう。

▼参照サイト

中小企業オーナー、個人事業主、フリーランス向けのお金に関する情報を発信しています。

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