「失業保険」給付が2カ月から7日に短縮される?政府が支給までの期間の検討に入る

[取材/文責]マネーイズム編集部

2月に開かれた「新しい資本主義実現会議」で、政府は、自己都合で退職した場合、失業保険の給付(受け取り)まで2カ月近く要する仕組みを見直すことを明らかにしていましたが、倒産や解雇といった会社都合での7日間と同水準にする方向で検討に入っていることが新たに分かりました。また、5月15日に開いた経済財政諮問会議で「構造的な賃上げ」の実現に向け、6月にまとめる指針の原案を明らかにしました。

※記事の内容は2023年5月15日時点の情報を元に作成したものであり、現在の内容と異なる場合があります。

「構造的な賃上げ」へ本格議論

政府が明らかにした原案には、働き手の学び直しを促すため、企業が払う休業手当を国が補助する「雇用調整助成金」について、休業が一定期間を超える場合は原則的に教育訓練を従業員に求めることなどを盛り込むようです。また、該当する従業員が教育訓練を受けないと国からの助成率を引き下げることなども検討するとしています。
雇用調整助成金とは、経済上の理由で事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、休業および教育訓練により労働者の雇用の維持を図る際に、休業手当など賃金の2分の1(中小企業は3分の2)を国が助成するものです。
そのほか、原案には個人の学び直しの費用を政府が補助する「専門実践教育訓練」のうち、成長分野のデジタル関連の講座を4月時点の179件から、3年後には300件以上に増やすとしています。
政府は、学び直しを支援することで、成長分野への労働移動を促し、構造的な賃上げに繋げることを狙いとしているようです。

失業給付期間を短縮し転職を後押し

勤めている会社を退職すると、失業保険(失業手当)を受け取ることができます。失業保険は退職後、安心して就職活動をすることができるために支給されるものですが、退職理由などにより、失業保険を受給するための条件や受給期間などが異なります。

現状は、勤めていた会社を退職した後に、ハローワークで手続きをすることで、直近の賃金の5〜8割程度の金額を90〜150日間にわたり受け取ることができます。
しかし倒産や解雇などの会社都合と、転職などの自己都合では給付内容が異なってきます。会社都合の場合は、手続きを始めてから7日間の待期期間を経れば支給が始まる一方で、自己都合の場合は、手続きを始めてから実際に失業給付を受け取るまで、2カ月超の制限期間が設けられています。
制限期間については、給付金目的などの安易な離職を防ぐ狙いがあるようですが、転職への障壁になっているという指摘もあるようです。
そのため政府は、失業保険の支給までの期間を大幅に短縮することで、会社都合の場合と同様の期間(7日間)を経れば支給できるように仕組みを改めるとともに、新たな技能を習得するリスキリングや労働移動を通じて、働き手の賃上げを進めていきたいとしています。

2024/3/29追記

厚生労働省は失業手当に関し、毎月振り込まれる受給額をマイナンバーカードの個人向けサイト「マイナポータル」でいつでも確認できるよう変更することを明らかにしました。
ハローワークのシステムとマイナポータルのシステムを連携し、2027年1月の運用開始を目指すとしています。

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