看護休暇の対象を「小学3年生修了まで」に拡大?厚生労働省が働く親の両立支援策を見直す
厚生労働省は、働く人が病気やケガの子どもを世話するために年5日まで休める「看護休暇」の取得時期を、現在の「小学校入学前まで」から「小学校3年生修了まで」に拡大する方向で検討しはじめていることを明らかにしました。
今秋以降に細かい制度内容を検討し、2024年度中にも育児・介護休業法や関連省令を改正する方向のようです。
看護休暇とはどんな制度?
看護休暇とは、労働者の子どもが病気やケガになった際に、取得できる育児・介護休業法で定められた法定休暇制度です。子育てをしながら、安定して働き続けられるようにする休暇として位置づけられています。そのため、企業は付与条件に該当する労働者から看護休暇取得の申し出があった場合、休暇を付与しなければなりません。
現状対象となるのは、小学校就学前の子どもがいる労働者で、正社員だけでなく、契約社員やパート・アルバイトもこの制度の対象となり、ほぼ全ての労働者が利用できます。取得日数は、子ども1人につき年間最大5日、2人以上の場合は最大10日が限度とされています。また、取得時間については、企業判断で1日・半日・時間取得と自由に定めることができます。
給与については企業の裁量に任されていますが、法律上、看護休暇を取得した労働者に対する不利益な扱いは禁止されています。
両立支援制度の充実を図り、「共働き・共育」を実現
国立社会保障・人口問題研究所が2021年6月に実施した「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」の調査結果によると、未婚の若者が理想と考える女性のライフコースは男女ともに「両立」が最多となっています。第一子出産後の女性の就業継続力は70%近くに上っており、両立志向のカップルは今後も増加していくことが予想されています。
現在は子どもが3歳になるまでの両立支援策として、原則として1日6時間の短時間勤務の採用が義務付けられています。
制度の改善と拡充に取り組む政府は、3月に公表した「異次元の少子化対策」のたたき台に、男性の育休取得を促進させると同時に、2歳未満の子供を持つ親の短時間勤務に対する給付金制度の創設を盛り込みました。また、子供が3歳から小学校に入学するまでの間にテレワークや短時間勤務といった柔軟な働き方を選べるようにすることや、看護休暇の対象を小学3年生修了まで延長することを検討しています。
これまでも様々な制度の拡充がされてきましたが、過去の制度と比較して今回は「共働き・共育」を掲げたことが最大の特徴です。子育て支援制度を利用する人々が女性に偏っていた従来とは異なり、男女共にキャリア形成が可能となり、管理職の比率も向上することを期待しているようです。
また、仕事と子育てを両立させるには、良質な保育サービスの提供も必要不可欠としています。政府は「女性の活躍」を掲げ、2013年から保育サービスの整備を進めてきましたが、待機児童解消の目標達成は何度も先延ばしとされてきました。原則1歳までの育児休業が最長2歳までに延長されたのも、保育園に入所できない状況があるからとされています。
待機児童の数は年々減少傾向にありますが、地域によっては親が望む時期に子供を入所できるかどうかが不明確な場合もあります。仕事と子育ての両立を支援する制度を必要な期間・必要な形で利用するためには、保育サービスの質と規模の拡大が重要となりそうです。
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