雇用保険の適用範囲が拡大される?政府が週20時間未満のパートやアルバイトへも支援を検討か

[取材/文責]マネーイズム編集部

政府は4月24日に、働く人の学び直しの支援に向けて、現在雇用保険制度で行われている個人への職業訓練の給付の充実や、短時間労働者への保険適用の拡大について議論を進めていることを明らかにしました。

雇用保険拡大で失業保険や育休給付が適用に?

そもそも雇用保険とは、労働者が勤めていた会社を退職した場合、失業保険(失業手当)の給付を行うことにより、労働者の生活および雇用の安定、求職活動を容易にするとともに、労働者の職業の安定をはかるため、失業の防止、雇用状態の是正および雇用機会の増大、労働者の能力の開発および向上、労働者の福祉の増進を図ることを目的としています。
雇用保険は現在、雇用形態にかかわらず週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがある場合は原則として加入することになっています。なお原則として、個人事業主と法人の役員は対象外となっています。

厚生労働省によると、15歳以上のパートやアルバイトなど週20時間未満の労働者は2022年度時点で1474万人と推計されています。該当する労働者は、現状離職後の「失業保険(失業手当)」や、育休取得中に賃金の最大67%が支給される「育児休業給付」、新しいスキルを身につけたり、新しいキャリアを探したりする人を支援する制度「教育訓練給付」などの対象から外れています。
複数の職場で雇用されているパートやアルバイトのなかには、合算すれば労働時間が週20時間以上にもかかわらず、雇用保険に加入できていない人もいるようです。

こうした状況が続いている中で、政府は成長戦略の一環に掲げている「人への投資」を積極的に推進し、働く人の学び直しを支援するため、雇用保険制度の見直しが必要とし、雇用保険の適用範囲を拡大することで、働き方にかかわらず教育訓練給付が活用できるようになれば、個人がより主体的に学び直しに取り組めると提起しているようです。
学び直しについては「社会人も学び直しが大事!リスキリングとは?個人がもらえる補助金について解説」をご覧ください。

ただ雇用保険適用拡大に向けては、週の労働時間をどこで線引きするかが焦点となっており、短時間労働者を多く雇う業界や企業にとっては保険料の追加負担になるため反発の声があがる恐れもあるとしています。

まとめ

政府が新たに雇用保険拡大について検討を進めているようです。週20時間未満の労働者は、この10年で1.5倍近くに増えており、働く意欲がある短時間労働者たちへの支援は、構造的な賃上げを実現するうえでも重要な課題となっているようです。

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