“卵を購入するだけで報酬”と謳った「ねずみ講」3カ月で3億円近く集金

[取材/文責]マネーイズム編集部

卵を購入するだけで配当が得られると謳って会員を募り、「新規で会員を紹介すれば毎月最大でおよそ160万円が受け取れる」などと謳い、「ねずみ講」を運営したとして、50代の社長など2人が逮捕されました。警視庁は去年10月からの8カ月の間に、全国のおよそ1万人から3億円近く集めたとみて捜査をしているそうです。

そもそも「マルチ商法」と「ねずみ講」の違いとは

マルチ商法とねずみ講と聞くと、どちらも「怪しいビジネス」というイメージが浮かぶ人は多いのではないでしょうか。ともに「販売組織の会員が組織外の人を勧誘し、次々と会員を増やしながら連鎖的に販売取引を行っていく」という共通点があります。
マルチ商法(連鎖販売取引)は、「商品やサービスなど実体のあるもの」を販売することを目的とし、消費者が不利益を被らないように、クーリングオフなどのルールが法律で整えられています。厳しく規制されていることもあり、一応は合法とされています。

一方で、ねずみ講(無限連鎖講)とは、「実体のない金品の受け渡し」が目的となっています。
加入した会員の多くが損失を被ることになる可能性があり、また詐欺にも発展しやすいため、ねずみ講は法律により全面的に禁止されています。

高級卵でねずみ講の疑い

逮捕された50代の社長らは、2021年10月に「みんなのたまご倶楽部」という名前で事業を立ち上げ、高級卵を毎月購入すれば配当が得られる、さらに会員を紹介すると追加の配当が得られるなどと謳い、コロナ禍で生活が困窮した高齢者を中心に半年足らずで1万人もの会員を集めたそうです。

報酬を受け取るには、入会金1万円に加え、月に約1万4000円を追加で支払うこと、卵を90個買い取ることといった条件があったそうです。さらに会員の勧誘に成功すれば、1人あたり月に最大約24万円の追加報酬が得られるとしていました。

ところが、実際に卵や配当が送られたのは一部の会員にとどまり、会員のおよそ8割は一度も配当を受け取っていなかったようです。

これらのことから、「ねずみ講」にあたるとみられ、無限連鎖講防止法違反の疑いが持たれています。

また事業開始後すぐに会員が急増した一方で、国民生活センターには「みんなのたまご倶楽部」絡みとみられる相談で、「卵が届かない」「会員を紹介したのに報酬が振り込まれない」「返金を求めたいのに業者と連絡がつかない」などの連絡が数十件あったそうです。

なお社長らが1個150円の「栄養価の高い特別な卵」と謳っていた卵は、実際には、群馬県内の養鶏業者から1個15円で仕入れていたもので、同じ卵はスーパーなどで安価で流通していたようです。

まとめ

2022年上期の朝ドラでも話題となった“ねずみ講”。知人からの紹介で「簡単に儲かる」からと安易に引き受けるのではなく、少しでも違法性を感じたり、関わりたくないと思ったら、きっぱり断る意思を持つことが大切です。
ねずみ講は運営者だけではなく、会員として勧誘を行っただけでも処罰の対象となりますので、注意が必要です。

参考:「卵食べてお金もらえる」と勧誘 ねずみ講容疑で58歳代表逮捕【毎日新聞】

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