防衛費増税の財源確保法が成立!防衛力強化資金とは?

[取材/文責]マネーイズム編集部

2023年6月16日、防衛費増税に向けた財源確保法が参議院で可決され成立しました。この法律は、2023年度から2027年度までの5年間で防衛費を年間2兆円以上増加させるための財源を確保するものとなっています。同法は防衛力強化に向け、税外収入を積み立てて複数年度にわたって防衛費に充てる「防衛力強化資金」の新設が柱となるようです。

日本の安全保障を強化するために必要な防衛費増税とは?

防衛費増税は、近年の北朝鮮や中国の軍事的脅威を背景に、自衛隊の防衛力を抜本的に強化するため政府が掲げてきました。この法律の成立により、政府は2022年12月、2023〜2027年度の5年間で防衛力を抜本的に強化し防衛費を総額43兆円程度とする方針を決めたとしています。増額分は約17兆円で、防衛力強化資金はそのうちの一部となるようです。そのほかについては、歳出改革や決算剰余金・増税で賄うとみられています。増額した防衛費は、自衛隊の装備の更新・人材の増強や防衛省の組織改革にも使われる予定です。これらの施策により、自衛隊の防衛力は大きく向上し日本の安全保障は強化されることになります。

しかし、防衛費増税には、財源の確保や国民の理解を得ることなどの課題もあります。政府は、財源の確保のため、法人税・所得税・たばこ税の3つの増税を検討しているようです。所得税には現在、東日本大震災の復興予算に使うため復興特別所得税として、所得税額に2.1%が上乗せされていて、2037年までの期限がついています。しかし、政府は2024年以降復興税の税率を1.1%に引き下げる分、期間を延長することで復興のための総額を維持しつつ、新たに防衛費に充てる1%の「付加税」を課す仕組みを検討しているとみられています。東日本大震災の復興に充てる復興特別所得税を防衛財源にも活用する政府の方針に対し、被災地では事実上の転用による復興の遅れを懸念する声が上がっているそうです。
また増税時期を「2024年以降」としてきましたが、経済財政運営の指針「骨太の方針」では「2025年以降」とし事実上先送りにすることを盛り込むとしています。

防衛費増税は、日本の安全保障にとって重要な課題となります。政府は、財源の確保や国民の理解を得ることなどの課題を克服し、防衛費を増額することで日本の安全保障を強化していく必要があるのかもしれません。

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