自転車のヘルメット着用や保険加入が義務化!補助金も紹介

令和5年4月から、自転車に乗るときのヘルメット着用が努力義務になっています。今回はヘルメット着用の努力義務化の詳細や、多くの自治体で導入されているヘルメットの購入補助金について説明します。また、自転車保険の加入義務化についても見ていきましょう。

自転車「ヘルメット着用」努力義務化,罰則は?

自転車の「ヘルメット着用」努力義務化とは

改正道路交通法の施行により、令和5年4月1日から自転車に乗るときのヘルメット着用が努力義務とされています。これまで、13歳未満の子どもには保護者がヘルメットを着用させる努力義務がありました。しかし、4月からは自転車に乗る全ての人がヘルメット着用に努めなければなりません。年齢に関係なく努力義務とされたのです。さらに自転車に人を乗せるときは、同乗者にもヘルメットを着用させるように努める義務があります。

「ヘルメット着用」努力義務化に従わなかったときの罰則

ヘルメット着用の努力義務を怠ると、どのような罰則があるのでしょうか。自分の身を守るためにもしっかりとヘルメットを着用したいものですが、やはりペナルティや罰則は気になるところです。努力義務を怠ったときの罰則も確認しておきましょう。結論として、ヘルメット着用の努力義務を怠っても、罰則を受けることはありません。
そもそも努力義務とは法令上「~するよう努めなければならない」と記載されている義務のことで、努力を促すために定められたものを指します。法的拘束力もないため、怠ったとしても罰則を受けることはないのです。
ただし、罰則がないからと言って守らなくてもいいというわけではありません。リスクもあるので注意しましょう。例えば努力義務違反によって被害を受けた第三者がいる場合、損害賠償を請求されることもあります。罰則はありませんが、自転車に乗るときはヘルメットをしっかり着用するようにしましょう。

自転車のヘルメット購入に補助金がでることも

今回の努力義務化をきっかけに、自転車のヘルメットを新たに購入するという人もいるでしょう。自転車のヘルメットの購入費に対して、補助金がでる自治体もあります。例えば東京都の八王子市では、令和5年4月から市民を対象にヘルメットの購入助成事業が始まっています。八王子市のヘルメット購入助成事業の詳細は以下のとおりです。

・対象者:市内に住所登録があり市税の滞納がない人
・申込期間:令和5年4月1日~令和6年3月31日まで
・補助金額:1人1回限り2,000円
・対象になるヘルメット:新品で、安全基準の認証(SGマーク、JCFマーク、CEマーク、GSマーク、CPSCマークなど)を受けているもの
※申込件数が上限に達した場合は途中で終了
※購入金額が2,000円未満の場合は当該金額
※令和4年12月31日~令和6年3月31日の間に購入したヘルメット

ほかにもさまざま自治体で補助金の制度が導入されています。金額は数千円程度の自治体が多い傾向にあります。お住まいの自治体に制度がないか、一度調べてみてください。

自転車保険の加入義務化も広まっている

自転車保険の加入義務化とは?

前提として自転車保険とは、自転車による事故で自分や相手がケガをしたり、物に損害を与えたりした場合に補償してくれる保険のことを指します。自転車保険の補償は「個人賠償責任補償」と「傷害補償」の2つに大きく分かれます。それぞれの内容は以下のとおりです。

【個人賠償責任補償】

・人や物に損害を与えてしまった場合に発生する損害賠償を補償

【傷害補償】

・自分がケガなどした場合の通院・入院・手術を補償
・万が一死亡事故があったり後遺障害が発生したりした場合は保険金を支給

現在上記のうち、個人賠償責任補償がある自転車保険への加入義務化が全国で進んでいます。

自転車保険の加入義務化が進んでいる背景として、自転車事故による高額な賠償金請求のケースが多いことがあげられます。被害によっては、1億円近い金額の賠償金が請求されることもめずらしくありません。例えば、以下のような事例があります。

自転車事故による高額賠償の事例

賠償額 事故概要
9,521万円 小学生が歩行中の女性に正面衝突、女性は頭蓋骨骨折などの傷害を負い意識が戻らない状態になった。
(神戸地裁・平成25年7月4日判決)
9,266万円 高校生が自転車横断帯のかなり手前の歩道から車道を斜めに横断し対向車線を自転車で直進してきた男性に衝突、男性に言語機能の喪失など重大な傷害が残った。
(東京地裁・平成20年6月5日判決)
6,779万円 男性がペットボトルを片手にスピードを落とさずに下り坂を走行して交差点に進入し横断歩道を横断中の女性に衝突、女性は脳挫傷などで3日後に死亡した。
(東京地裁・平成15年9月30日判決)
5,438万円 男性が信号を無視して交差点に進入し横断中の女性に衝突、女性は頭蓋内損傷などで11日後に死亡した。
(東京地裁・平成19年4月11日判決)

 

自転車保険に加入していない状態で事故を起こした場合、上記のような高額な賠償金でも自分で支払わなければならないのです。また、加害者が子どもであっても保護者である親が支払いの責任を負わなければなりません。加害者だけでなく、被害者も賠償金が支払われなければ十分な補償が受けられなくなります。
万が一のときに加害者の負担を減らし被害者を保護するために、多くの自治体で自転車保険の加入義務化が進んでいるのです。
現時点で自転車保険の加入義務を怠ったときの罰則を取り入れている自治体はありませんが、加入しておくのが安心でしょう。

自転車保険の加入が義務化されている地域

国土交通省の発表によると、令和5年4月1日時点で32都道府県が自転車保険の加入を義務としており、10都道府県で努力義務としています。自転車保険の加入を義務(努力義務)としている都道府県を一覧で見てみましょう。以下のとおりです。

条例の種類 都道府県
義務 宮城県、秋田県、山形県、福島県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、長野県、新潟県、静岡県、岐阜県、愛知県、三重県、石川県、福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、広島県、香川県、愛媛県、福岡県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県

合計32都道府県

努力義務 北海道、青森県、岩手県、茨城県、富山県、和歌山県、鳥取県、徳島県、高知県、佐賀県

合計10都道府県

まとめ

自転車に乗るときのヘルメット着用の努力義務に罰則はありません。しかし、警察庁交通局の発表でも、ヘルメットを着用していなかった人の致死率はヘルメットを着用していた人に比べておよそ2.1倍高くなっているとされています。ヘルメット着用は命を守ることに繋がりますから、着用に努めていきましょう。また自転車保険も未加入で事故を起こすと高額な賠償請求を受ける可能性があるため、加入しておくのがおすすめです。何より大切なのは、交通ルールを守り命の重さを理解したうえで慎重に自転車に乗る意識ではないでしょうか。

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