最低賃金のランク分け4段階から3段階へ変更に地域間の格差縮小に繋げる

[取材/文責]マネーイズム編集部

厚生労働省は最低賃金引き上げの目安額を示す都道府県別のランク分けを現行の4つから3つに変更する方針を明らかにしました。区分けを減らし、最低賃金の地域間格差の縮小に繋げるとしています。全国4区分で目安額を示すようになった1978年以来、初めての見直しとなり、2023年10月の改定から導入を目指すとしています。

そもそも最低賃金とは

最低賃金とは、使用者が労働者に支払わなければならない時給の下限額のことで、都道府県ごとに定められています。

最低賃金は、最低賃金法に基づき国が定めたもののため、企業と従業員が最低賃金よりも低い賃金で働くことに同意していたとしても、その契約は無効とされ、最低賃金が適用されます。
対象者は雇用形態に関係なく、すべての労働者に適用されます。パートタイマーやアルバイトはもちろんのこと、臨時や嘱託など雇用形態や呼称なども関係なく、すべての人に適用されます。
最低賃金の対象となるのは、毎月支払いがある基本的な賃金(基本給や諸手当)です。残業代やボーナス(賞与)などの臨時的なものは含まれません。また、皆勤手当、通勤手当なども最低賃金の対象とはなりませんので注意が必要です。
そのほか詳しくは「骨太の方針に最低賃金引き上げが明記!知っておきたい最低賃金のこと」をご覧ください。

2023年10月の改定で最低賃金1000円を目指す

最低賃金は、全国的な整合性を図るため、中央最低賃金審議会、地方の審議会、全国の労働局長を経て決められます。
厚生労働省の諮問機関である中央最低賃金審議会(労働者や使用者らが議論)が毎年夏頃に、労働者の生計費、労働者の賃金、通常の事業の賃金支払い能力を総合的に勘案し、47都道府県をA〜Dの4つのランクに分けて最低賃金改定の目安額を決めています。
31円の引き上げは東京都でも過去最大で、物価、特に、食料品や光熱費などの上昇が大きいことや、企業の経営状況が昨年度よりは回復傾向にあることなどが重視されたということです。ランクは各都道府県の賃金など経済状況をふまえ、振り分けを行っています。最も高いAと最も低いDでは目安額に数円の差が出ることが多く、格差縮小が大きな課題となっていたようです。

<最低賃金の改定に用いるランク制度の再編案>
2022年10月~ 2023年10月以降(予定)
Aランク(6都府県) Aランク(6都府県)
Bランク(11府県) Bランク(28道府県)
Cランク(14道県) Cランク(13県)
Dランク(16県)

現在、Aランクは東京や大阪(時給1072円)をはじめ6都府県、Bは京都や長野(同968円)など11府県、Cは北海道や福岡(同920円)など14道県、Dは沖縄や青森(同853円)など16県となっていますが、今後はA(6都府県)、B(28道府県)、C(13県)の3つのランクに再編し、AとBで労働者人口の9割を占める形にする方針のようです。特に、Bを大幅に拡大してCを減らすことで、ボリュームゾーンとなるBランクの賃上げ水準を引き上げ、地域間の格差を縮小する考えのようです。

2022年10月に改定された最低賃金は、物価や食料品、光熱費などの上昇が大きいことや、企業の経営状況が2021年度よりは回復傾向にあることなどが重視され、過去最大となる31円も引き上げられました。

岸田首相は、10月の改定で最低賃金を1000円に引き上げることを目指すとしています。

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