鹿児島県、子ども医療費の窓口負担ゼロへ!7万人以上の署名を受け知事が発言

[取材/文責]なかもとともあき

鹿児島県の塩田康一知事は6月19日の県議会で、子ども医療費の窓口負担の見直しを検討し、本年度末までに方向性を示す考えを明らかにしました。県から具体的なスケジュールが示されたのは初めてです。

子ども医療費「現物給付方式」への移行でなにが変わる?

現在の鹿児島県の子ども医療費は、住民税非課税世帯を除き、いったん窓口で医療費を支払いした後、数カ月後に還付される「自動償還払い方式」をとっています。これに対し県の団体らは、窓口で無料か一定額の医療費を支払う「現物給付方式」への移行を訴えてきました。
県医師会などは、数カ月後に助成分が戻ってきても、一度は窓口での負担が必要なことから、適切な時期の受診に繋がらない恐れがあるとして窓口負担ゼロを主張しています。

中学生までの窓口負担ゼロを求めるNPO法人「こどんとの未来」や県医師会が、2023年5月、約7万2000人あまりの署名を知事に提出したのを受け、6月19日の県議会で子ども医療費の窓口負担ゼロについて塩田知事は以下の発言をしました。

「持続可能で安定的に継続できる制度となるよう、厳しい本県の財政状況を勘案しつつ進めていく必要がある。今年度末までには検討の結果を示したい。」

課税世帯の未就学児に対して現物給付を導入していないのは全国で鹿児島県のみで、県は「財政負担が増える可能性がある」としてこれまで現物給付方式の導入を見送ってきました。

全国的に償還払い方式から現物給付方式への移行が広まった経緯は、2018年に国が市町村の負担を撤廃したことにあります。それまでは窓口負担が無料もしくは、減免される「現物給付方式」にすると医療機関を受診する患者が増えて医療費の増大を招くとして、「現物給付方式」を選択した市町村には国庫負担金を減額するという「ペナルティー」を科していました。その分、市町村の負担が増えるという状況になっていました。
しかし2018年に少子化対策の観点から、国が未就学児に関しては減額措置を撤廃し市町村の負担がなくなり、全国で子ども医療費の現物給付が広まりました。

鹿児島県はこれまでも子ども医療費助成の拡大を行っており、2023年4月に現物給付の対象を、市町村民税非課税世帯の未就学児(小学校入学前の子ども)から18歳に達する日以後の最初の3月31日までの子どもまで拡大しました。

今回子ども医療費制度の見直しをするにあたって鹿児島県は、他県の状況を調査しており、対象年齢の範囲や一部負担金の有無など、さまざまなパターンを想定しているとしました。

6月19日の県議会には署名を提出した団体の代表らも傍聴に訪れ、知事の発言に安堵の表情を見せました。

法政大学を卒業後、地方銀行で3年間勤務。その後、ITベンチャー企業に転職し立ち上げ期の経理や人事労務を経験。補助金代理申請の担当も行っていました。読者の視点に近い、わかりやすい文章を書くことを意識しています。卒業後は大手建設会社で営業として勤務しており、その後大手コンサルティング会社に転職。不動産や税金、建築の専門知識を保有。経験や知識を活かして、中学生でも分かりやすい記事を心がけています。

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