「サブウェイ」、米投資ファンドへ約1兆円超で売却か

[取材/文責]鈴木林太郎

米投資ファンドのロアーク・キャピタル・グループとの売却に関する最終合意に達したことを8月24日に公表したサブウェイ。売却額ははっきりとは示されていませんが、取引額に関する報道では約96億ドル(約1兆4000億円)に上る可能性があるとされています。
1965年に創業されたサブウェイは、コネチカット州の小さなサンドイッチ店からスタートし、その後、世界的なファストフードチェーンに成長しました。
しかし、ここ10年間で売上高は減少傾向にありました。この売却により、サブウェイの50年以上にわたる家族経営の歴史に終止符を打つことが確定しました。

家族経営の歴史に終止符、再建の舞台裏

今回、ロアーク・キャピタル・グループ傘下への売却に合意した背景には、ブランド再建と経営改善の新たな展望が広がっています。

サブウェイは今年2月に自社の売却を検討していることを明らかにし、これに関して複数のプライベートエクイティ(PE)ファンド※が興味を示していました。なかでもロアーク・キャピタルは、約96億ドルの提示を行ったといわれます。

※プライベートエクイティ(PE)ファンドとは、投資ファンドが非公開の会社や事業に対して出資することを指します。これは、一般的には公開市場で取引されていない中小規模の企業や新興企業に対する投資を指すことが多いです。

売却の背景には、サブウェイが直面していた同業他社との激しい競争がありました。複数の報道によると、2012年の約180億ドルという世界売上高のピークから、減少が続いていたようです。

さらに2015年には同社の広告塔であったジャレド・フォーグル氏の不祥事による逮捕などのイメージ悪化などがあり、売上が低迷。2016年になると開店よりも閉店した店の数が上回るなど、フランチャイズ加盟店の撤退が相次ぐ苦しい経営状況が続いていました。

しかし、2019年には、創業者家族ではない初の最高経営責任者(CEO)に、バーガーキングの再建に携わったジョン・チッジー氏が就任し、サブウェイは経営立て直しのため、メニューの改革や原材料見直し、余剰人員の削減など、多角的なアプローチでコスト削減と経営改善に取り組んできました。

売却は規制当局の承認手続きを経て正式な時期が決定される予定ですが、ロアーク・キャピタルの経験と投資によって、サブウェイのブランド再建や経営改善が期待されています。

ロアーク・キャピタルはこれまでに「ジミー・ジョンズ」や「バスキン・ロビンス」など、レストランや食品関連企業への投資で幅広い実績を持っています。

2022年現在、サブウェイは全米で約2万600店舗を展開していますが、ピーク時の2015年の2万7100店舗から減少しており、昨年だけでも571店舗の閉鎖が報告されるなど、フランチャイズ店の閉鎖も進行しています。

また日本のサブウェイもかつてサントリーなど日本企業が運営していた時期があるものの、現在はサブウェイ本社直轄の経営であるため、売却の影響を直接受けることになり、今後の動向に注目が集まります。

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