お葬式の形式や費用相場は?基本的な流れや費用を抑える方法も解説
お葬式は故人を見送る大切な儀式であり、家族や親しい人々にとって大きな意味を持ちます。しかし、準備や手続き、費用の面で多くの悩みがつきものです。近年では、葬儀の形式や費用に関する選択肢が増えており、ネットでの申し込みやパック料金なども一般的になっています。お葬式をどのような形で行うか、またどのくらいの費用がかかるのか、事前に知識を深めておくことで、後々の不安を軽減できるでしょう。本記事では、お葬式の基本的な形式や費用相場、そして手続きについて詳しく解説します。
お葬式の基本形式と費用相場
お葬式は人生の最期を見送る大切な儀式です。しかし、「何をどこまで準備すれば良いのか」「どのくらい費用がかかるのか」といった不安を抱える方も多いでしょう。お葬式にはさまざまな形式があり、それぞれの特性や費用相場を理解しておくことが重要です。ここでは、お葬式の代表的な形式や費用の内訳について解説し、選択の際に役立つ情報をお届けします。
一般葬と家族葬の違い
お葬式の形式を考える際に、まず知っておきたいのが「一般葬」と「家族葬」の違いです。この2つの形式は、主に参列者の人数や葬儀の規模で区別されます。一般葬は、故人の家族や親族に加え、仕事関係の方々や近隣住民など、多くの参列者が集う伝統的な形式です。
そのため、式の規模は大きくなりがちで、喪主や遺族が対応に追われる場面も少なくありません。一方、家族葬は、20人以内の身内や親しい知人のみで行われることが多く、こぢんまりとした雰囲気が特徴です。
家族葬では、遺族が故人を静かに偲ぶ時間を確保できる点が魅力です。また、最近では家族葬でも通夜を簡略化し、葬儀・告別式のみを行う「1日葬」も増えています。従来の通夜は一晩中続けるものでしたが、現在では約2~3時間で終了するケースが一般的です。参列者の高齢化や遠方から参列する方への配慮、費用削減といった背景が影響しています。
形式を選ぶ際には、故人の希望や遺族の状況を考慮することが大切です。それぞれの形式が持つ特徴を理解し、最適な形で送り出せるようにしましょう。
葬儀費用の内訳と相場
お葬式を行うにあたり、気になるのは費用の問題です。全国平均でみると、葬儀費用の相場は約118.5万円といわれています。費用の内訳は以下の通りです。
1.基本料金
葬儀を行うために必要な一式が含まれます。斎場や火葬場の利用料、祭壇や棺、遺影、遺体の搬送費などが該当し、平均相場は約75.7万円です。
2.飲食費
通夜振る舞いや精進落としなど、参列者をもてなすための飲食にかかる費用で、平均約20.7万円です。参列者の人数によって変動します。
3.返礼品費
香典へのお礼として渡す品物にかかる費用が含まれます。平均相場は22.0万円で、これも参列者の人数に応じて増減します。
これら3つを合計した金額が、一般的な葬儀費用の総額です。ただし、この中には僧侶や神職へのお布施は含まれていません。葬儀の費用は形式や規模に応じて変動します。特に、家族葬では一般葬よりも参列者が少ないため、飲食費や返礼品費を抑えられる傾向があります。
一方、豪華な祭壇や特別なプランを選択すると、家族葬でも費用が高くなる場合があるため注意が必要です。事前に費用の内訳を確認し、予算に応じたプランを選ぶことで、納得のいくお葬式を行えるでしょう。
お葬式の手続きと流れ
お葬式は、故人を偲びつつその生涯を見送る大切な儀式です。一方で、手続きや段取りには複雑な部分が多く、慣れない状況では不安や戸惑いを感じることもあるでしょう。ここでは、死亡届の提出から火葬許可証の取得、葬儀会社の選び方まで、葬儀に必要な基本的な手続きの流れについて詳しく解説します。しっかりと準備を整えることで、スムーズに進められるようにしましょう。
死亡届から火葬許可証の取得まで
大切な人が亡くなった場合、最初に必要なのは死亡届を提出することです。死亡診断書を医師から受け取り、役所へ届け出る必要があります。この手続きは原則7日以内に行う必要がありますが、実際には火葬日が決まるまでの2~3日以内に提出されることがほとんどです。
死亡届を提出できる役所は、故人の本籍地、死亡地、または届出人の現住所地に該当する市区町村役場です。多くの役所では、土日祝日を問わず24時間体制で対応しています。届出を行う際には、届出人の印鑑を忘れずに持参しましょう。
役所で死亡届が受理されると火葬許可証が発行されます。火葬許可証は、火葬場での手続きに必要で、火葬が終わると埋葬許可証として返却されます。埋葬許可証は納骨時にも必要となるため、紛失しないように保管してください。
なお、法律により死亡後24時間経過しないと火葬はできません。ただし、特定の感染症に該当する場合は例外として速やかな火葬が認められています。
葬儀会社の選び方と手続きの進め方
葬儀会社を選ぶ際には、まず故人や遺族がどのような葬儀を望むのかを明確にすることが重要です。例えば、大規模で多くの人が参列する形式を希望するのか、費用を抑えたシンプルな式にしたいのか、心温まるサービスを重視するのか、あるいは故人の個性を反映したユニークな葬儀にしたいのかなど、目的を具体的に決めておく必要があります。
各葬儀社にはそれぞれ特徴や得意分野があり、すべての葬儀形式に精通しているわけではありません。そのため、自分たちの希望に沿った葬儀を提供できる会社を選ぶことが大切です。
また、葬儀費用は規模や参列者の人数、選択するプランによって大きく変動します。さらに、式に必要な費用以外にも、接待のための飲食代や宗教的儀式にかかるお布施なども含めて全体の予算を考えておきましょう。事前に費用を見積もり、予算オーバーを防ぐためにも具体的な金額を把握することが重要です。
日本の葬儀は主に仏式で行われることが多いですが、同じ仏教でも宗派によって儀式の進め方が異なります。菩提寺がある場合は、葬儀もそこに依頼するのが一般的です。ただし、遠方で依頼が難しい場合は、あらかじめ意向を相談しておくことをおすすめします。宗派にもとづいた葬儀を行わなかった場合、納骨の際にトラブルが生じるケースもあるため注意が必要です。
葬儀に誰を招待するのかを決めることも重要な要素です。例えば、親族やごく親しい人だけを招く家族葬と、多くの関係者を含む一般葬では、式の規模や雰囲気が大きく異なります。故人の交友関係や遺族の希望を考慮しつつ、適切な範囲を設定しましょう。また、地域社会とのつながりを考え、地元の葬儀会社に相談するのも良い方法です。
遺体を安置した後は、葬儀の日程や場所、スタイルを決定し、参列予定者への連絡や費用の確認といった手続きを進めます。スムーズな進行のためには、信頼できる葬儀社を選ぶことが欠かせません。経験豊富な葬儀社であれば、遺族の負担を軽減し、適切なアドバイスを提供してくれるでしょう。
お葬式の費用を抑える方法
葬儀の費用は、選ぶプランや葬儀社によって大きく異なるため、事前にしっかりと計画を立てておくことが大切です。お葬式は一度の機会であるため、経済的な負担をできるだけ軽減しつつ、故人をしっかりと送り出す方法を選びたいものです。ここでは、葬儀費用を抑えるためのポイントや、適切な選択肢について紹介します。
明朗会計の葬儀プランの選び方
葬儀費用を抑えるためには、まず葬儀の相場を理解しましょう。複数の葬儀社から見積もりを取り、費用の内訳をしっかり確認することで、どこにどのくらいの金額がかかるのかを把握できます。比較することで削減可能なポイントを見極められ、無駄を省くことが可能です。
ただし、多くの見積もりは最低費用を提示しており、追加費用が発生する場合があります。例えば、ドライアイス代は安置期間によって変動することが多く、棺や祭壇なども最低限のものが設定されています。見積もり内容に不明な点があれば、納得がいくまで説明を求めましょう。
近年では、葬儀のスタイルが多様化しています。従来の一般葬に代わり、家族葬や一日葬、火葬式など、規模や内容を縮小することにより費用を抑えられます。家族葬では、参列者を家族や親しい人に限定することで、飲食費や式場費用を削減することが可能です。また、祭壇をシンプルにすることでも費用を抑えられます。
一日葬では、通夜を省略することで、式場費用や必要な人件費を削減できます。火葬式は、セレモニーが省略されるため、さらに費用を抑えられますが、故人とのお別れを十分に行いたいという気持ちがある場合は慎重に選ぶべきです。
補助金や保険金の活用方法
葬儀にかかる費用は大きな負担となることが多いですが、補助金や保険金を活用することで、経済的な負担を軽減できます。「葬祭費補助金制度」は、国民健康保険や後期高齢者医療保険、社会保険に加入している人が亡くなった際に支給される給付金で、葬儀や埋葬にかかる費用を支援する目的で設けられています。葬祭費補助金制度を利用すれば、遺族の経済的負担を軽くすることが可能です。
葬祭費は、故人が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合に、自治体を通じて申請することで受け取れる給付金です。葬祭費の申請期限は葬儀後2年以内と定められており、火葬だけを行った場合は支給対象外となることがあるため注意しましょう。
埋葬料は、故人が国民健康保険以外の健康保険や、全国健康保険協会に加入していた場合に支給される給付金です。支給される金額は一律5万円で、霊柩車や火葬料、僧侶への謝礼など、埋葬に直接関わる費用が対象となります。申請は亡くなった翌日から2年間以内に行う必要があるため、期限を守って申請を行いましょう。
埋葬費は、故人が国民健康保険以外の健康保険に加入していて、なおかつ故人と生計維持関係がない人が葬儀を行った場合に支給されます。支給される金額は、実際に埋葬にかかった費用にもとづき、最大5万円です。申請の期限は、故人が亡くなった翌日から2年以内のため、遅れないように手続きを進めましょう。
生活保護受給者が亡くなった場合や、生活保護を受けている遺族が葬儀を行う場合には、葬祭扶助が適用されることがあります。支給される金額は故人の年齢に応じて異なり、12歳未満の場合は最大16万4000円、12歳以上の場合は最大20万6000円です。なお、支給金額は自治体によって異なります。
まとめ
お葬式の準備は多くのことを考慮し、適切な選択をすることが大切です。形式や規模を選ぶ際は、故人の希望や遺族の状況を反映させ、無理のない範囲で費用を抑える方法も取り入れると良いでしょう。葬儀費用は葬儀のスタイルや参列者の数によって異なりますが、事前に見積もりを取って比較することで無駄を省き、負担を軽減できます。また、補助金や保険金もうまく活用しましょう。お葬式は故人を送り出す大切な儀式です。遺族が心穏やかに故人を見送れるよう計画的に準備を進めましょう。
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