「終活」は知っているけど、何をしたらいいの?専門家に相談できることは?

[取材/文責]マネーイズム編集部

「終活」という言葉の認知度は上がったけれど、実際に始めている人は、まだ少数にとどまっている――。墓石などの石材業者の業界団体である全国石製品協同組合(全石協)が、全国2,000人以上を対象に行った「“終活”に関するアンケート調査」で、こんな実態が明らかになりました。「そう、そう」と思い当たる人は、少なくないはず。では、実際にどこから手を付けたらいいのでしょうか? 終活で特に留意すべき点は? アンケート結果も見ながら、考えてみます。

「終活」という言葉は定着した

アンケート調査は、インターネットリサーチ方式により、2016年~2018年の3年連続で行われました。以下に紹介する18年の調査は、全国の40代~70代以上の男女2,370名を対象に実施されましたが、前の2年も年代は同じで、有効サンプル数も2,000人超でほぼ同じでした。

まず、【“終活”という言葉をご存知ですか?】という問いについて。「知っている」が48.1%で、「聞いたことはある」の30.3%と合わせると78.1%に達しています。「知らなかった」の21.6%を大きく上回る結果となりました。

引用:全国石製品協同組合「“終活”に関するアンケート調査」

実は、2年前の16年の調査では、「知っている」は23.4%にとどまり、反対に「知らなかった」が52.8%と半数以上を占めていました。データ自体はやや古いのですが、近年、終活という言葉に対する認知度が確実に上がっている、という傾向がよく見て取れます(この2年間では、「知っている」が24.7ポイント上昇)。

ところが、では【“終活”をやっていますか?】という問いかけに対して、「やっている」と答えた人は11.7%にとどまり、2年前(10.9%)とあまり変わっていないことがわかりました。年代別に見ると、60代では16年に比べ3.5ポイント増、70代以上では8.5ポイント増と、年代が上がるにつれて行動に移る人が増える傾向は見られたようです。

ひとことで言えば、終活という行為やその必要性はなんとなく理解しているのだけれど、「自分にはまだ早い」、あるいは「何をしたらいいのかわからない」という人が、まだ多数を占めている、ということになるでしょう。

専門家に相談したい「片付け」や「相続」

アンケートでは、実際に終活をやっていると答えた人に対して、【専門家に一番相談したい“終活”は何ですか?】という質問も行っています。結果は、「自分の荷物を片づけておく」26.4%、「財産や相続をまとめておく」26.0%、「エンディングノートをまとめる」18.8%の順になりました。

2年間トップだった「お墓の準備をしておく」(16年に27.0%)は、2年前に比べて、ほぼ半減。代わって「荷物の片づけ」が16年に比べ13.3%増、「財産や相続」が5.7%増と「躍進」しています。アンケートをまとめた石材協のリリースは、「“終活”が言葉だけでなく、現実味を帯びてくるにあたって、より目の前にある現実的な問題『荷物の片づけ』や『財産や相続』の事が、上位に来る結果となったと考えられる」と分析しています。

専門家に一番相談したい“終活”は?(終活をやっている方)

2016年 2017年 2018年
自分の荷物を片付けておく 13.1% 16.4% 26.4%
財産や相続をまとめておく 20.3% 21.2% 26.0%
エンディングノートをまとめる 23.4% 21.6% 18.8%
お葬式の準備をしておく 16.2% 17.2% 14.8%
お墓の準備をしておく 27.0% 23.6% 14.1%
引用:全国石製品協同組合「“終活”に関するアンケート調査」

何から始めるべきか?

では、「まだまだ終活の情報取集や進め方が理解されていないと考えられる」(全石協リリース)状況を変えるには、どうしたらいいのでしょうか? 「進め方」について言えば、アンケートの回答にもある「エンディングノート」から始める、という方法があります。

エンディングノートには、将来の介護や終末期医療、さらには葬儀、墓などについての希望のほか、財産の中身、相続についての考え方など、終活で整理すべき項目が網羅されていると言っていいでしょう。書き進めるうちに、「やるべきこと」が明確になるという“効能”があるのです。

終活に、早過ぎるということはありません。早く始めるほど「できること」の選択肢が広がり、人生の最後に向けたより良い準備が進められると考えてください。逆に言えば、せっかく必要性を理解していても、頭や体が元気なうちに着手しないと、「手遅れ」になってしまう可能性が否めません。

同時に、すべてが「我流」では、うまくいかないこともあります。特に相続については、早めに考えるのと同時に、やはりアンケートにもあるように、必要に応じて専門家という第三者のアドバイスを受けることが大事です。

例えば財産に不動産が含まれる場合には、その分け方は容易ではありません。しっかりした相続対策を講じなかったために、仲のよかった子どもたちが骨肉の争いを繰り広げるといった事態は、決してドラマの中だけの話ではないのです。

相続に関しては、最も頼りになる専門家は、その分野に詳しい税理士ということになるでしょう。相続税への備えをきちんとすることは、円満な相続に直結するからです。ただし、税理士と名がつけば、みんな相続の経験があると考えるのは早計です。未来を相談するに足るプロを探すには、実績のある税理士紹介会社に依頼する、という方法もあります。

まとめ

2,000人を超える調査で、「終活」という言葉は認知しているものの、実際には足を踏み出せていない人が多い、という実態が裏付けられました。手遅れにならないよう、まずはエンディングノートから始めてみてはいかがでしょうか。避けて通れない相続については、必要に応じて専門家にサポートを頼むことも大事になります。

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