個人事業主のクレジットカードによる取引の処理方法と税金について

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[取材/文責]マネーイズム編集部

インターネットの普及やインバウンド需要などの拡大により、個人事業主であってもクレジットカードを使った売上や支払いが増えています。そのため、クレジットカードを使った取引の処理方法を理解しておく必要があります。ここでは、個人事業主のクレジットカードによる取引の処理方法や税金について解説します。

 

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売上の計上基準について

クレジットカードを使った売上や費用の処理方法を確認するまえに、まずは、前提として売上や費用をどのように計上すべきか、その基準を確認しましょう。

売上は、代金が入金されたときではなく、その売上が実現したときに初めて売上を認識する「実現主義」を採用しています。売上が実現したときとは、物の引き渡しや役務やサービスの提供が完了した日のことです。売上の性質ごとに複数の計上基準が決まっており、そのうち自分に合ったものを選んで売上を計上します。

売上の性質ごとの計上基準は次のとおりです。

1.商品や製品などを販売する業種の計上基準

小売業や卸売業など、商品や製品を顧客に販売している業種が採用する売上の計上基準にはいろいろなものがありますが、代表的なものは次の3つです。

①出荷基準

商品や製品を相手に出荷した時点で売上に計上する方法

②納品基準(引渡基準)

商品や製品を相手に納品した時点で売上に計上する方法

③検収基準

相手が届いた商品や製品を検収した時点で売上に計上する方法

2.請負契約により仕事をする業種の計上基準

建築請負業や設計業など、請負契約をしている業種が採用する売上の計上基準です。

物の引き渡しがある場合とない場合で計上基準が異なります。

①物の引き渡しがある場合

物の引き渡しがある場合は、物の全部を引き渡した日に売上を計上する「完成引渡基準」が原則です。一定の要件を満たす場合には、その年度に完成した部分を売上に計上する「部分完成基準」を取る場合もあります。

②物の引き渡しがない場合

サービス業など、物の引き渡しがない場合は、サービスや役務の提供が終了した日に売上を計上する「役務完了基準」が原則です。一定の要件を満たす場合には、その年度に確定した報酬部分を売上に計上する「部分完了基準」を取る場合もあります。

 

売上の計上基準を一度選んだら、特別な理由がない限り、その基準を翌年以降も継続する必要があります。

費用の計上基準について

費用は、その支出が発生した時点で計上する「発生主義」を採用しています。ただし、ここで難しいのが、売上に直接関係する売上原価と、それ以外の販売費及び一般管理費では、取り扱いが異なることです。

売上に直接関係する売上原価は、売上を計上した年度と同じ年度で経費(売上原価)にする必要があります。一方、販売費及び一般管理費は、発生した年度で計上します。

例えば、物を購入した場合で見てみましょう。

 

まず、販売費及び一般管理費に該当する文房具を購入した場合です。

この場合は発生主義で計上するため、文房具を購入した事実が発生した、購入した日の費用になります。

次に、売上原価に該当する販売用商品を購入した場合です。これが販売費及び一般管理費に該当する場合は、購入した事実が発生した、購入した日の費用になりますが、売上原価はそうではありません。この販売用商品が売れた年度の経費(売上原価)にします。もし、翌年に販売用商品が売れた場合は、翌年の経費(売上原価)になります。

処理を間違えると所得税などの税金に影響がでるため注意が必要です。

クレジットカードの売上があったときの処理方法

クレジットカードの売上があったときの仕訳

売上と費用をいつ計上するかの計上基準を見てきました。ここからは、クレジットカードを使った取引の処理方法について確認しましょう。まずは売上からです。

顧客が商品を購入するときなどにクレジットカードを使った場合は、商品を販売したときと、クレジットカード会社から入金される日が異なります。そのため、販売した日と入金された日の2つの仕訳が必要です。

例)顧客がクレジットカードで商品50,000円を購入し、後日事業用の通帳に、クレジット手数料2,000円が差し引かれた残高48,000円が振り込まれた。

①商品を販売した日
借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
売掛金 50,000円 売上高 50,000円 クレジット売上

商品を引き渡しているため売上高で、また入金がまだのため、売掛金で処理します。

②クレジットカード会社から入金された日
借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
普通預金 48,000円 売掛金 50,000円 クレジット売上
支払手数料  2,000円 クレジット手数料

入金日では、売掛金を回収した仕訳をします。

クレジット手数料の消費税に注意

一般的にクレジットカードによる売上がある場合は、クレジット会社や信販会社から手数料が差し引かれて入金されます。個人事業主で消費税の課税事業者の場合は、このクレジット手数料の消費税区分について、気をつける必要があります。手数料という名目ですが、消費税法では、利息や割引料などと同じく非課税とされ、消費税の経費にはなりません。確定申告時に消費税の納付額を計算する場合は注意が必要です。

クレジットカードを利用して商品を購入したときの処理方法

クレジットカードを利用して商品を購入したときの仕訳

次に、クレジットカードを利用して費用を支払った場合の処理方法を確認しましょう。

クレジットカードを利用して商品等を購入した場合は、商品を購入した日と後日通帳から代金が引き落とされる日が異なります。そのため、商品購入日と代金引き落とし日の2つの仕訳が必要です。

例)クレジットカードで消耗品60,000円を購入し、後日事業用の通帳から代金が引き落とされた。

①商品を購入した日
借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
消耗品費 60,000円 未払金 60,000円 消耗品購入

消耗品の購入が発生したので消耗品費で、また、代金の支払いは後日のため未払金で処理します。

②代金の引き落とし日
借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
未払金 60,000円 普通預金 60,000円 カード代金支払

代金の引き落とし日では、未払金を支払った仕訳をします。

分割払いやリボ払いのときの処理方法

クレジットカードで費用を支払う場合、代金一括払い以外にも、分割払いやリボ払いを利用することができます。この場合の処理はどうなるのでしょうか。基本的には、代金一括払いの仕訳と同じです。しかし、代金の引き落とし日が複数あることと、手数料が加算されて代金が引き落とされることが異なります。

例)クレジットカードで消耗品60,000円を購入し、後日事業用の通帳から分割で毎月、商品代金10,000円と手数料1,000円の合計11,000円が引き落とされた。

①商品を購入した日
借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
消耗品費 60,000円 未払金 60,000円 消耗品購入

商品購入日の仕訳は、一括払いの場合と同じです。

②毎月の代金の引き落とし日
借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
未払金 10,000円 普通預金 11,000円 カード代金支払
支払手数料  1,000円 分割手数料

分割手数料は、支払手数料で処理します。分割手数料もクレジット手数料と同様、消費税は非課税のため、注意しましょう。

リボ払いの場合も、分割払いと仕訳は同じです。リボ払い手数料は支払手数料で、消費税は非課税となります。

まとめ

今後、個人事業主であっても、クレジットカードを使った売上や支払いの増加が見込まれます。クレジットカードの取引について正しい処理をしないと、所得税や消費税の税額を間違う可能性もあります。ぜひ、この記事を参考に正しい処理をしてください。

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