週休3日制って現実的?中小企業が成功するためのポイントと導入事例を紹介

[取材/文責]マネーイズム編集部

近年、「週休3日制」の導入を検討する企業が増えています。従業員の働き方改革として注目される一方で、中小企業にとっては導入のハードルが高い取り組みともいえるでしょう。本記事では、週休3日制の長所・短所をそれぞれ解説し、企業が取るべき対応策や導入のポイントについて詳しく解説します。

週休3日制とは?その仕組みと導入企業の現状

週休3日制は、企業にとっても従業員にとっても注目の働き方改革の一つです。より多くの時間を家庭や個人の時間に充てられる制度として、従業員からは大きな期待が寄せられています。

導入方法としては、企業の業務形態や方針、従業員のニーズに応じたさまざまなパターンが存在します。ここからは、週休3日制の仕組みと、導入が進んでいる企業の現状を見ていきましょう。
 

週休3日制の主なパターン(給与維持型・給与減額型など)

週休3日制には、企業の方針や従業員のニーズに応じていくつかのパターンがあり、主に「給与維持型」「給与減額型」「総労働時間維持型」の3つに分けられます。

  • 給与維持型:休日を増やす分、総労働時間は減ることになりますが、給与水準はキープされます。従業員にとっては理想的なパターンですが、企業にとっては業務効率化が求められるでしょう。

  • 給与減額型:休日増加に伴い、その分の給与が減少します。企業にとってはコスト削減になりますが、従業員にとっては収入減が欠点に感じられるでしょう。

  • 総労働時間維持型:休日を1日増やす代わりに、出勤日の労働時間を延長して労働時間の累計を調整するパターンです。従業員にとって、休みが増えるのは利点だといえますが、出勤日の負担が増える可能性が考えられます。

 

導入が進む企業とその理由

近年、週休3日制を導入する企業が増えている背景には、働き方の多様化への対応があります。特に、仕事と私生活の両立を重視する労働者が増えたことで、育児や介護、趣味の時間を確保しやすくするために導入を検討する企業が増えています。

また、週休2日制では働くことが難しかった人々にとって、柔軟な働き方が可能になるでしょう。深刻化する人手不足に対応するため、多様な働き方を整備し、幅広い人材を確保することも企業の狙いの一つです。

週休3日制のメリット

週休3日制は、従業員と企業のどちらにも恩恵をもたらす制度として、注目されています。従業員の仕事と私生活の両立、企業の採用力の強化、生産性の向上など、さまざまな効果が期待されているのです。ここからは、導入によって得られる主なメリットについて解説します。
 

従業員のワークライフバランス向上

週休3日制の導入は、従業員の仕事と私生活の両立の面でも期待できます。従業員の自由時間が増えることにより、疲れを癒したり気分転換を図ったりしやすくなるでしょう。従業員のストレス軽減や疲労回復が進み、働く意欲の向上が期待されます。

また、趣味や学習、旅行など充実した私生活を送ることが可能になり、育児や介護を抱える従業員にとって、仕事と家庭の両立がしやすくなるのが大きな利点です。その結果、仕事への満足度が高まり、企業の定着率向上にもつながるでしょう。
 

採用力の向上と人材確保のメリット

週休3日制は、企業にとって採用力の向上と人材確保の面で、非常に有益だと考えられます。

近年、仕事と私生活の両立を重視する求職者が増えており、働きやすい環境を整えている企業は、求職者からの注目を集めやすくなっています。週休3日制の導入により、「柔軟な働き方を提供する企業」としてのイメージが強まり、優秀な人材の確保につながるでしょう。

また、既に在籍している従業員にとっても、労働環境の改善は企業への満足度を高めるポイントになります。仕事とプライベートを両立しやすくなることで、職場への定着率が向上し、離職率の低下につながることが期待されるでしょう。
 

生産性向上と長時間労働の削減

週休3日制を導入することで、生産性の向上と、長時間労働の削減が期待できます。

休日が増えることでリフレッシュの機会が増え、仕事に取り組む際の集中力が高まるため、限られた時間の中で効率よく業務を進める意識が強まるでしょう。結果として、ダラダラとした長時間労働を減らし、業務の質を向上させることが可能になります。

週休3日制のデメリットと導入の課題

週休3日制は多くの利点がある一方で、導入に際していくつかの課題も存在します。ここからは、導入に伴うデメリットと導入の課題について解説します。
 

人手不足の企業では対応が難しい

週休3日制の欠点は、人手不足の企業では対応が難しいことです。導入により、労働時間が減少し、業務をこなすのが難しくなる場合があります。特に人手不足の企業では、1人あたりの負担が増える懸念があるでしょう。

残業が常態化している場合、業務が滞るリスクも考えられます。そのため、業務プロセスや役割分担の見直し、増員の検討が必要です。各部署の業務に応じた柔軟な対応などを検討していく必要があるでしょう。
 

給与・労働時間の調整の難しさ

週休3日制の導入に伴い、給与体系や労働時間の調整は、大きな課題です。企業は人件費削減を目指して給与を減らすことがありますが、業務量が変わらなければ従業員の不満が高まり、給与の減少によって離職につながる可能性があります。

従業員には十分に説明を行い、納得を得ることが重要になるでしょう。場合によっては、副業の推奨などの対策も必要です。また、新制度の導入には人事・労務担当者の負担増加が予想されるため、段階的に導入していく必要があります。
 

顧客対応や業務効率への影響

週休3日制では労働日数が減るため、営業職や顧客対応の部署では、取引先との調整が難しくなる可能性があります。担当者の休日と顧客の希望日が重なった場合、対応が遅れ、他社に業務を依頼されるリスクもあります。

対策としては、AIによる自動応答システムの導入や、フレックスタイム制・シフト制を活用し、常に一定数の従業員が勤務する体制を整えることが重要です。

中小企業が週休3日制を導入するための対策

中小企業にとって、週休3日制の導入は利点も多いものですが、同時に、その実現のためにはいくつかの課題も伴うものです。しかし、業務プロセスの見直しやテクノロジーの活用をうまく取り入れることで、導入を成功に導くことが可能です。ここからは、中小企業が週休3日制を導入するための対策について解説します。
 

業務効率化とDX(デジタルトランスフォーメーション)の活用

週休3日制を導入するためには、業務の効率化とデジタル技術の活用が不可欠です。休みが増えることで、仕事を4日間でこなさなければならないという状況になるため、無駄な作業や時間を削減する必要があります。そのためには、業務のデジタル化や自動化が有効です。

たとえば、印鑑の廃止やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を用いた事務作業の自動化、グループウェアを使った会議時間の短縮、社内連絡ツールの活用などが効果的です。デジタル技術の活用は、現在の人手不足の解消にも寄与し、働き方の柔軟性を高めるだけでなく、従業員の負担を軽減することにもつながります。
 

週休3日制導入企業の成功事例

週休3日制を導入した企業の中には、さまざまな業界で働き方を改革している企業が増えてきています。なお、企業によっては特別な条件下で週休3日制を採用している場合もあります。以下は、導入企業の成功事例です。

  • SOMPOひまわり生命
    仕事と育児・介護の両立を支援するため、希望者に週休3日制の選択肢を提供しています。
    勤務時間は変更なしですが、給与は一般的な水準より約2割低めの設定です。

  • ユニクロ
    変形労働時間制を採用し、週休3日を選択できるようにしています。
    1日10時間勤務で週40時間の労働となり、週休2日と給与に変動はありません。
    大学院通学や趣味の時間に使うなど、柔軟な働き方が可能です。

  • 佐川急便
    2017年から変形労働時間制を導入し、1日の勤務時間を10時間にすることで週休3日を実現しました。
    月9日の休みが基本で、育児・介護休業制度も充実しています。

  • リクルート
    「週休約3日制」を継続して採用しており、有給休暇などを除いて年間休日は145日です。
    柔軟な働き方を導入し、労働時間や給与は従来通り維持しています。

 

補助金・助成金を活用した導入支援策

業務効率化やDXの導入、週休3日制の実現には、一定のコストがかかるものですが、国や自治体が提供する補助金・助成金を活用することで、負担を軽減できます。

たとえば「IT導入補助金」は、中小企業が業務プロセス見直しのためにITツールを導入する際の費用を支援する制度です。業務システムの導入や、PC・タブレットなど、ハードウェアにかかる購入費用も補助対象です。

企業が補助金・助成金を活用する際には、申請条件やスケジュールを事前に確認し、適切な申請手続きを行うことが重要といえます。専門のコンサルタントや行政機関の支援を受けながら、計画的に取り組むと、よりスムーズに導入を進められるでしょう。

週休3日制導入後の評価と改善策

週休3日制を導入した企業は、その効果を正確に測定し、運用状況を定期的に評価することが重要です。生産性の向上や社員満足度の改善が目的ですが、これらの成果を適切に評価するためには、適切な指標とフィードバックの仕組みが欠かせません。

また、導入後に生じる課題に対しては、迅速に対応する必要があります。ここからは、導入後の評価方法と、それに伴う課題と対応策について詳しく解説します。
 

生産性や社員満足度の測定方法

週休3日制を導入した後は、運用状況を定期的にモニタリングし、その効果を適切に測定することが重要です。社員満足度を把握するためには、定期的にアンケートを実施し、仕事と私生活の両立やストレスの変化を評価します。

また、制度に対する満足度や課題について意見を収集し、働きやすさの向上を確認します。加えて、公平な評価制度を整え、労働時間ではなく成果に基づいた評価基準を設けることが重要です。成果に基づいた給与体系やインセンティブ制度の導入など、従業員のモチベーションを維持できるような制度を検討しましょう。
 

導入後の課題と対応策

導入後の課題として、まず勤務時間が長くなり、家族との時間が減る点が挙げられます。また、勤務時間が増えると残業が発生し、通常の働き方ができなくなる可能性もあります。さらに、週休3日制を選択する社員とそうでない社員がいる場合、勤務時間のばらつきが生じ、コミュニケーションが取りづらくなることもあるでしょう。

対応策としては、フレックスタイムや短時間勤務、シフト制などをうまく取り入れたり、タスク管理ツールを活用したりなど、企業に合ったものを検討する必要があるでしょう。

まとめ

週休3日制は、従業員の満足度向上や採用競争力の強化につながる一方で、業務効率やコスト面の課題もあります。企業の規模や業務内容に応じた導入方法を検討し、柔軟な働き方を実現することが重要です。

中小企業経営者や個人事業主が抱える資産運用や相続、税務、労務、投資、保険、年金などの多岐にわたる課題に応えるため、マネーイズム編集部では実務に直結した具体的な解決策を提示する信頼性の高い情報を発信しています。

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