中小企業の接待費も損金算入?交際費課税の特例について

平成26年の税制改正以降、交際費等の損金不算入制度が緩和され、多くの企業にとって節税対策に有利な仕組みとなったことを知っていますか?
本記事では、この改正についての具体的な説明、また適用する手続きについて解説していきます。
交際費の損金不算入制度について
交際費等の範囲
交際費等とは、交際費・接待費・機密費などの費用を指しており、会社がその事業に関連する者への接待などで支出する費用が含まれます。国税庁が交際費等の範囲を定めており、以下に挙げる費用については交際費等に含まれません。
◯ 交際費等に含まれないもの
・従業員の慰安のため、旅行などのイベントに支出される費用
・飲食費のうち、1人あたりの金額が5,000円以下のもの
・その他、会議に関連した飲食物の提供などに使用される費用など
大企業に対する改正ポイント
平成26年度の税制改正以前、大企業の交際費等は全額が損金不算入、つまり法人税の課税対象となっていました。これは、企業の無駄な出費を抑制し、資本の蓄積を促す目的でした。
しかし税制改正後、大企業の交際費等のうち、「接待飲食費」に当たる費用の50%が損金算入可能となりました。この改正は、安倍内閣の成長戦略の中で掲げられている「消費の拡大を通じた経済の活性化」を背景として、進められた経緯があります。つまり交際費等は、会社の大小を問わず、ビジネスを円滑に進める上で必要な費用と認識されているということを意味しています。
またここでいう大企業とは、「事業年度終了日における資本金額、または出資額が1億円以上の法人のこと」を指しています。
国税庁「接待飲食費に関するFAQ」によると、「接待飲食費」は以下のように区分されます。
◯ 交際費等のうち「接待飲食費」に含まれるもの
・自己の従業員等が得意先等を接待して飲食するための「飲食代」
・飲食等のために支払う「テーブルチャージ料やサービス料」
・飲食等のために支払う「会場費」
・得意先等の業務の遂行や行事の開催に際して、弁当の差し入れを行うための「弁当代」
・飲食店での飲食後、その飲食店で提供されている飲食物の持ち帰りに要する「お土産代」
◯ 飲食費に該当しないもの
・ゴルフや観劇、旅行等の催事に際しての飲食等に要する費用
・接待等を行う飲食店等へ得意先等を送迎するために支出する「送迎費」
・飲食物の詰め合わせを贈答するために要する費用
この特例の適用期間は、この時点で平成26年度の4月1日から2年間でしたが、平成28年度税制改正で、平成30年3月31日まで延長されることになりました。
中小企業は選択可能に
改正のポイント
平成26年度の税制改正以前、中小企業は特例として、交際費等のうち800万円までの金額を損金算入する、定額控除が可能でした。
税制改正後は、大企業の場合と同様、交際費等の「接待飲食費」の50%を損金算入することが可能となりました。また同時に、従来の定額控除も継続して可能であるため、より法人税を減額できるものを選択できるようになりました。
ここでいう中小企業とは、「事業年度終了日における資本金額、または出資額が1億円以下の法人のこと」を指しています。ここで、資本金額、または出資額が5億円以上の法人の子会社は除かれるため、注意が必要です。
「接待飲食費50%損金算入」と「定額控除限度額」の比較
接待飲食費が年間1600万円以上の場合
「接待飲食費50%損金算入」を選択した場合、800万円以上の損金算入
「定額控除限度額」を選択した場合、800万円の損金算入
となるため、「接待飲食費50%損金算入」を選択した方が、節税効果が高くなります。
接待飲食費が年間1600万円以下の場合
「接待飲食費50%損金算入」を選択した場合、800万円以下の損金算入
「定額控除限度額」を選択した場合、800万円の損金算入
となるため、従来の「定額控除限度額」を選択したほうが、節税効果が高くなります。
適用手続き
帳簿への記載事項
「接待飲食費」の50%損金算入をする場合、飲食費であることを明らかにするため、帳簿や書類に以下の事項を明記する必要があります。
・飲食費に関わる飲食等のあった年月日
・飲食費に関わる飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者の名前又は名称及びその関係
・飲食費の額並びにその飲食店、料理店等の名称及びその所在地
・その他飲食費であることを明らかにするために必要な事項
必要書類
申告の際には、接待飲食費の50%、又は定額控除限度額の800万円を交際費等から差し引いた額を損金不算入額として申告します。この際、確定申告書などの申告書等に加えて、国税庁ホームページにある法人税申告書別表15(交際費等の損金算入に関する明細書)にて計算を記載し、添付する必要があります。
このようなことに関して不安がある場合は、私たちの税理士紹介サービスをご利用されてみてはいかがでしょうか。私たちは、節税対策に精通した税理士を多数ご紹介しております。
まとめ
中小企業にとって、交際費課税の特例として、以前と変わらず800万円の控除を受けていると損をしている場合が考えられます。これを機に、交際費や接待飲食費の計算を改めてチェックしてみてはいかがでしょうか。
慶應大学卒。現、同大学院所属。
大学4年時に公認会計士試験に突破。
自分の知識の定着も兼ねて、会計・財務などに関する知識を解説していきます。
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