今さら聞けない!資本金の額が中小企業に与える影響とは?
個人事業主の方や、中小企業の経営者の方で、資本金についてイマイチよく分かっていない…という方もいらっしゃるかもしれません。そこで本稿では資本金について徹底解説していきます。
今さら聞けない! 資本金とは?
資本金とは簡単に述べれば、会社を始める際に自分で持っている自己資本のことを指します。起業したての頃は他者から出資を受けることは難しいので、自分のお金を自分の会社に出資することが一般的です。
また、投資家からの出資で資金調達を行った場合、それが資本金に加算されます。つまり、株式会社であれば株式の発行によって集めた資金ということになります。
資本金を増やすことの意味って? その増やし方を紹介!
資本金を増やすこと(=増資)により調達した資金は、銀行からの借り入れで得た融資とは異なり、返済が不要になります。具体的にどのようにすれば資本金を増やすことができるのか以下に紹介します。
①出資してもらう
一番基本的な増資方法です。新たに株式を発行し、一般投資家や既存株主、会社の関係者から新たに出資してもらいます。冒頭で「増資により得た資金は返済が不要」と述べましたが、会社の利益が生じた場合は、「配当」という形で株主に見返りを与えなければなりません。また、会社により発行可能株式総数が決まっているので、会社の定款または登記簿謄本で確認する必要があります。
②利益を資本に組み入れる
黒字の会社であれば、全体の利益から税金を払った残りの利益を資本金にあてることができます。例えば、700万円の利益が出て300万円の税金を払った後、残った400万円を資本金に組み入れることが可能、ということです。ただし、この方法は赤字ではできないこと、利益の700万円全額を資本金にあてることはできないことに注意しましょう。
③現物出資
現物出資とは、お金ではなくモノを出資する方法です。車でも土地でも機械でも、出資するモノは基本的になんでもかまいません。例えば、1,000万円の建物を売却した場合、1,000万円がそっくりそのまま資本金になるということです。ただし、現物出資するモノの価格は時価であるため、200万円で買ったのに100万円でしか売れなかったなどという可能性もあるので注意してください。
増資のメリット・デメリット比較
増資の意味、その方法が分かったところで、そもそも増資はした方が良いのかどうかを判断するために増資のメリット・デメリットを比較していきます。
メリット
●返済不要の資金調達
融資の場合返済義務が生じますが、増資であれば返済が不要になります。研究費用など長期の資金ニーズを満たせます。
●財務基盤が強化される
資金がたくさんあっても負債を抱えていれば返済しなければならないため資金が減っていきますが、資本金は返済義務がないためその心配がありません。また、融資なども受けやすくなります。
●信用力の向上
企業によっては取引の際、資本金額の制限を設けているところもあります。また一般的に、資本金額を信用の判断材料にすることも多いです。
●経営への参加意識がアップ
株主に株を所有してもらうことにより、配当への責任感と同時に、経営へのモチベーションアップが期待できます。
●営業拡大・ブランディング
増資により有力企業などの新しい株主が増やせます。すると、お互いの関係強化が図れるだけでなく、自社の営業拡大やブランディングにもつながります。
デメリット
●税負担が増える
資本金の大きさに応じて課される税金が異なりますが、その多くは資本金が大きいほど税金も大きくなります。
●手続きにコストがかかる
増資の際の登録費や、司法書士への報酬金がかかります。
●配当金の支払いがかかる
利益が出た場合、株主に対し配当金を支払わなければなりません。
●経営者(既存株主)の権利が減る
新たな株主を得ることで、既存株主の株式を所有する割合が減ってしまいます。これは、持株率が高いほどたくさんの権利を行使することができるため、経営者の権利が減ることになります。
新規設立の際の資本金、基準は1,000万円?
会社を設立するために必要な資本金ですが、現在は1円からでも認められています。しかし、1円ではなかなか銀行口座を開設できなかったり創業融資も受けにくかったりします。そのため一般的に、資本金は100万円用意すると良いと言われています。
また、中小企業の場合あまり見かけることはありませんが、新規設立の資本金は1,000万円未満であることをおすすめします。通常新規設立の法人は、設立後2年間は原則として消費税が免除される免税事業者として扱われますが、資本金が1,000万円を超えると免税事業者の要件から外れ、消費税を払わなくてはならないからです。免税事業者として認められる2年間は資本金1,000万円未満を維持すると、消費税の節税といった観点からは良いかもしれません。
また、赤字・黒字に関係なく課税される「法人住民税」の均等割と法人税割の二つも、資本金1,000万円を境に税金額が変わってきます。
具体的に、いくらの増資を受けるべきなのかといったことは、業種や会社の状況によってその都度変わってきますので、税理士などと相談することをおすすめします。税理士は資金繰りのプロなので、通常の会計業務に加え、資金繰りや節税対策などのアドバイスをしてくれます。信頼のおける税理士と相談できれば、経営改善、事業拡大に向けた適切な施策を見つけられるかもしれません。
まとめ
資本金は会社をスタートする際の重要な要素のうちの一つです。もしわからないこと、不安なことがあれば当社にお気軽にご相談ください。税理士紹介実績ナンバー1の誇りと責任を持って、みなさまに最適な税理士を紹介させていただきます。
東京大学卒。現、同大学院所属。
学生起業、海外企業のインターンなどの経験を経て、外資系のコンサルティング会社に内定。
自分の起業の経験などを踏まえてノウハウなどを解説していきます。
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