株主総会をわかりやすく解説!オンラインで行うメリット・デメリットも

株式会社の機関の1つに、株主総会があります。そろそろ準備をはじめる会社も多いのではないでしょうか。くわしい知識があれば、準備もしやすくなるものです。今回は、株主総会についてわかりやすく解説します。概要や決議の仕方、開催手順などを見ていきましょう。ぜひ参考にしてください。

株主総会とは?まずは概要をわかりやすく解説

株主総会とはどのようなものか、わかりやすく解説します。

株主総会とは?概要を確認しよう

株主総会とは、株式会社の機関の1つです。会社法によって、株式会社には取締役会や監査役会など規模に応じて機関をおかなければならないと定められています。株主総会は株式会社の機関のなかで最高の意思決定機関です。株主によって構成され、会社について重要な事項を決定します。

株主総会には2種類ある

株主総会は、招集される時期によって「定時株主総会」と「臨時株主総会」に分かれます。

・定時株主総会

事業年度が終了したあと一定の時期に定期的に開催される株主総会です。計算書類の承認や剰余金の配当などが議題になることが一般的です。株式会社は、この定時株主総会を必ず年に1回開催しなければなりません。

・臨時株主総会

臨時株主総会とは、緊急的に株主総会による意思決定が必要な場合に、定時株主総会を待たずに開催される株主総会を指します。

株主総会と取締役会の違い

会社に関する事項を決定する機関に、株主総会とは別に「取締役会」があります。株主総会と取締役会の違いも確認しておきましょう。株主総会が株主によって構成されるのは前述したとおりですが、取締役会を構成するのは取締役です。また、重要事項は株主総会で、日常的な業務は取締役会で決定する違いもあります。株主総会の方が上位に位置する点もポイントとして押さえておきましょう。
なお、原則として取締役会の設置は任意です。しかし、公開会社(会社の承認を必要とせず株式を譲渡・取得できる株式会社)など取締役会を設置しなくてはならない株式会社もあります。取締役会が必要とされる会社を「取締役会設置会社」といいます。

株主総会で決めることは?決議方法も

具体的に株主総会ではどのようなことを決議するのでしょうか。決議方法とあわせて説明します。

株主総会で決めること

株主総会の決議事項は以下のとおりです。

【会社の経営に関わること】
会社の経営に大幅に関わることは、株主総会で決議されます。例えば会社の規則である定款変更も1つですし、組織形態を大きく変える事業譲渡や合併なども株主総会の決議事項です。

【役員などの人事に関わること】
役員とは、取締役や監査役のことを指します。選任だけでなく、解任も株主総会で決議されます。会計監査人の選任・解任も株主総会の決議事項です。

【株主の利害に関わること】
例えば剰余金の配当は株主の利益に大きく影響しますから、株主総会で決議しなくてはなりません。また不当に高額な報酬を設定しないように、株主総会では役員報酬についても決議します。

株主総会の決議方法

次に、決議方法をみていきましょう。以下の方法があります。

  • 普通決議
  • 特別決議
  • 特殊決議

 

それぞれ説明します。

・普通決議

決議するのに最低限必要な人数を定足数と言いますが、普通決議では行使できる議決権を持つ株主の過半数が出席する必要があります。決議に必要な賛成数は、出席した株主の議決権の過半数です。

・特別決議

定足数は普通決議と変わりません。必要な賛成数は、出席株主の議決権の3分の2以上です。会社に大きく影響を与える事項は特別決議で決定します。

・特殊決議

特別決議よりもさらに重要な事項を決定するのが特殊決議です。決議に必要な賛成数は、議決権を行使できる株主の半数以上、なおかつその株主の議決権の3分の2以上です。
なお、剰余金の配当や残余財産の分配、株主総会の議決権について株主ごとに異なる扱いをする定款変更の場合、総株主の半数以上でなおかつ総株主の議決権の4分の3以上の賛成が必要です。
あらためて、表で整理しておきましょう。

定足数 賛成数
普通決議 行使できる議決権の過半数 ※ 出席株主の議決権の過半数
特別決議 行使できる議決権の過半数 ※ 出席株主の議決権の2/3以上 ※
特殊決議 ➀議決権を行使できる株主の半数以上かつ
②当該株主の議決権の2/3以上 ※
※定款で別途定めることも可能

株主総会の時期や場所、手続きの流れ

ここで、株主総会の開催方法を紹介します。開催時期や場所、手順をわかりやすく説明していきます。

株主総会の開催時期と場所に決まりはある?

まずは開催時期について知っておきましょう。株式会社は、一定の日を定めてその日に株主名簿に名前のある株主だけが権利を行使できると決めることができます。この一定の日を「基準日」といいます。権利の有効期限は3カ月以内と決められていますから、基準日から3カ月以内に株主総会を開催しなければなりません。
多くの企業が期末日を基準日として定款に定めている傾向があるため、年度終了後から3カ月後になる6月ごろに株主総会が集中しているのです。
開催場所の決まりはありませんが、過去の株主総会から離れた場所で開催する場合、理由を招集通知に記載する必要があります。

株主総会の手続きの流れ

株主総会の開催は、以下の手順で進めてください。

➀招集の決定

取締役もしくは取締役会が株主総会の日時や場所、目的事項などを決定します。

②招集通知の発送

公開会社であれば、開催日の2週間前までに通知する必要があります。

➂株主総会の開催

株主総会では議長が進行します。報告事項の報告に続き、決議事項について説明をします。説明のあとの質疑応答にもしっかり備えておきましょう。最後に決議を行います。

④議事録の作成

株主総会終了後、議事録を作成します。議事録は株主総会当日から10年間、本店に置いておく必要があります。

バーチャル株主総会についても知っておこう!メリット・デメリットも

最近「バーチャル株主総会」が注目を集めています。バーチャル株主総会についてもポイントを押さえておきましょう。

バーチャル株主総会とは?

バーチャル株主総会とは、オンラインで開催される株主総会のことです。以下の3種類があります。

【ハイブリッド参加型バーチャル株主総会】
ハイブリッド参加型バーチャル株主総会では、実際の会場とオンライン両方で株主総会が開催されます。オンラインで参加する株主は、議決権は行使できません。

【ハイブリッド出席型バーチャル株主総会】
実際の会場とオンライン両方で開催され、オンライン参加の株主も議決権を行使できます。

【バーチャルオンリー株主総会】
オンラインのみで開催されます。2021年6月に施行された「改正産業競争力強化法」によって、一部の上場企業についてバーチャルオンリー株主総会が認められるようになっています。

バーチャル株主総会のメリット

バーチャル株主総会を開催するメリットとして、遠方の株主も出席しやすくなる点があげられます。またオンラインであれば、開催日が同じでも複数の株主総会に出席できます。

バーチャル株主総会のデメリット

バーチャル株主総会を開催するには、通信環境の整備が必要です。手間とコストがかかるのがデメリットと言えます。またバーチャルオンリー株主総会を開催する場合、オンラインのみで開催できることが定款に規定されていない場合、定款変更しなければなりません。

まとめ

株式会社において最高の意思決定機関である株主総会は、法律も複雑で準備に多くの手間がかかります。株主総会近くになって、残業時間が規定時間を超えそうになってしまう担当者もめずらしくありません。業務できる時間には限りがあります。ミスを防ぐためにも、早めに準備にとりかかりましょう。

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