「新型コロナ」対策で、「中小企業の固定資産税減免」が実行される
新型コロナウイルス感染症の日本経済への影響が深刻化する中、政府は企業の資金繰りの急速な悪化を防ぐために、数々の緊急対策を打ち出しています。助成金の支給や融資の拡充などと並ぶ柱の1つが、税金の軽減や納税猶予。そのうち、赤字でも支払う必要がある固定資産税について、業績が大きく悪化している中小企業を対象に、免除も含めた軽減策を講じることが決まりました。
影響度に応じて「ゼロか半減」で調整
3月30日付「朝日新聞デジタル」は、「売上高落ちた企業、固定資産税ゼロか半減へ」という見出しで、次のように伝えました。
政府・与党は、新型コロナウイルスの感染拡大で業績が落ちた企業の固定資産税をゼロか半減させる方針を固めた。2月以降の3カ月平均で売上高が大きく減少した中小企業が対象で、2021年度から減免する。来週(注:4月第2週)にも決定する政府の緊急経済対策に盛り込む。
30日の自民党税制調査会の幹部会合で方針を確認した。減免する業種は限定せず、条件となる売上高の減少率は今後詳細を詰める。21年度分を減免し、20年度分は納税猶予とする。同税は地方税のため、地方自治体の減収分を国が補う考えだ。
固定資産税は、企業が自社の事務所や工場といった土地・建物を持つ場合に課税されます。それらの資産が所在する市区町村に支払う地方税で、毎年1月1日に、固定資産税評価額(※)に1.4%の標準税率を掛けて計算されます。別途、都市計画税0.3%が賦課され、計1.7%となることもあります。
これを年4回に分けて納付するのですが、法人税などと異なり、たとえ赤字であっても固定資産があれば支払わなくてはなりません。そのため、今回のような想定外の事態で業績が落ち込んだ場合には、事業者にとってはよりいっそう重い負担になります。
上記報道によれば、「今年2月~4月の平均売上高」が大きく減った中小企業は、業種を問わずその減少率(具体的には今後決定)に応じて、固定資産税の支払いを免除されるか、ないしは50%に軽減されることになります。
今回の緊急経済対策には、このほか「法人税の還付」などの措置も盛り込まれることになりそうです。
法人が災害により棚卸資産や固定資産に被害を受けた場合に、その金額の一部を過年度に繰り戻して、すでに支払った法人税の還付を請求できる「災害損失欠損金の還付」という制度があります。これを、新型コロナウイルスによる被害にも適用するというもので、営業停止などにより食材やイベント商品を廃棄したり、マスクや消毒液を用意したりして損失が出た場合なども対象とする、と伝えられています。
固定資産税の算出に用いられる独自の基準で、総務大臣が定めた固定資産評価基準を参考に、市町村長が決定する。土地の公的価格や建物の時価のおおよそ70%程度の価格に設定されているといわれ、3年に1度見直しが行われる。
企業の支払うべき税金は、こんなにある
企業が支払う税金というと、利益に課税される法人税が思い浮かびますが、企業活動には、それ以外にも多種多様な税金が関連してきます。以下に、主なものを挙げてみました。
- 法人税……資本金1億円以下の中小法人の場合、会社の所得に対して15%(年間800万円以下の部分、それを超えた部分は23.2%)
- 法人住民税……市区町村税と道府県民税がある。所得の有無に関わらず、資本金、従業員数に応じて課税される
- 法人事業税……所得に対してかかる道府県民税
- 地方法人税……国から地方自治体に配分する地方交付税の財源となる国税
- 消費税……売上で預かった消費税-仕入れや経費で支払った消費税
- 印紙税……領収書や契約書に収入印紙を貼って納める国税。契約金額により異なる
- 登録免許税……法人に関する商業登記、不動産登記の際に納める国税
- 固定資産税……上記説明の通り
- 自動車税……法人が自動車を保有している場合、排気量に応じて課税される
これらのほか、従業員の給与から預かっている「源泉所得税」や「住民税」(特別徴収)、さらに社会保険料も、期限までに支払う必要があります。
ここまで明らかにされている新型コロナウイルスに関連する政府の経済対策のうち、法人の税金に関わる主な施策は、上記のうち
- 法人税、消費税の納税猶予……売上高が3割以上減少した企業を対象に、1年間実施の方向
- 固定資産税の減免
- 災害時の法人税還付制度の新型コロナへの適用
ということになります。
まとめ
新型コロナに伴う政府の緊急経済対策の中身が、徐々に具体化されています。経済状況によっては、さらに新規の方策が打ち出される可能性もあるでしょう。最新の情報に注意するようにしてください。
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