売上半減の個人事業主に、100万円の現金給付!中小企業も対象の「持続化給付金」を解説します
新型コロナウイルス感染症の拡大による日本経済への深刻な影響が広がる中、政府は4月7日に「緊急経済対策」を閣議決定しましたが、そこに個人向けの30万円の「生活支援臨時給付金(仮称)」とともに、事業者向けの「持続化給付金」が盛り込まれました。要件を満たせば、個人事業主は100万円以内、法人は200万円以内の給付を受けられるこの給付金について、現状得られる情報を基に解説します。(4月13日現在)
減収分を限度額まで補填する仕組み
この給付金をひとことで説明すれば、「2020年に、前年同月比で50%以上売上の減った月があった場合には(=要件、詳しくは後述します)、その月をベースに計算した今年の年間の対前年比減収分を、限度額まで補填します」ということになるでしょう。
噛み砕いて説明します。まず、いくらもらえるのか? それは、次の式で計算されます。
これもぱっと見てもわかりにくいかもしれませんが、今年のある月の売上(昨年の同じ月の売上を50%以上下回っていることが条件です)を12倍して仮の「年収」を計算し、それと昨年の年間売上との差額(減収分)を、国から給付します――ということです。
ただし、全額が補填されるとは限りません。個人事業主は100万円、法人については200万円という限度額があって、給付はその範囲内になります。
反対に、例えば、さきほどの式で計算した「減収額」が個人事業主で80万円だったら、支給されるのは80万円です。個人に対する生活支援給付が、要件を満たせば一律30万円なのとは、そこに違いがあります。
※4/17に追記訂正しております。
「売上が、前年同月比で50%以上減少している月がある」ことが要件
では、どんな場合に対象になるのか? さきほども触れたように、「2020年に入って、昨年同月比で50%以上減収になっている月がある」ことが前提です(「ひと月」でもあればOK)。毎月の売上は減っているけれど、半減するほどではない、というケースは対象になりません。
加えて、明らかに受給対象になると考えられる場合でも、いくつか注意すべきポイントがあります。
基準は「売上」である
比較するのは「売上=収入」で、そこから経費などを差し引いた「所得」ではありませんから、注意してください。
どの月を選ぶのかは、申請者が決められる
さきほどの「前年同月比▲50%月」の対象期間は、2020年1月~12月で、そのうちの「ひと月」を事業者が選択することになります。
個人事業主を例に、具体的に見てみましょう。わかりやすくするために、ちょうど3月~5月頃に売上のピークを迎える事業だったと仮定します。調べてみたら、今年の4月の売上は25万円で、昨年4月の50万円から半減していた――。この場合は、今回の持続化給付金の支給対象になるでしょう。ただし、その3月の売上をベースに給付金の申請を行うべきかどうかには、検討の余地があるのです。
もう一度、さきほどの給付額の計算式を見てください。12倍する月の売上が小さいほど、給付額は増えることがわかるはず。今の例で、仮に昨年の事業収入が380万円だったとしたら、4月の売上(昨年50万円、今年25万円)をベースにすると、
「380万円-(25万円×12ヵ月)=80万円」となり、もらえるのは80万円です。
しかし、5月にはさらに月の売上が2万円ダウンして、23万円(やはり昨年同月の半減以下)になりました。昨年の5月の売上も50万円だった場合、その数字をベースにすると、
「380万円-(23万円×12ヵ月)=104万円」で、限度額の100万円まで給付を受けることができるわけです。
申請のタイミングは、月の売上が限度額の給付を受けられる水準まで落ち込んだなら、速やかに。そうでない場合には、先々の売上や、どこまで我慢できるのかを見極めて――ということになるでしょう。
「昨年同月の売上」はいくら?
法人は問題なしですが、個人事業主の場合は、年収はわかっても「月々の売上はいくらだっけ?」ということがありえます。それを明確にできないと、明らかに影響を受けているにもかかわらず、受給できない可能性が出てきます。
昨年同月の売上を証明するものについては、現状では「減収月の事業収入を示した帳簿等」とされていますが、「等」の部分を含めて、今後さらに具体化されるものと思われます。新たな情報にアンテナを張りつつ、できるだけ早く申請などが行えるよう、準備を進めるべきでしょう。
申請受付は「補正予算成立後速やかに」
個人事業主に最高100万円、しかも融資ではなく給付。稼ぎが激減している人間にとって大変ありがたい給付金ですが、申請の受付はまだ始まっていません。今のところ、早ければ4月中とも言われる政府の補正予算の成立後、1週間程度で開始する、とされています。
このほか、現状で明らかになっている点を列挙しておきましょう。
- 申請期間についても、「現在検討中」です。政府は、「必要とされる方に幅広く御活用いただけるよう、申請期間と予算額については十分な余裕を確保する予定です」(経済産業省)としています。
- 対象となる事業者は、資本金10億円以上の大企業を除き、中堅・中小企業のほか、フリーランスを含む個人事業主、さらに医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人など会社以外の法人も含む幅広い事業者を想定しており、正式決定され次第公表する、としています。
- 「事業の継続を支え、再起の糧となる、事業全般に広く使える給付金」(同)が趣旨で、使途は自由です。
- 申告に必要なのは、現在のところ、住所や口座番号(通帳の写しで確認)のほか、
〈法人〉
①法人巌号、②2019年の確定申告書類の控え、③減収月の事業収入を示した帳簿等
〈個人〉
①本人確認書類、②と③は法人と同じ
とされています。 - 申請は、電子申請が基本になりますが、全国に受付窓口も開設されます。個人への給付金が「自治体経由」であるのに対して、この給付金は、政府から直に支給されるため、比較的スピーディーな対応が期待できるでしょう。電子申告の場合には、2週間程度(報道によれば、最短7日)の給付(銀行振込)を想定している、としています。
https://www.meti.go.jp/covid-19/jizokuka-qa.html
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/kyufukin.pdf
5/25追記
これまで、収入を「雑所得」や「給与所得」で計上していたフリーランスは持続化給付金の対象外となっていましたが、今後は対象に加わることになりました。必要な予算を2020年度2次補正予算案に盛り込み、成立後の6月中旬に申請受け付けが始まる予定です。
また、新型コロナウイルス感染症が拡大する今年3月までに創業した事業者についても支給されることが決まりました。任意に選んだひと月と、1~3月の月間売上高の平均を比べて半減していることなどが条件となります。
5/11追記
5/1に中小企業庁の持続化給付金のサイトが公開されました。
給付金の申請期間は令和2年5月1日(金)から令和3年1月15日(金)までで、電子申請の送信完了の締め切りは、令和3年1月15日(金)の24時までとなります。
申請方法は基本「電子申請」になります。下記URLから申請が可能です。電子申請が困難な方向けに「申請サポート会場」が開設される予定ですので、自分では難しいと思われる方は利用するといいでしょう。
https://www.jizokuka-kyufu.jp/
必要書類は以下の3点です。
・確定申告書類
・2020年分の対象とする月(対象月)の売上台帳など
・通帳の写し
申請内容に不備などがなければ2週間程度で登録された銀行口座に振り込まれます。確認が終了した際には給付通知書が送られ、不給付の場合は不給付通知が送付されます。
まとめ
補正予算成立後、速やかに「持続化給付金」の受付が始まる予定です。政府は、4月24日に、さらに詳細な内容を公表する予定。対象となる方は、そうした情報をチェックしつつ、申請準備を進めましょう
中小企業オーナー、個人事業主、フリーランス向けのお金に関する情報を発信しています。
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