「がまんの時」をeラーニングで「学びの時間」に東京都の「スキルアップ支援事業」を紹介します
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、休業や従業員のテレワーク(在宅勤務など)が広がっています。コロナ禍によって生まれた「時間」は、決してありがたいものではありませんが、この際、それを有効活用する“逆転の発想”も必要かもしれません。東京都は、従業員が自宅にいながらスキルアップする機会を提供する中小企業に対して、新たな助成事業をスタートさせました。具体的には、企業が従業員にeラーニングに取り組んでもらう場合、その経費の一部が助成されます。どんな支援がしてもらえるのか、内容を解説します。
eラーニングを利用した職業訓練を支援
東京都が募集を始めた「中小企業人材オンラインスキルアップ支援助成金」は、中小企業が従業員に行うeラーニングを利用した職業訓練に係る経費の一部を助成するものです。順を追って、ポイントを押さえていきましょう。
助成対象となる訓練
次のすべての要件を満たすことが必要です。
- 中小企業が従業員に対して、民間の教育機関などが提供するeラーニングを利用して実施するもの→eラーニングに特化
- 受講者の職務や業務に必要な知識や技術の習得と向上、または資格取得を目的とした訓練であること
- 企業が受講者の受講履歴などを確認できる訓練であること
- 教育機関の受講案内と受講に係る経費(受講料など)が一般に公開されていること
次のような訓練は、助成の対象とはなりませんので、注意しましょう。
(1)実施方法について
- 訓練計画に記載のないもの、訓練計画通りに実施されないもの
- 自社でeラーニングを企画したもの、またはそれを外部に発注したもの
- 国や地方公共団体が主催しているもの(委託しているものを含む) など
(2)訓練の内容について
- 職業・職務に関係のない、教養・趣味を身に付けることを目的とするもの
例:個人資産運用講座 など - 語学の取得を主な目的とするもの
- 資格試験問題(試験自体がeラーニングの目的となっているもの)、適正検査
- その他、職業訓練として適切でないもの
助成対象受講者
次のすべての要件を満たすことが必要です。
- 中小企業が雇用する従業員
- 常時勤務する事業所の所在地が都内である人→在宅勤務中や自宅待機の場合、在宅場所は問わない
訓練の実施期間
- 助成対象期間(6回、後述します)の開始日から訓練を開始し、2020年12月31日までに訓練が終了すること
- 訓練に係る経費の支払いを2021年1月22日までに完了すること
助成対象となる経費
- ①受講料:講座当たりの設定でも、定額制でも可
- ②訓練に付随するID登録料:教育機関などへの受講申し込みや受講開始時に受講者のIDを登録するために必要な料金など
- ③訓練に付随する管理料:中小企業などが受講状況などを確認するために必要な運営などの料金など
次のような経費は、助成の対象外です。
- ①パソコンやオンライン機器などの機器、設備の購入費用
- ②インターネット回線使用料、通信料
- ③消費税
- ④振込手数料 など
交付金の上限は1事業者当たり32万円
助成額
助成額は、助成対象の経費の4/5です。1助成対象事業者が交付申請できる金額は、32万円が上限で、申請は1回に限られます。
助成対象経費の支払いの範囲
- (1)定額制のeラーニングの場合の助成対象経費は、助成対象期間に実施したものに限ります。例えば、1年の定額料金が設定されているeラーニングについて、交付申請した訓練期間が5カ月であれば、5ヵ月分の受講料が助成対象経費となります。
- (2)助成対象経費は、交付決定日以降に支出したものが対象になります。
手続きの流れ
出典:東京都 TOKYOはたらくネット
申請期間
計6回の申請回が設けられています(下記表参照)。第1回に限り、申請日前の5月1日以前に開始している訓練も助成対象になります。
申請回 | 申請期間 | 助成対象期間 |
---|---|---|
第1回 | 4月23日(木)~5月13日(水) | 5月1日(金)~12月31日(木) |
第2回 | 5月14日(木)~5月27日(水) | 6月1日(月)~12月31日(木) |
第3回 | 5月28日(木)~6月22日(月) | 7月1日(水)~12月31日(木) |
第4回 | 6月23日(火)~7月20日(月) | 8月1日(土)~12月31日(木) |
第5回 | 7月21日(火)~8月20日(木) | 9月1日(火)~12月31日(木) |
第6回 | 8月21日(金)~9月21日(月) | 10月1日(木)~12月31日(木) |
申請方法
東京都のホームページ(下記)から交付申請書などをダウンロードのうえ記入し、必要書類とともに、配達記録が残る簡易書留などの方法により、郵送してください。郵送以外の方法では受付されません。
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/kansensyo/e-learning/
まとめ
休業による自宅待機中などの従業員に、eラーニングを利用した職業訓練を行った場合には、上限32万円が公布される、東京都の「中小企業人材オンラインスキルアップ支援事業」がスタートしています。記事を参考に、積極的に活用してみてはいかがでしょうか。
中小企業オーナー、個人事業主、フリーランス向けのお金に関する情報を発信しています。
新着記事
人気記事ランキング
-
「新型コロナ」10万円給付申請に必要な書類は?~申請・給付早わかり~
-
売上半減の個人事業主に、100万円の現金給付!中小企業も対象の「持続化給付金」を解説します
-
「新型コロナ」対策で、中小企業の家賃を2/3補助へ世帯向けの「住居確保給付金」も対象を拡充
-
「新型コロナ」対策でもらえる10万円の給付金には課税されるのか?高所得者対策は?
-
法人にかかる税金はどれぐらい?法人税の計算方法をわかりやすく解説
-
新型コロナで会社を休んでも傷病手当金がもらえる!傷病手当金の税金とは
-
増税前、駆け込んでも買うべきものあわてなくてもいいものとは?
-
法人が配当金を受け取った場合の処理方法税金や仕訳はどうなる?
-
【2024年最新版】確定申告と年末調整の両方が必要なケースとは?
-
もしも個人事業主がバイトをしたら?副収入がある場合は確定申告が必要