ふるさと納税を使って「新型コロナ」で苦境の業者を支援できます

[取材/文責]マネーイズム編集部

新型コロナウイルス感染症の拡大が、国の経済のさまざまな分野に影を落としています。各種イベントや宴会、学校給食の中止、レストラン、居酒屋などの営業自粛などで供給先を失った食品などの生産者も、甚大な影響を被ったひとり。彼らを経済的に支援し、同時に「食材ロス」を防ごうという観点から、通販などを通じた販路の開拓も始まっています。ところで、ふるさと納税も、それに一役買っているのをご存知ですか? 専門サイトは、それぞれ新型コロナ支援の特設ページを設けており、通常時よりもお得な返礼品なども紹介されています。

寄付すれば、そのぶん所得税と住民税が安くなる

はじめに、ふるさと納税の仕組みについて、簡単にみておきましょう。総務省のホームページでは、次のように説明されています。

 

ふるさと納税とは、自分の選んだ自治体に寄付(ふるさと納税)を行った場合に、寄付額のうち2,000円を超える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度です(一定の上限はあります。)。

 

例えば、年収700万円の給与所得者の人で扶養家族が配偶者のみの場合、30,000円のふるさと納税を行うと、2000円を超える部分である28,000円(30,000円-2,000円)が所得税と住民税から控除されます。

 

1年間に2,000円を負担すれば、いくつの自治体に寄付しても可。寄付した額が、全額控除(本来支払うべき所得税、住民税から減額)されます。念のため付け加えておくと、とはいえ際限なく寄付できるわけではなく、控除の対象となるふるさと納税額の上限は、「総所得金額等の40%」と決められています。それを超えて寄付を行っても、その分は控除されませんから、その点は注意してください。

 

このふるさと納税が普通の寄付と違うのは、寄付した自治体から、その額に応じてお礼の品(返礼品)として地場産品などが送られてくること。それが、大きな魅力となって、寄付は右肩上がりに増え、都市部の自治体からSOSが発せられるほどになりました。多くの納税者が他の自治体に寄付したため、自分の実入り=地方税が、想定を超えて減ってしまうような状況を招いたからです。

大幅ディスカウントの返礼品も

このふるさと納税を使って、特定の地域を支援しようという試みは、今までにもありました。例えば、台風などで被災した自治体に、この仕組みを使って寄付を行うという方法です。

これに対して、返礼品そのものが支援のターゲットになっているところが、今度の取り組みの特徴です。各自治体は、ふるさと納税により少しでも多くの寄付を集めようと、返礼品の選定に知恵を絞ります。その結果、寄付があれば、その生産者には自治体から対価が支払われることになるわけです。

 

今回は、その返礼品に、新型コロナウイルス感染症の拡大によって行き場を失ってしまった農水産品などが、数多くリストアップされました。寄付をすれば、困っている生産者に直接お金が渡る仕組みです。

 

実は、一時期、「豪華な」返礼品を用意することで多額の寄付を集めようという自治体間の競争が激化し、問題になりました。そこで総務省は、返礼品については「調達費が寄付額の30%以下の地場産品」とする、というルールを設けています。ただ、今回支援策のために用意される返礼品は、説明したように、本来の需要が途絶えている食料品などです。そのため、「調達費」が通常より抑えられていることが少なくありません。

 

つまり、本来は5,000円の商品が3,000円に値下がりしているようなケースがあるのです。そのため、普通なら15,000円寄付をしなければもらえないものが、10,000円で手に入ったり、同じ寄付額でも中身が増量されていたりする返礼品が、数多く「出品」されることになりました。寄付する側にしてみれば、「コロナ禍」に苦しむ生産者を支援できるのと同時に、普段よりも「お得」な返礼品がもらえる可能性もある、ということになるわけです。

支援のクラウドファンディングなども展開中

ふるさと納税による支援は、もちろん農水産品に限定されたものではなく、広く地場産品などがリストに上がっています。また、普通に返礼品を選ぶ寄付以外のスキームも用意されています。

 

例えば、日本最大級のふるさと納税専門サイトである「ふるさとチョイス」では、全国の自治体で取り組まれている新型コロナウイルス対策のプロジェクトを支援するクラウドファンディング(※)を立ち上げています(「ガバメントクラウドファンディング」)。その中では、「新型コロナウイルス感染症~小中学校感染予防対策プロジェクト」(島根県浜田市)、「新型コロナウイルスの脅威の中、働く医療・介護従事者等へ感謝を伝えたい」(千葉市)、「ふるさとへの帰省自粛や収入減少を抱える学生を応援したい!」(新潟県長岡市)といった数多くの取り組みを紹介し、寄付を募っています。

 

このように、ふるさと納税によって、新型コロナ感染症で苦境に陥っていたり、最前線で奮闘したりしている人たちに対して、さまざまな支援を行うことができるのです。主なふるさと納税専用サイトの新型コロナ支援関連ページを以下に挙げておきます。

 

※クラウドファンディング
「群衆(クラウド)」と「資金調達(ファンディング)」を組み合わせた造語で、「インターネットを介して、不特定多数の人々から少額ずつ資金を調達する」ことを指す。

まとめ

ふるさと納税によって、新型コロナウイルス感染症の拡大でピンチに陥った生産者などを、支援することができます。詳しくは、各専門サイトの特設ページを参照してください。

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