個人事業主のための2019年確定申告のスケジュールを徹底解説
2019年確定申告のスケジュールは気になるところ。確定申告書の提出や納税が期日よりも遅れればペナルティが課される可能性があります。しかし、確定申告後も納税スケジュールなどが存在し、個人事業主の資金繰りに影響を及ぼします。そこで、2019年の確定申告のスケジュールについて徹底解説します。
確定申告のスケジュールの概要
確定申告の種類によってスケジュールが異なります。
個人事業主の確定申告
個人事業主が毎年行う確定申告は所得税と消費税に大別できます。税目ごとのスケジュールについて説明します。
(1)所得税
確定申告から納付までのスケジュールは次の通りです。
1.確定申告の受付期間
税務署や電子申告(e-tax)での受付期間は2019年2月18日(月)〜3月15日(金)までの間になり、最終日が申告期限です。
2.納付期限
・原則
金融機関の窓口での納付やクレジットカード納付など振替納税以外による場合は2019年3月15日(金)が納付期限になります。
・振替納税の特例
振替納税による場合は2019年4月22日(月)が納付期限になります。
3.延納の納付期限
延納とは、確定申告による年間所得税の2分の1まで納付期限を延長することをいい、2019年5月31日(金)が納付期限になります。ただし、延納期間中は金利に相当する年1.6%の利子税がかかります。
(2)消費税
確定申告のスケジュールは所得税と若干異なり、具体的には次の通りです。
1.確定申告の受付期間
2019年2月18日(月)~4月1日(月)までの間になり、最終日が申告期限です。例年は3月末までですが、3月31日が日曜日のために申告期限は翌日の月曜日になっています。
2.納付期限
・原則
振替納税以外による場合は2019年4月1日(月)が納付期限になります。
3.振替納税
振替納税による場合は2019年4月24日(水)が納付期限になります。日程や延納制度がない点で所得税と異なるため、注意が必要です。
給与所得者の還付申告
サラリーマンなどの給与所得者は還付(確定)申告により給与天引きされた源泉所得税の一部が取り戻せ、受付期間は2019年1月4日(金)から5年間です。還付申告の対象者はおもに次の通りです。
・年の途中で退職し、年末調整を受けていない人
・医療費控除や住宅ローンの対象者
贈与税の確定申告
贈与税の確定申告のスケジュールは次の通りです。
1.確定申告の受付期間
2019年2月1日(金)~2019年3月15日(金)までの間になります。
2.納付期限
2019年3月15日(金)であり、振替納税の特例はありません。
3. 延納の納付期限
2019年3月15日(金)までに申請書および担保提供関係書類を提出するなど一定の要件を満たせば、5年以内の年賦による延納することができます。ただし、延納期間中は原則年6.6%の利子税がかかります。
確定申告が遅れた場合のリスク
確定申告の期日より遅れる期限後申告や無申告の場合、次のペナルティが課され、必要経費に算入できません。なお、納付期限は期限後申告をした日になります。
(1)無申告加算税
- 税務調査の通知前に期限後申告をした場合:本税×5%
- 税務調査の通知後から実施前までに申告をした場合:本税×10%(本税の50万円を超える部分は15%)
- 税務調査を指摘された場合:本税×15%(本税の50万円を超える部分は20%)
ただし、次の場合はたとえ期限後申告をしても無申告加算税が免除されます。 - 確定申告の期日から1ヵ月以内で期限後申告をした場合
- すでに納付を済ませているなど期限内申告をする意思があったと認められる場合
(2)延滞税
- 納付期限から2ヵ月以内の場合:原則は年7.3%
- 納付期限から2ヵ月を過ぎた場合:原則は年14.6%
また、青色申告特別控除65万円控除ではなく、10万円の所得控除しか認められません。
確定申告書を提出するとは?
確定申告書を提出したかどうかは提出方法により異なります。それでは、詳しく見ていきましょう。
税務署に持参する場合
確定申告書を持参する場合は、税務署の受付印をもらった日が提出日です。自分でも提出したことが把握できるように確定申告書の控えにも受付印を押してもらうことをおすすめします。
郵送する場合
確定申告書を郵送する場合、原則は税務署の受付印をもらった日が提出日です。ただし、次の郵便物に限り、消印日をもって提出したタイミングにする特例が認められます。
- 郵便物(第一種郵便物)
- 信書便物
確定申告書を期日内に提出したことを証明するためには、配達記録や簡易書留などを利用する方法があります。
また、提出先の税務署の間違いには注意する必要があります。たとえ消印日が確定申告の提出期日内でも、確定申告書を提出したことにはなりません。
電子申告の場合
電子申告の場合は送信日が提出日です。送信後はe-taxのメッセージボックスで次のことが確認できます。
- 還付金処理状況(送信日から約2週間後に確認が可能)
- 振替納税結果
確定申告後のスケジュール
確定申告後のスケジュールは個人事業主の資金繰りを左右します。おもな内容を見ていきましょう。
所得税の予定納税
予定納税とは、前年の年間所得税をベースに所得税を前払いする制度であり、その分を確定申告の納税額から差し引きます。例年の納付期限(振替納税を含む)は次の通りです。
- 予定納税第1期:7月31日
- 予定納税第2期:11月30日
消費税の予定納税
消費税の予定納税の回数は年税額によって決まり、2018年のスケジュールは次の通りです。
(1)年1回(年税額60万円超500万円以下)
- 口座振替以外:2018年8月31日(金)
- 振替納税:2018年9月27日(木)
(2)年3回(年税額500万円超6,000万円以下)
1.一回目
- 口座振替以外:2018年5月31日(木)
- 振替納税:2018年6月26日(火)
2.二回目
- 口座振替以外:2018年8月31日(金)
- 振替納税:2018年9月27日(木)
3.三回目
- 口座振替以外:2018年11月30日(金)
- 振替納税:2018年12月27日(木)
住民税の納付期限
住民税は前年の所得金額をベースに計算され、納付期限は次の通りです。
- 第1期:6月末日
- 第2期:8月末日
- 第3期:10月末日
- 第4期:翌年1月末日
税務調査がある
税務調査とは、提出された確定申告書の内容が正しいかどうか税務署が実地調査をすることを指します。通常は申告期限後5年間、偽りや不正行為がある場合は申告期限後7年間にさかのぼって調査が実施されます。
振替納税の手続方法
振替納税は納付期限の先延ばしができ、事務的手間が省けます。しかも、手続きに費用がかかりません。それでは、手続方法について説明します。
所得税・消費税の振替納税
所得税と消費税の場合、税務署または金融機関に「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」(振替依頼書)を提出します。提出は初回のみで、振替納税を取り消すまでは毎年口座から自動引き落としされます。
住民税の振替納税
住民税の振替納税の手続方法は市区町村によって異なります。そこで、東京都品川区を例に見ていきましょう。
(1)必要書類
- 預金口座振替依頼書
- 預(貯)金通帳
- 通帳届出印鑑
(2)預金口座振替依頼書の配布場所
- 区内の各金融機関
- 区役所税務課窓口
- 地域センター窓口
(3)提出先
区役所税務課窓口または金融機関
(4)申込期限・振替日
振替開始 | 申込期限 | 振替日(納期限) |
---|---|---|
一括振替(1年分まとめて納付)または第1期分 | 4月30日 | 6月末日 |
第2期分から | 6月30日 | 8月末日 |
第3期分から | 8月31日 | 10月末日 |
第4期分から | 11月30日 | 翌年1月末日 |
まとめ
確定申告のスケジュールは個人事業主の資金繰りに影響します。期限後申告や納付期限までに未納の場合、ペナルティが課され、青色申告特別控除65万円も受けられません。事前のスケジュールを確認し、確定申告書の提出・納税を滞りなく行いましょう。
参照サイト
- https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/06_1.htm
- https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/24200042/noufu_kigen.htm
- https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/kasan.pdf
- https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/sofu/index.htm
- https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/24200038/01.htm
- https://www.city.kita.tokyo.jp/shunosuishin/kurashi/zekin/noze/nofuannai/futsu2.html
- https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/24100020.htm
- http://www.city.shinagawa.tokyo.jp/PC/procedure/procedure-zeikin/procedure-zeikin-sinkoku/procedure-zeikin-sinkoku-kuminzei/procedure-zeikin-sinkoku-kuminzei-kozin/hpg000004694.html
TAX(税金)ライター。会計事務所で約10年間の勤務により調査能力を身に付けた結果、企業分析の能力では高い定評を得、法人から直接調査を依頼される実績も持つ。コーチングスキルを活かした取材力で、HP・メディアでは語られない発言を引き出すのが得意。
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