新型コロナで副業を始めたそんな人は、原則「確定申告」が必要です

[取材/文責]マネーイズム編集部

新型コロナウイルスの影響で給料が減り、土日にコンビニでバイトを始めた。リストラに遭ったので、急遽ウーバーイーツの配達員になった――。コロナ禍に見舞われた中、なんとか収入を得ることができて一安心、という人も少なくないと思います。ただ、そうした稼ぎにも、原則として税金がかかってきます。しかも、3月15日までに確定申告が必要で、怠った場合には追徴課税などのペナルティを課せられることもあるのです。申告の経験がない人は、特に注意すべきでしょう。

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新型コロナで増える副業や転業

1月11日の「産経新聞」で、次のような「事件」が報じられました。

「大阪市北区の繁華街・北新地のキャバクラ店で勤務するホステスの女性(35)が昨年12月、過去3年間にわたり5千万円余りを脱税したとして、所得税法違反罪で大阪地検に告発された。水商売で得た収入を税務署に全く申告してなかったというわけだ。こうした夜の仕事は、新型コロナウイルスの影響で本業の収入が減った人の副業先となるケースが目立つ。副収入の額が年間20万円を超えれば確定申告をしなければならないが、中には納税意識が低い人もおり、国税当局が注意を呼びかけている。」

この女性は、無申告加算税というペナルティも含めて6,200万円の追徴課税が課されただけでなく、所得税法違反で告発されるという、重い代償を支払うことになってしまいました。ちなみに、こうしたホステスやホストなどは、店に従業員として雇用されているのではなく、個人事業主の立場で契約して働いているのが普通。稼ぎも、基本的に現金・日払いで、所得税の源泉徴収(後述します)もされていないようです。

 

これは極端な例かもしれませんが、本業であれ副業であれ、一定の所得があれば納税の義務が生じます。

会社員の副業は、「所得20万円」を超えたら要申告

新しく個人事業を始めた場合はもちろんですが、会社に勤めながら副業を始めた場合にも、それで得た所得が合わせて年間20万円を超えたら、確定申告が必要になります。逆に言えば、所得が20万円以下ならば、申告は不要です。20万円の基準になるのは、収入(売上)から必要経費(例えば、副業先に向かう交通費)を差し引いた「所得」です。

 

ただし、必要経費が認められるのは、今のキャバクラ勤務の女性やウーバーイーツ配達員のような個人事業(「事業所得」)や、「雑所得」に分類される所得です。アルバイトやパートなどで働き、給与をもらう形の副業の場合(「給与所得」)には、認められませんので、念のため。

アフィリエイトや仮想通貨の売買も「副業」になる

では、「雑所得」とは、どういうものを指すのでしょうか?

 

具体的には、

 

  • アフィリエイト(成功報酬型広告)
  • フリマアプリ
  • クラウドソーシングの請負
  • 原稿執筆
  • 講演
  • FX(外国為替証拠金取引)
  • 仮想通貨の売買

 

などを本業以外で行った場合の儲けを指します。

 

これらについては、「課税対象になるの?」という認識の方がいらっしゃるかもしれません。給与の支払いなどと違い、税務署に捕捉されにくいとも思われがちですが、ある意味そうした認識を改めてもらうために、当局は特にネットが絡む新しいビジネスには、目を光らせていると考えてください。

 

これら単独、あるいは勤めている会社の給与以外の他の所得との合計で20万円を超えたら、確定申告の対象です。

そもそも「確定申告」とは? しないとどうなる?

今年の確定申告の対象になるのは、昨年(2020年)1月1日~12月31日までに得た所得です。所得の金額と、それを基にした所得税額などを計算して、申告を行います。パソコンやスマホを使って、電子申告(「e-Tax」)することもできます。

今年の申告は、2月16日(火)~3月15日(月)の間に行います。昨年は、新型コロナによる外出制限などを考慮して、申告期間が延長されました。今後の感染状況によっては、今年も延長される可能性はあると思います。

 

確定申告を行わずにいて、それが税務署に見つかったら、「払わなかった分を支払う」だけでは済みません。その場合に課せられる「無申告加算税」の税率は、本来納める税額が50万円までは15%、50万円を超える部分には20%です。加えて、納税が遅れた日数に応じて「延滞税」も請求されますから、相当「痛い」ことになるはずです。

 

さらに言うと、最初に紹介した事例にあるように、税務署は無申告の事実を掴んだらすぐにやってくるとは、限りません。去年大丈夫だったから、とその行為を続けていると、何年後かに「利子を含めて、まとめてお支払いください」ということになりかねないのです。

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申告すれば、お金が戻ってくることもある

ところで、副業の対価を「給与」でもらう場合にはもちろん、「事業所得」や「雑所得」に該当する場合にも、支払い時に、副業先で源泉徴収が行われていることがあります。源泉徴収というのは、所得税と復興特別税を「天引き」して、副業先が本人に代わって納税することを言います。

 

この徴収は、概算で行われるため、ほとんどの場合、「多めに取られ過ぎて」います。サラリーマンの場合は、年末調整によって払い過ぎた分が戻ってくるのですが、確定申告でも事情は同じ。取られ過ぎがあれば、申告を行うことで、差額を取り戻すことができるのです(「還付」といいます)。無申告のままだと、税金が還付されることはありません。

 

さきほど、「副業による所得が20万円以下ならば、確定申告の必要はない」と言いましたが、申告が認められないわけではないのです。場合によっては、申告をした方が得になることもあります。

まとめ

「生活のために」と始めた副業で得た所得にも、20万円を超えたら税金がかかります。3月15日までに、忘れずに確定申告を済ませるようにしましょう。不明な点があったら、早めに税理士などの専門家に相談を。

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