増税前、駆け込んでも買うべきものあわてなくてもいいものとは?
消費税率の8%から10%への引き上げが、いよいよ目前に迫りました。今回の消費税増税が前回までと違うのは、食料品などを税率8%に据え置く「軽減税率」が導入されることに加えて、キャッシュレス決済のポイント還元など、「増税の痛み」を和らげる制度変更、景気対策が実行されること。消費者にとってはありがたいことなのですが、同時にわかりにくさも指摘されています。それらも含めて、“増税前に買っておきたいもの/その必要はないもの”をまとめました。
幼児教育無償化もスタート
最初に、2019年10月の消費税率アップと同時に実行される制度の変更などについて、みておきましょう。主なものは、次の4点です。
- 食料品、新聞の定期購読などの消費税率を8%に据え置く(軽減税率の導入)
- 3~5歳児の認可保育所などの利用料を無料に。住民税非課税世帯は、0~2歳児も対象
- 2020年6月までの期間限定で、中小の小売店などでキャッシュレス決済(クレジットカードやスマートフォンのQRコードを利用)を行うと、価格の5%を消費者に還元。同様にコンビニなど大手系列のチェーン店は2%還元
- 2万5000円の買い物が可能なプレミアム付商品券を、2万円で購入できる(2歳以下の子どもがいる世帯、住民税非課税世帯が対象)
増税前に買っておくべきもの
以上も踏まえつつ、消費税が上がる前に買っておいたほうがいいものは? 基本的には、「増税後の値上がりが予想され、価格変動(値崩れ)しにくいもの」ということになるでしょう。
- 「先に支払って後で使う」定期券や切符、映画やテーマパークのチケット
電車の定期券、切符、航空券、映画やコンサート、テーマパークのチケットなどは、増税後も使えますから、その前に買っておくメリットがあります。 - 高額な「白物家電」、家具
ある程度値が張って、テレビやパソコンなどのように価格変動が少ないエアコン、冷蔵庫、洗濯機といったいわゆる「白物家電」は、増税前がお勧めです。高額な家具も同様。ただし、こちらは駆け込み需要の増加でベースの価格が上昇している可能性もあるので、チェックが必要です。 - 事務用品、書籍
仕事で必要になる資料、事務用品なども増税の影響を受けるでしょう。また、本や雑誌などは、新聞と違って軽減税率が適用されません。この際、読みたいものをまとめ買いしては。 - 常備薬、酒類
常備薬やコンタクトレンズも、増税前の備蓄を考えて損はありません。ビール、焼酎などの酒類やたばこは、軽減税率の適用外。やはり増税前がお得です。 - 高級ブランド品
高級バッグ、ジュエリーといった商品も、2%の増税は響きます。もともと値崩れの可能性が低いものですから、どうしても欲しいものがあるなら、原則として増税前がいいでしょう。
買い急ぐ必要がないもの
では、あえて「駆け込む」必要がないものは?
- 軽減税率が適用されるもの
スーパーやコンビニなどで買う飲食料品は、買いだめの必要はありません。ただし、購入したものを店内で食べたり飲んだり(イートイン)すると、税率10%が適用されます。 - そもそも消費税がかかっていないもの
土地、賃貸住宅の家賃、株などの有価証券、保険・共済などは消費税非課税ですから、増税後も課税されることはありません。 - ポイント還元になる消費
中小店舗でキャッシュレスの買い物をすれば、2%増税後は5%のポイント還元。なんと増税後のほうが「安く」買える計算になります。
ただ、家電などの本体価格は、中小店舗は量販店などよりも高く設定されているのが普通です。そのため、税率だけで損得が決められない点に注意が必要です。一方、ブランド品やジュエリーといった商品には、そうした価格差が生じにくいので、中小の店で買うつもりなら、増税後まで待ったほうがいいかもしれません。 - 商品券、プリペイドカード
さきほど、「定期券や切符は増税前に」と言いました。では、「Suica」(JR東日本)のような交通系ICカードはどうでしょう? 交通系に限らず、先にお金を支払うプリペイドカードは、購入(チャージ)時には消費税はかからず、実際に使った時点で課税される仕組みになっています。ですから、9月末に目いっぱいチャージする意味はありません(増税後は、値上げされた金額が差し引かれる)。商品券や切手なども、同じ理由で、「先買い」のメリットはないのです。 - 本体価格の変動が大きなもの
もともと値段が安く、頻繁にセールなどが行われる洗剤やティッシュペーパーなどの日用品も、買いだめのメリットはあまりないと考えられます。
増税の前と後、どちらが有利かいちがいに言えないものも
- 住宅購入
住宅は普通の買い物に比べ、購入額の桁が違います。当然、2%増税の影響も大。では、増税前が断然有利かというと、必ずしもそうとは言えません。増税後に一気に消費が冷え込んだりしないよう、「住宅ローン減税の拡充」や「すまい給付金」の拡充といった政策が抱き合わせになっているため、「増税による損はゼロ」「場合によっては、むしろ増税後のほうが得」という状況も生まれるからです。
仮に増税後に需要が落ち込めば、ハウスメーカーなどが値下げを打ち出す可能性もあるでしょう。少なくとも、税率を気にして購入を急ぐのは、賢明ではないと思います。 - 自動車
車も高い買い物ですが、こちらはその価格やタイプによって、損か得かが変わってきます。消費増税と同時に、自動車取得税が廃止され、代わって「環境性能割」という税制が導入されるからです。「環境性能割」というのは、「低燃費車ほど税金を安くする仕組み」です。
この結果、ざっくり言うと、「高級車で排気量の大きな車を買うなら増税前が有利で、そうでなければむしろ増税後のほうがいい」ということになっています。
まとめ
増税前に買っておきたいのは、増税後も有効な定期券やテーマパークなどのチケット、「白物家電」や家具、事務用品、本、常備薬、酒、たばこなど。ただし、「必要があるもの」という条件付きです。増税に気を取られて不要なものを買うほど「痛い出費」はないのです。
中小企業オーナー、個人事業主、フリーランス向けのお金に関する情報を発信しています。
新着記事
人気記事ランキング
-
「新型コロナ」10万円給付申請に必要な書類は?~申請・給付早わかり~
-
売上半減の個人事業主に、100万円の現金給付!中小企業も対象の「持続化給付金」を解説します
-
「新型コロナ」対策で、中小企業の家賃を2/3補助へ世帯向けの「住居確保給付金」も対象を拡充
-
「新型コロナ」対策でもらえる10万円の給付金には課税されるのか?高所得者対策は?
-
法人にかかる税金はどれぐらい?法人税の計算方法をわかりやすく解説
-
新型コロナで会社を休んでも傷病手当金がもらえる!傷病手当金の税金とは
-
増税前、駆け込んでも買うべきものあわてなくてもいいものとは?
-
法人が配当金を受け取った場合の処理方法税金や仕訳はどうなる?
-
【2024年最新版】確定申告と年末調整の両方が必要なケースとは?
-
もしも個人事業主がバイトをしたら?副収入がある場合は確定申告が必要