【終活のすすめ】あんなに元気だった親が「コロナ自粛」で要介護に!防ぐ手立てはある?

[取材/文責]マネーイズム編集部

新型コロナが高齢者にもたらすリスクは、ウイルスの感染だけではありません。感染拡大に伴う外出制限は、誰にとっても大きなストレスですが、体調維持に注意が必要な高齢者の場合、それが「命取り」になる危険性が指摘されているのです。例えば、子どもなどの親族との交流が途絶えがちになった結果、認知症を発症。そうした事態を、決して「他人事」と受け取るべきではないようです。

外出制限が要介護度を悪化させた!?

介護保険の要介護度が進んだ場合などに、自治体に提出される区分変更申請(※)の件数が、2020年の秋以降に急増していることがわかりました(「時事通信」調査)。専門家は、新型コロナウイルスの感染を恐れた高齢者が外出や施設利用を控えたことで、体力や認知機能といった身体機能に悪影響が出ている可能性がある、と警鐘を鳴らしています。

 

事実、そうしたことの疑われる例が、数多く報告されています。大手企業の役員を務め、リタイアしたのちもアクティブな生活を送っていた78歳の男性の事例を紹介しましょう。

 

この方は、16年前に奥さんをがんで亡くしてから、大阪市内で一人暮らしをしていましたが、家事は自分でこなし、70歳過ぎまではアルバイトもしていました。完全に仕事を辞めてからは、地元の自治会や趣味の囲碁クラブに参加して、積極的に活動。囲碁クラブでできた友人たちと、1~2ヵ月に1度くらい飲みに出かけるのを楽しみにしていました。ヘルニアによる軽い手足のしびれがあり、1年前からは週1日のデイサービスを利用していましたが、それ以外は体調にも問題はありませんでした。

 

また、「終活」への意識も高く、盆暮れには孫を連れてやってくる長女と長男に、「お前たちに迷惑はかけたくないので、80歳になる前に、相続や入居する施設のことは自分で決めておく。遺言書も書いておく」と話していました。「昔の仕事に比べれば、たいしたことではない」というのが口癖だったのです。

※介護保険の介護度 軽度から順に「要介護1~5」までの区分があり、それぞれによって受けられるサービスに違いがある。

コロナ禍で、終活の理想は幻に

ところが、新型コロナの感染拡大により、そのプランに狂いが生じます。あれだけ行動的だったのに、外出を控えざるを得なくなり、囲碁クラブもデイサービスも休止に。もちろん、友人と飲みに行くことなどできません。そのうち、デイサービスは再開されたものの、ある日、そのスタッフから長女に、「お父さんの様子がおかしい」と連絡が入りました。

 

久しぶりに会ってみて、長女はその変貌ぶりに驚いたそうです。体はやせ細り、会話もあの元気な父親とは別人と感じられるほど、弱々しい。話を聞くと、自宅に閉じ籠っていたために、必然的に運動量は減り次第に食欲が低下、少し動いただけで疲れるようになり、手足のしびれも悪化していました。本人は、子どもに心配をかけたくない一心で、そういう話を切り出さずにいたのでした。

 

深刻なのは、慌てて病院に連れて行ったところ、初期の認知症の発症が明らかになったことでした。すでに、本人が思い描いていたような終活を実行することは、できなくなってしまいました。

長引くコロナ 「早めの施設入所」も選択肢に

このように、「巣ごもり生活」が高齢者に与える悪影響には、想像を超えるものがあります。独居している親には、今まで以上に頻繁に電話して様子を把握する、といったフォローが大事になるでしょう。リモートによる会話が可能ならば、できるだけそうした環境を利用することも重要です。

 

今の事例のお父さんも、ゆくゆくは施設への入所を考えていました。ならば、コロナを機に、思い切って健康長寿の維持に積極的な老人ホームなどを探して入所するのも、有力な選択肢と言えます。

 

いずれにせよ、終活も相続対策も元気なうちにしかできません。「コロナが落ち着いてから」などと考えずに、まずはできることから始めることが重要なのです。

「自宅にいてもできない楽しみ」が用意された介護施設~ヒルデモアたまプラーザ・ビレッジⅢ~

元気なうちから入所するのに適した施設に、介護付き有料老人ホーム「ヒルデモアたまプラーザ・ビレッジⅢ」(川崎市、運営=東京海上日動ベターライフサービス)があります。特徴の1つが、要介護の方向けの「ビレッジⅠ」、要支援~軽介護の方向けの「ビレッジⅡ」、そして今回ご紹介する自立~軽介護の方向けの「ビレッジⅢ」が隣接して建っていることです。

 

ビレッジⅢは、「3(要支援・要介護の方):1(介護・看護スタッフ)」以上の体制で、看護師は日中常駐の体制になっています。直営にこだわった「和風レストラン」の趣のダイニングがあり、管理栄養士監修のヘルシーメニューを用意。フィットネスルームでは、パーソナルトレーナーが、1人ひとりの状態や目的にあわせた個別プログラムを提供します。また、敷地内にあるホビーハウス「ヒュッゲ」では、常設のピアノを演奏したり、デジタルアートで世界の名作を鑑賞したりすることができるなど、健康長寿をサポートするさまざまな工夫が凝らされています。

■佐々木喜章支配人、小山佳孝相談員に、お話をうかがいました。

ビレッジⅢのご入居者は、現在、自立の方、要支援の方、軽介護の方が、それぞれ1/3ずつの構成になっています。74歳から最高齢101歳の方までいらっしゃって、平均年齢は88歳です。

 

ご夫婦での入居も可能なのですが、どちらかがビレッジⅠ(介護棟)で、もうお一方がビレッジⅢという住まわれ方をされているケースもあります。ここも当施設のメリットで、介護度の違うご夫婦だと、どうしてもお互いにストレスを感じてしまうこともあると思うんですよ。ここならば、道路を挟んだ建物に住まわれて、それぞれに必要なサポートを受けながら、例えば毎日14時にはお会いになって話をされる、といった生活が可能です。ストレスフリーなうえに、安心して過ごせるわけです。

 

当施設では、本入居の前に、必ず体験入居をしていただいています。そうすることによって、施設ばかりでなく、一緒に生活される方たちの雰囲気なども感じていただいたうえで、「合う」「合わない」を判断いただければ、と思っています。現場の感覚では、ここは高級老人ホームでありながら、わりと「普段着」の生活をしたい方にご入居いただいているような気がします。

 

今は、コロナ対策で外泊などを制限せざるを得ないのですが、当施設は基本的に24時間、外出自由です。感染症が収束すれば、外に飲みに出られても、家族と過ごされても問題ありません。

 

いろんなレクリエーションやアクティビティ、それに直営レストランでの充実した食事など、当施設には、ご自宅にいてもできない楽しみが用意されている、と自負しています。介護付き施設というと、どうしても「介護が必要になってから」というイメージを持たれるかもしれませんが、そんなことはありません。お元気なうちに入居していただいて、生活をエンジョイしつつ、将来的には介護棟に移って安心のサポートを受けることも、この施設であれば可能なのです。

 

まとめ

コロナ対策の外出制限が、高齢者に与えるダメージには、想像以上に大きなものがあります。独り暮らしの場合は、元気なうちに条件に見合った施設に入居することも検討してみては、いかがでしょう。

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