確定申告書と納税証明書はどう違う?納税証明書の基礎を解説
銀行に融資を申し込む際や、国や自治体の補助金を利用する際など、確定申告書や納税証明書を求められることがあります。申し込み先により、確定申告書を求められたり、納税証明書を求められたりしますが、確定申告書と納税証明書にはどんな違いがあるのでしょうか。ここでは、納税証明書の基礎を中心に解説していきます。
確定申告書と納税証明書の違い
申告や納税について証明する書類には、確定申告書や納税証明書、課税証明書、所得証明書などがあり、それぞれで記載内容や役割が違います。
ここではまず、確定申告書と納税証明書の違いについて見ていきましょう。
納税証明書とはどんなもの
納税証明書とは、その名のとおり、税金を納めたことを証明する書類のことです。実は、国税の納税証明書には4つの種類があり、種類ごとに記載されている内容が異なります。納税証明書の4つの種類には、内容に次のような違いがあります。
納税証明書の種類 | 内容 |
---|---|
納税証明書(その1) | 納付すべき税額、納付した税額および未納税額など |
納税証明書(その2) | 申告所得税及復興特別所得税に係る所得金額 |
納税証明書(その3) | 未納の税額がないことの証明。
ひとつの税金のみを指定する場合には、「その3の2」(申告所得税及復興特別所得税と消費税及地方消費税)や「その3の3」(法人税と消費税及地方消費税)もあります。 |
納税証明書(その4) | 滞納処分を受けたことがないことの証明 |
それぞれで記載内容が異なるため、提出先の希望にあったものを取得する必要があります。一般的に、融資などで提出が必要な納税証明書は「納税証明書(その1)」または「納税証明書(その2)」です。
納税証明書はオンラインで請求する方法と書面で請求する方法の2つがあります。オンラインで請求する方法と書面で請求する方法には、次のような違いがあります。
請求方法 | 請求方法の内容 |
---|---|
オンラインで請求する方法 | ・PCやスマホなどから納税証明書を請求 ・税務署窓口、郵送、電子ファイルで受け取る ・手数料が安価(370円) |
書面で請求する方法 | ・納税証明書交付請求書で納税証明書を請求 ・税務署窓口、郵送で受け取る ・手数料(400円) |
確定申告書とはどんなもの
確定申告書とは、国に確定申告をする際に提出する申告書のことです。
所得税では、1年間の収入や経費、所得金額や納める税額などを自分で計算して、国に提出、納税する必要があります。そこで、計算した1年間の収入や経費、所得金額や納める税額など、確定申告書に記載し、税務署に提出します。
確定申告書は、税務署に提出したあとに戻ってきませんが、控えは提出日が入った受付印が押されて戻ってきます。提出日が入った受付印が押されることで、税務署にその確定申告書で確定申告したことを証明することができます。
融資や補助金の申し込みをする際は、確定申告をしていることの証明や、1年間の収入、所得金額の確認のために確定申告書の控えの提示を求められることがあります。
納税証明書と課税証明書の違いとは
次に、課税証明書と納税証明書の違いについて見ていきましょう。
納税証明書と間違えやすい課税証明書とは
課税証明書とは、課税される税金の金額を証明する書類です。課税証明書は、一般的に各市区町村が発行します。課税された住民税の額を証明してくれる書類で、前年1年間の所得に応じた住民税の課税額が記載されています。
課税証明書は、自治体により、課税金額だけでなく所得金額も記載されている場合があるため、所得証明書の代わりに用いられることも多いです。
例えば、児童手当の申請をしたり、子供を保育所等に入れたりする場合に課税証明書が求められるケースがあります。課税証明書には納税額についての記載はなく、納税の証明にはならないので、注意が必要です。
納税証明書、課税証明書、確定申告書の違い
ここまで、納税証明書と課税証明書、確定申告書の違いについて見てきました。それぞれの違いをまとめると、次のようになります。
証明書の種類 | 内容 | 発行元 |
---|---|---|
納税証明書 |
・税金を納めたことを証明する書類のこと ・国税の納税証明書では、証明内容により、4つの種類がある |
国・地方自治体 |
課税証明書 |
・課税された住民税の額をする書類のこと ・自治体により、課税金額だけでなく所得金額も記載されている場合がある |
各市区町村 |
確定申告書 |
・個人が確定申告する場合に税務署に提出する書類のこと ・確定申告書の控えは確定申告をしたことの証明になる ・個人の1年間の収入や所得金額がわかる |
税務署に提出し、受付印のある控えを受け取る |
納税証明書の注意点とは
納税証明書は、税金を納めたことを証明する書類のことです。課税証明書や確定申告書とは違うものなので注意が必要です。
また、納税証明書には次のような点にも気を付ける必要があります。
納税証明書は国と自治体が発行するものがある
納税証明書を取得する場合は「どこが発行する納税証明書の提出を求められているのか」ということに注意しましょう。納税証明書には「国の発行する国税の納付を証明するもの」と、「市区町村が発行する市区町村民税などの納付を証明するもの」、「都道府県が発行する都道府県民税などの納付を証明するもの」があります。補助金などは、申請をする相手により必要となる納税証明書の発行元が異なります。
例えば、国の補助金を受ける場合には国の発行する納税証明書が必要ですが、市区町村の補助金を受ける場合には、市区町村が発行する納税証明書が必要です。融資を受ける場合は、国の発行する納税証明書を求められることが多いですが、市区町村や都道府県が発行する納税証明書を求められることもあります。納税証明書を取得する場合には、取得する前に、どこが発行した納税証明書が必要なのか必ず確認するようにしましょう。
また、納税証明書は、所得税、消費税、自動車税など、税目ごとにそれぞれのものがあります。どの税目のものが必要なのかも、事前に確認しておきましょう。
納税証明書のその他の注意点
納税証明書のその他の注意点には、次のようなものがあります。
- 手数料が必要
納税証明書の発行には、手数料が必要です。一般的に、1税目あたり400円程度となっていますが、自治体により異なることもあります。事前に、手数料の金額を確認しておきましょう。 - 納税証明書の有効期限
納税証明書は、納税したことを証明するものであるため、納税証明書自体の有効期限はありません。ただし、納税証明書の提出先によっては、発行後3か月以内のものというように有効期限を指定している場合もあるので、注意しましょう。 - 本人確認書類などが必要
納税証明書の取得には、原則、必要事項を記載した納税証明書交付請求書のほかに、マイナンバーカードやパスポートなどの本人確認書類が必要です。また、代理人が納税証明書の発行を求める場合は、委任状も必要になります。状況(相続の場合など)や自治体によって、そのほかにも納税証明書の発行に必要な書類がある場合もあります。自治体のホームページなどで、事前に確認しておきましょう。
まとめ
納税証明書は、税金を納めたことを証明する書類のことです。同じようなものに課税証明書や確定申告書がありますが、それぞれ証明する内容が異なります。
また、納税証明書には国の発行するものや市区町村が発行するもの、都道府県が発行するものがあり、提出先により求められる納税証明書が異なります。発行元や税目の異なる納税証明書を提出した場合、再度正しい納税証明書を取得しないといけなくなるなど、手続きが長引きます。どの納税証明書が必要なのかを必ず確認して、取得するようにしましょう。
▼参照サイト
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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